はじめに
先の章でも触れた『かならず朝は来る』。そして、それに呼応する『かならず腹はへる』。
この言葉を、今回の尾道旅行で使わない手はありませんでした。
NHKの朝ドラ『てっぱん』は、尾道と大阪を舞台にした作品です。そのテーマ曲「ひまわり」も、物語を彩る大切な一曲。そして、作品のキャッチコピーは「かならず、朝は来る かならず、腹は減る」。
先の章では「かならず、朝は来る」という言葉を取り上げました。ならば、こちらの言葉が出番を迎える場所は、もちろん食事です。
しかも、ただの食事ではありません。尾道に来たからには、どうしても食べたかったものがあります。
お好み焼き、そして尾道焼きです。
では、スタートです。
再訪の尾道焼き
今回の旅で、尾道に行く最大の目標が「この店でお好み焼き(尾道焼き)を食べる」ことでした。
これは、自転車で巡る予定を立てていた段階から変わりません。昼食、あるいは夕食はここで食べる。そのために行程を組むほどの目的地でした。
観光地を巡ることも、写真を撮ることも、もちろん旅の楽しみです。しかし、何を食べるかもまた、旅の軸になり得ます。
今回は、その軸が最初からはっきりしていました。
そもそも尾道焼きとは?
尾道焼きの大きな特徴は、砂ずり(砂肝)が入っていることです。
一般的なお好み焼きでおなじみの豚肉とは、ひと味違うパンチがあります。砂ずり特有の歯ごたえと味わいが、全体の印象をしっかり引っ張ってくれるのです。
この個性の強い具材を、ほかのトッピングとどう組み合わせるか。そこもまた、尾道焼きの楽しみです。
トッピングのマシマシ
今回選んだトッピングは、お餅と生だこ。
注文の際、女将さんからひとつご意見をいただきました。
「砂ずりの味が勝ちすぎるから、海老やアサリは尾道焼きに向かない」
なるほど、具材を足せば足すほどよいというものでもありません。主役の砂ずりを生かしつつ、どう組み合わせるかが大切なのです。
そう考えると、今回の選択は正解でした。いや、実際に食べた後の感想まで含めれば、大正解です。
焼き上げというエンターテインメント
注文が通った後、脳内のリングアナが高らかに宣言しました。
Following contest is scheduled for one meal, and is for main event of this Travel...
From Onomichi, Hiroshima, weighing 500g. "The Teppan", Onomichi Yaki!
……と。
旅のメインイベント、尾道焼きの登場です。

まず、小麦粉の生地を鉄板にのばす。そこに、これでもかとキャベツを載せ、中華麺を載せる。
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そして、主役を迎える準備が整ったところで、具材が次々と投入されます。
- イカ天
- レンコン(このお店の特徴です)
- 生だこ
- 切り餅
- そして、砂ずり
これらが鉄板の上に並び、焼き上がりを待つ。
注文してから食べるまでの時間も、ただ待っているだけではありません。目の前で少しずつ完成していく様子そのものが、ひとつのエンターテインメントなのです。

食べる前から、すでにメインイベントは始まっていました。
そして、この焼き上げの過程は、今でも目の前に浮かぶほど鮮明に思い出せます。
Here is your winner!!
夢にまで見た尾道焼き。しかも、今回の旅のメインイベントです。
このために、この時のために、食事を調整していたまであります。いよいよ実食。最高でした。
- 砂ずりのパンチ力
- 定番のイカ天がもたらす、脂のうまみと香ばしさ
- 薄切りレンコンという、心憎い演出
それぞれが個性を発揮しながら、ひとつのお好み焼きとしてまとまっています。
そして、トッピングも大当たりでした。
生だこのコリコリした歯触りが、実に絶妙です。確かに、砂ずりと海老では、歯触りも味も砂ずりの存在感が勝ってしまいそうです。しかし、生だこなら歯ごたえがぶつかり合わず、違った方向から食感を加えてくれます。
何より、お餅がいい仕事をしています。ソースも、肉も、中華麺も、まとめて受け止めてくれる。具材それぞれの個性をつなぐ、頼もしい存在でした。

切り分ける。食べる。ソースやこしょう(尾道焼きならではのトッピング)を足す。そして、また食べる。
最後の一口を食べ終えたところで、「Cover!」からの3カウントフォールがしっかり決まりました。
今回の旅のメインイベント、決着です。
伝えられたお礼
会計の際、女将さんに「2年前にも伺いましたが、美味しくて感動しました」と伝えることができました。
前回の訪問で感じた感動を、今回もきちんと伝えられた。これもまた、再訪したからこその満足です。
旅先で食事をすることは、その土地のものを味わうだけではありません。もう一度来たいと思った場所に戻り、以前の体験を確かめ、そこで感じたことを伝える。そうした時間も、旅の一部なのだと思います。
そして、食事を終えた筆者には、ひとつ大きな問題が残されていました。
この食事のインパクトが激しすぎて、「次の目的地、どうしようか?」と思ったのです。
……それは、また別のお話です。
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