日: 2026年10月20日

ピボット旅行2026-16『季節の逆算』

はじめに

前の投稿では、時間の逆算についてお話ししました。

残された時間を把握し、その中で何を見せるかを決める。状況が変われば、進行を調整する。

筆者が旅行中に行っていることも、構造としてはこれに近いのです。

午前11時20分という帰還時刻は固定する。その一方で、そこまでの経路や、現地でどれぐらい時間を使うかは調整できる。

しかし、今回逆算していたのは時間だけではありません。

「季節」もしっかり逆算していた、というお話です。

10:30の仮説

尾道、千光寺公園。

ここで筆者は、ブロンプトンを断念した(これは擦り続けます)長雨に、一種の希望を抱いていました。

長雨。そして、気温の低下。

この二つの条件から、ある仮説が浮かびます。

これなら、彼岸花が見つかるかもしれない。

彼岸花は、筆者の好きな花の一つです。開花の時期は気温や天候にも左右されますが、今回の長雨と気温の低下は、花を探すうえで期待できる条件でした。

もちろん、咲いているかどうかは現地に行かなければ分かりません。季節を逆算したところで、花の開花まで思いどおりになるわけではないのです。

それでも、探す理由はありました。

10:35の発見

きちんと見つけました。

場所は、天寧寺のすぐ近く。

ここで重要なのは、彼岸花を見つけたことそのものだけではありません。

今回の発見は、完全な偶然というわけではなかったのです。

  • 筆者の知っている距離感
  • 何千枚と撮ってきた彼岸花の写真
  • 経験を重ねたレンズ

これらがそろっていました。

どこまで歩けば何がありそうかという感覚があり、彼岸花をどう撮ればよいかという経験もある。そこに、季節と天候の条件が加わりました。

狙った一枚を撮るのは得意です。

特に、雨露との取り合わせは筆者の得意とするところです。

花が咲いているかどうかは、こちらでは決められません。しかし、咲いている可能性を考えて探し、見つけた花をどう撮るかについては、自分の経験を活かせます。

前回の記事で紹介した「向こう10年は撮れないであろう写真」とは、また違う話です。

あちらが予測しきれない出会いだったとすれば、こちらは、条件を読み、経験を使って狙いにいった一枚。

旅先で写真を撮るという行為にも、こうした違いがあるのです。

推し寺:天寧寺

彼岸花を見つけたあと、筆者が向かったのは天寧寺でした。

ここは尾道を訪れるたびに、確実に立ち寄っているお寺です。

特に好きなのが、釈迦堂の畳の空間。雨の中を歩いてきた身体を休めるには、ちょうどよい場所です。今回は、ここで時間を過ごす算段もつけていました。

午前11時20分には商店街へ戻りたい。千光寺公園からの移動時間を考えれば、どこかで休憩する時間も必要になります。

そこで、何度も訪れている天寧寺を組み込む。

初めて訪れる場所であれば、どれぐらい時間を使うことになるか分かりません。しかし、勝手を知っている場所なら、滞在時間も見積もりやすくなります。

時間を埋めるために、適当な場所へ立ち寄ったわけではありません。

好きな場所で休みながら、帰還時刻も守る。

これもまた、筆者なりの時間配分です。

「ワークか、ケーフェイか」

ここで、釈迦堂の写真についても触れておきましょう。

筆者がこの場所で撮る写真には、もう一つの役割があります。

それは、レンズキャップ代わりに使う写真であること。

2024年の尾道旅行でも、同じ構図で撮影しています。今回も、そこで撮った写真をしっかりと再現しました。

もちろん、まったく同じ場所で撮れば、まったく同じ写真になるわけではありません。光の入り方も、天候も、そのときの空間の雰囲気も異なります。

それでも、同じ構図を再現できるということは、撮影する場所やカメラの向き、画面に何を収めるかを把握しているということです。

そして、ここで思い出すのが、プロレスにおける「ケーフェイ」という概念です。

ケーフェイとは、プロレスの演出や舞台裏に関わる事柄を、観客に対してどのように扱うかという慣習や考え方を指します。プロレスを楽しむうえでは、見せるものと見せないもの、その境界もまた重要な要素になります。

では、筆者が同じ構図を再現していることは、ワークなのか、ケーフェイなのか。

……という話を始めると、また長くなりそうなので、ここでは写真の話に戻りましょう。

今回の写真は、偶然そこにカメラを向けた結果ではありません。以前に撮った構図を覚えていて、今回も同じように撮影できる。つまり、意図して再現できる写真なのです。

一方で、写真に写る雨の日の空気や、その場で過ごした時間まで、完全に再現できるわけではありません。

同じ場所、同じ構図でも、そこに至るまでのストーリーは毎回違います。

雨音での休憩

釈迦堂で過ごす時間は、単に雨を避けるためだけのものではありませんでした。

降り続ける雨の音を聞きながら、ここまでの道のりを思い返す。

そして、思い出ノートに記帳する。

旅先で見たもの、歩いた場所、そのときに考えたこと。そうした記録を残す時間も、筆者にとっては旅の一部です。

外を歩き続けていれば、次々と新しい景色に出会えます。しかし、立ち止まって振り返ることで、歩いてきた時間そのものを記録に変えることもできます。

今回は、雨がそのための時間を作ってくれました。

もちろん、最初から「ここで雨音を聞きながらノートを書こう」と決めていたわけではありません。

それでも、休憩できる場所を知っていて、戻る時刻から逆算して行動していたからこそ、こうした時間を確保できたのです。

11:15、再び商店街へ

そして、再び商店街へ。

時計を見ると、午前11時15分。

お昼を食べるために戻ってくる予定だった時刻は、午前11時20分です。

午前9時に始まり、午前11時20分に終える。

その時間計算は、極めてちょうどよく収まりました。

彼岸花を見つけ、推し寺で休憩し、写真を撮り、思い出ノートに記帳する。これだけのことをしながら、予定していた時刻に戻ってこられたのです。

もちろん、すべてが計算どおりだったわけではありません。彼岸花が咲いていたことも、雨の中でどんな景色に出会うかも、完全には予測できません。

しかし、時間の枠を決め、知っている場所を活用し、季節と天候から可能性を考えることはできました。

時間を逆算し、季節を読み、経験を使って動く。

今回の尾道で筆者がやっていたのは、そういうことだったのです。

さて、ようやくお昼ご飯です。

ここから先にも、まだ尾道での出来事が続きます。

GROWI 8.0のAI AgentにGeminiを組み込む:月10ドルの特典を活用してみる(初回課金あり。結果は要観察)

Google One AI Proに付帯する、月10ドル相当のGoogle Cloudクレジット。

これを何かに使えないかと考えていたところ、自前でホスティングしているWiki「GROWI」のAI Agentと組み合わせることを思いつきました。

GROWIのAI Agentは、Wiki内の複数ページを横断して検索し、得られた情報をもとに回答を生成してくれる機能です。これが実用になるなら、過去に蓄積したナレッジを探し出す手間を減らせます。

そして、手元には毎月付与されるGoogle Cloudクレジットがある。

ならば、これを活用しない手はありません。

実際に設定してみたところ、GROWIからGemini APIを呼び出し、Wiki内の情報を横断検索して回答を生成するところまでは確認できました。

ただし、ここで一つ注意点があります。

AI Agentが動いたことと、月10ドルの特典だけで運用できていることは、別の話です。

今回は、そこに至るまでの設定手順と、実際に課金される金額について、今後も確認していく必要がある点をまとめます。

例によって前置きは長いです。

1. 取り組もうとしたきっかけ:WikiのナレッジをAIから引き出したい

GROWIのAI Agentは、Wikiに蓄積された情報を横断して調べる用途に向いています。

例えば、過去の旅行記や技術メモを複数ページにわたって検索し、その内容をまとめさせる、といった使い方です。

人間がページ名を思い出し、検索語を考え、一つずつ開いていく手間を考えると、かなり魅力的な機能です。

一方、Gemini APIを無料枠のまま利用しようとすると、レート制限に引っかかることがあります。

特に、複数ページの検索や要約など、一つの質問に対して複数回のAPI呼び出しが発生する処理では、無料枠の制限がボトルネックになる可能性があります。

そこで、従量課金側の利用設定を行い、Google Cloudのクレジットを活用できないか試してみることにしました。

月10ドル相当のクレジットが利用でき、実際のAPI利用料がその範囲に収まるのであれば、個人運用のWikiとしては十分に魅力的です。

ただし、これはあくまで期待値の話。

利用料が月10ドル以内に収まることと、その利用料に特典クレジットが適用されることは、それぞれ確認しなければなりません。

この二つを一緒にしてしまうと、後から請求額を見て慌てることになります。

2. 最初の関門:APIは呼び出せるのに、前払い残高がない

Google Cloud側で請求先アカウントを用意し、Google AI StudioでAPIキーを発行。GROWI側にも設定を入れて、いざ動作確認。

ところが、次のエラーが返ってきました。

Your prepayment credits are depleted. Please go to AI Studio at ... to manage your project and billing.

メッセージの内容は、事前入金したクレジットが枯渇している、というものです。

ここで問題になったのが、Google Cloud側にクレジットがあることと、Google AI Studio側でGemini APIを利用できる状態になっていることが、必ずしも同じではないという点でした。

今回の環境では、AI Studio側で前払い残高を購入する操作が必要になりました。

ただし、ここで注意したいのは、前払い残高を購入すれば、その金額がそのまま保証金として残り、APIの利用料は必ずGoogle Cloudの特典から優先的に引き落とされる、とまでは確認できていないことです。

請求先アカウントにクレジットが表示されていることだけでは、実際のAPI利用料にどのクレジットが適用されるかまでは判断できません。

このあたりは、設定画面の表示だけで安心せず、実際の利用明細と残高の推移を追う必要があります。

3. 作業前に確認しておくこと

今回の作業では、次の点に注意しました。

  • Google Cloudの請求先アカウントと、支払い方法の設定が必要になる。
  • Google AI Studio側で、前払い残高の購入を求められる場合がある。
  • Google Cloudのプロモーションクレジットと、AI Studio側の前払い残高は、同じものとして扱わない。
  • クレジットが付与されていることと、そのクレジットが実際のAPI利用料に適用されることは別途確認する。
  • Google側の料金体系、クレジットの適用条件、画面表示は変更される可能性がある。

なお、今回の手順は、筆者の環境で動作確認できた構成をもとにしたものです。

APIが正常に動くところまでは確認していますが、最終的な請求額とクレジットの消費順序については、引き続き経過観察が必要です。

「月10ドルの特典があるから大丈夫」と考えて作業を進めるのではなく、課金の仕組みを確認しながら利用することを前提にしています。

4. 今回の環境

項目設定
WikiGROWI v8.0.7
実行環境Node.js 24 / pnpm / Docker不使用
AI基盤Google AI Studio / Gemini API
クレジットGoogle Developer Programの月10ドル相当の特典
モデルGemini APIで利用可能なFlash系モデル

モデル名については、実際にAI Studioのモデル一覧に表示され、利用可能なものを選択してください。モデルの提供状況や名称は変更されるため、特定のモデル名を固定して手順を進めるのは避けたほうがよさそうです。

5. さっくりとしているがすんなりはいかない設定手順

Step 1. Google Cloudの請求先アカウントを用意する

まず、Google Cloud側の請求先アカウントを用意します。

  1. Google Cloud Console にアクセスする。
  2. 「お支払い」から請求先アカウントを作成、または既存のアカウントを確認する。
  3. 必要に応じて支払い方法を登録する。
  4. Google Developer Programの特典ページ にアクセスする。
  5. 月10ドル相当の生成AI・Cloudクレジットの特典が利用可能であれば、案内に従って請求先アカウントに適用する。
  6. Google Cloud Consoleのクレジット画面で、特典の適用状況と有効期限を確認する。

ここで確認したいのは、単に特典の申し込みが完了していることではありません。

実際にどの請求先アカウントに、どの種類のクレジットが、いつまで有効なものとして付与されているかです。

後から利用明細を確認するときにも必要になるため、この時点で記録しておくとよいでしょう。

Step 2. Google AI StudioでAPIキーを発行する

続いて、Gemini APIを利用するためのAPIキーを用意します。

  1. Google AI StudioのAPIキー管理画面 を開く。
  2. 必要に応じてプロジェクトを作成する。
  3. APIキーを発行する。
  4. 対象プロジェクトの請求設定と利用可能な課金階層を確認する。
  5. APIキーを安全な場所に保管する。

課金設定については、画面上の案内に従ってください。

なお、APIキーを発行できたことだけでは、課金設定が完了していることや、特典クレジットが利用料に適用されることまでは確認できません。

Step 3. AI Studio側の前払い設定を確認する

今回、実際にエラーの解消に関係したのがこの部分です。

Google AI StudioのBilling画面を開き、前払い残高と購入に関する表示を確認します。

Google AI Studio Billing

今回の環境では、前払い残高の購入が必要でした。

ただし、購入金額や購入が必要となる条件は、画面上の案内と利用環境に従ってください。最低購入額を含め、すべての環境で同じ条件になるとは限りません。

そして、ここが今回の重要なポイントです。

前払い残高を購入した場合は、その金額がどのように扱われるのかを確認してから利用を続けてください。

前払い残高が表示されていることだけを根拠に、追加の持ち出しが発生しないとは判断できません。

Google Cloud側の特典残高、AI Studio側の前払い残高、APIの利用明細をそれぞれ確認し、実際の利用料がどこに計上されるのかを追う必要があります。

Step 4. GROWIのAI設定を行う

ここからはGROWI側の設定です。

  1. GROWIに管理者アカウントでログインする。
  2. /admin/ai を開く。
  3. AI機能を有効にする。
  4. プロバイダーとしてGoogleを選択する。
  5. 発行したGemini APIキーを設定して保存する。
  6. モデルカタログを更新する。
  7. 利用可能なモデルから、使用するFlash系モデルを選択して保存する。

画面の項目名や利用できるモデルは、GROWIのバージョンやGemini API側の変更によって異なる場合があります。

モデル一覧が更新できない場合は、APIキーや課金設定、利用可能なモデルを順番に確認してください。

Step 5. AI AgentからWiki内の情報を検索する

設定が完了したら、GROWIの通常画面に戻り、AI Agentに質問してみます。

例えば、次のような質問です。

「ピボット旅行」と名付けられた記事一覧から、
なぜそう名づけたのかを要約してください。

今回の環境では、AI AgentがWiki内の複数ページを参照し、それらの内容を踏まえた回答を生成するところまで確認できました。

これは、今回の設定で得られた成果です。

単にGemini APIに接続できただけではなく、GROWIに蓄積された情報を検索し、その結果を使って回答を生成するという、本来やりたかった動作が成立しました。

一方で、この動作確認によって分かるのは、あくまでAI Agentが機能しているということです。

利用料が特典クレジットから差し引かれているのか、前払い残高がどのように消費されるのか、最終的な請求額がいくらになるのかは、別途確認する必要があります。

6. ここからが本当の経過観察

今回の設定で、GROWI AI AgentとGemini APIの連携自体は成立しました。

しかし、これで「月10ドルの特典を使って、実質無料で運用できる環境が完成した」と結論づけるのは、まだ早いと考えています。

今後、確認したいのは次の点です。

  • Google Cloud側の特典クレジットが、実際のAPI利用料に適用されているか。
  • AI Studio側の前払い残高が、どのタイミングで、どのように変化するか。
  • API利用料がどの請求項目に計上されるか。
  • 一定期間利用した後、実際に追加の支払いが発生していないか。
  • 月10ドル相当の特典の有効期限や適用条件に変更がないか。

特に重要なのは、設定直後の残高表示だけで判断しないことです。

利用直後には明細への反映に時間がかかる場合もあるため、利用記録と請求情報を継続して確認する必要があります。

また、今回のように前払い残高を購入する仕組みでは、購入した金額と、最終的に消費された金額を分けて考えなければなりません。

「残高がある」「特典が付与されている」「APIが動いている」。

この三つがそろっていても、最終的な支払いがゼロになるとは限りません。

実際にいくら課金されるかは、別問題です。

ここは、しばらく利用実績を追ってから判断することにします。

7. まとめ:便利な環境はできた。あとは請求を確認する

今回、GROWI 8.0.7のAI AgentにGemini APIを組み込み、Wiki内の複数ページを横断検索して回答を生成するところまで確認できました。

蓄積したナレッジを、ページ名や検索語を思い出すことなく引き出せるようになるのは、個人運用のWikiとしても大きな利点です。

毎月付与されるGoogle Cloudクレジットを活用できるなら、なおさら魅力的な構成になります。

ただし、現時点で確認できているのは、連携と動作の成功までです。

月10ドル相当の特典が実際の利用料にどのように適用されるのか、前払い残高がどう扱われるのか、最終的に追加の請求が発生するのか。

このあたりは、実際の利用明細を見ながら確認していく必要があります。

便利だからといって、課金の仕組みまで都合よく解釈してはいけません。

ひとまず、GROWI AI Agentを使える環境は整いました。

あとは、実際に使いながら請求の推移を観察していきます。

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