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『ライザのアトリエ3DX』スタートダッシュ特典による大幅スピードアップ(最序盤のネタバレのみ)

こちらのセーブデータ連動特典による大盤振る舞いの特典を大きく受けられるのが

『ライザのアトリエ3DX』です。

ライザのアトリエ2は品質上限アップや特定の採取道具などはある程度シナリオを進める必要がありましたが

「ほぼ全てのスキルツリーがフルオープン」という仕様になっているため、

  • ライザのアトリエ
  • ライザのアトリエ2
  • ライザのアトリエ3

を通しで買い、更に今回のトリロジーも購入しているというファンにとっては

17,000のSPでスタート。

これがどれほどの意味を持つかを説明します。

スキルツリー解放まで

※リンク先はストーリーの流れ全てを記しています。(重大なネタバレは避けていますが)

https://atelier.reisalin.com/issues/246

「アガーテの依頼」受諾後のチュートリアルのスキルツリー後。

計算通り、17000ものスキルツリーによって

通常採取:獲得量強化Lv1.から始まり

メディカパウダーを解放。

エメラルドバンド経由で

通常採取Lv.2を解放してもまだ余裕があります。

通常採取Lv.3も上げます。

杖採取Lv.2→Lv.3を上げます。

スキルツリーの上、投入回数増加等もアップ。

品質上限突破:500。この辺りで流石にSPが5000を切りましたが

投入回数+2まで伸ばせます。

最後に獲得SP+10%を解放しました。

この通常採取のレベルアップが意味すること

最序盤、クーケン島とアトリエ周辺のみから

  • 攻防強化++
  • 攻速強化++
  • 全能力強化++

などの最後まで使う特性が得られます。

投入回数も増えているので

全属性を付与した中和剤を作る

ゼッテルによる中和剤の統合も自由

と、かなりのやりたい放題になっていました。

そして、なぜ、筆者がこれに感動しているかというと、ライザ2/3は「極端な成長曲線を描く超・超拡大再生産だから」に尽きます。

終盤であればあるほどSPは溜まりやすく、上質なアイテムを調合することができます。

しかし、逆を言えば「序盤のSPは溜まらず、低品質なアイテムを作ることしかできない」になります。

これが、今回のSP大幅獲得により「成長曲線のスピード」が極めて速くなりました。

なので、ライザDXの不具合報告とは全く違う「本シリーズを追いかけているファンにとっては」いいボーナスとなった次第です。

スキルツリーの伸ばし方

こちらに既に記しています。

『ライザのアトリエ2DX/3DX』のセーブデータ連動のスタートダッシュ特典の大盤振る舞い。※こちらは正常な仕様※(ネタバレは最序盤のみ)

先に述べた『ライザのアトリエDX』の不具合(壊滅的なロードの遅さ)はゲームの進行を阻害する深刻な不具合でした。

しかし、『ライザのアトリエ2DX』における仕様の大盤振る舞いはゲームの進行を「進めすぎる」ものかと思います。

前提

  • Steam版の『ライザのアトリエ2』をトロコン済み。
    • シーズンパス導入
    • 全てのDLCをクリア
  • Steam版『ライザのアトリエ2DX』(というよりもトリロジーDX)を購入。
  • セーブデータ自動連動機能あり

何が起きたか?

ストレートに言うと「SP10,000でスタートする」です。

  1. NewGameからスタート。
  2. オープニングイベントを済ませる。
  3. チュートリアルを済ませる。
  4. 調合イベント(スキルツリー)を確認すると

10,000となっています。

ライザのアトリエ2の場合

500スタート。

この計算結果

この、余りにも大盤振る舞いな(500→10000)は何か裏があるのか、バグがあるのかを調査しましたが「全くの正常な仕様」でした。

セーブデータ連動特典の本質

公式サイトにはこうあります。

https://atelier.games/secretdx/jp/products/index_standard.html

オリジナル版や『秘密DX』各タイトルのシステムデータがあると、セーブデータ連動特典が取得可能! 序盤の冒険に役立つアイテムが手に入る!

この内容は、筆者は衣装だけと見間違えていましたが……

ここの「SP」の欄を見落としていました。

  • ライザ無印(ノーマル):2,000
  • ライザ2(ノーマル):2,000
  • ライザ3(ノーマル):2,000
  • ライザDX:3,500

この合計は9,500。そして、前述した「初期SP:500」が加わると合計は10,000。つじつまが合います。

ちなみにライザのアトリエ3の場合は……

  • ライザ無印(ノーマル):3,000
  • ライザ2(ノーマル):3,000
  • ライザ3(ノーマル):3,000
  • ライザDX:4,000
  • ライザ2DX:4,000

で、追加SPが17,000というこれまた桁違いの数字

いくら何でもこれは大盤振る舞い過ぎるのではと思いましたが:

  • 「既にオリジナルをプレイしている人にとっては、序盤のSP稼ぎは苦痛である」
  • 「プレイ済みのゲームのDXを買い直す人はそれほどいない」

という当たり前の感覚が抜けていました。

なので、一種の「強くてニューゲーム」状態を「原作プレイ済みへのお礼」というメーカーからのメッセージだと受け取ります。

『ライザのアトリエDX』Steam版:2025/11/15現在発生している不具合と設定変更による改善確認。(ネタバレ無し)

2025年11月13日にリリースされた『ライザのアトリエトリロジーDX』。

グラフィック廻りが一新され、一部のボイスがアニメに準拠したものへと差し替わっているなどがありましたが、Steam版に強烈な不満がありました。

壊滅的に遅いロード画面

オールドゲームを知る方であれば分かると思いますが

「初代プレステのロード画面か?」

と疑うほどの、凄まじい遅さのロード画面。

  • セーブ
  • ロード

は言うに及ばず、画面の切り替わり(ファストトラベル後)の全てで「Now Loading...」が出て、ゲームがフリーズしたのでは無いかと思うほどのロード時間の遅さがありました。

特に、オリジナルのデータ連動衣装へと切り替えた際の

この切り替えが「何かあったか」ぐらいの遅さでした。

  • Windows 11
  • 6コア12スレッド
  • 32GBメモリ
  • RTX 2050 Super

と、この手のゲームが動くには十分であるにもかかわらず。

ライザ2DX/ライザ3DXは快適なロード時間であるため、ライザのアトリエDXのみの状況と判断。

既知の不具合であるとメーカーは確認。

既に、この事象は把握済みであるという声明が出ています。

https://atelier.games/secretdx/jp/update

Steam®

  • 一部環境において、ロード時間が長くなる現象が発生する。

現在、調査を進めておりますので、今しばらくお待ちいただけますようお願いいたします。

これの回避手段によりなんとか我慢できる範囲に収まりました。

さっくりとした手順

  1. グラフィックの設定を変更(ゲーム)
  2. グラフィックの設定を変更(NVIDIAの場合)

ゲームの設定変更

メニューから「Settings」を選択。

「グラフィック設定」の「フレームレート制限」を選択。デフォルトは60になっています。

これを「無制限」に修正します。

グラフィックボード(NVIDIA)の設定変更

NVIDIAメニューから

  1. グラフィックス
  2. プログラム
  3. 『Atelier Ryza DX』を選択。

ここの「最大フレームレート」を

「オン」60FPSに変更して適用

設定後の改善を確認。

「壊滅的なロードの遅さ」から「PS3程度のロード時間」には改善されました。

とはいえ、とても楽しみにして(それこそ紅白レスレリを買わずして)いた作品の最初のレビューが「不具合報告」というのはパッとしない形となり残念です。

『ライザのアトリエ』トリロジーDX到着。

今回の日記は

  • ライザのアトリエトリロジーDX到着。
  • ゲームパッド新調。
  • ヘッドセット新調。

この3のみです。

手順書による状況のコントロール。(切り戻しの重要性)

前にも述べた『むこうぶち』の江崎のこの言葉。

「船が陸にたどり着く寸前に生憎の嵐…… どうすればいいと思います?
いったん沖に引き返すんですよ
船ってのは水に浮かぶようにできているんです
無闇に上陸を焦って座礁する事が一番怖い」

この言葉が持つ意味を手順書の「切り戻し」により、改めて掘り下げていきます。

そもそも切り戻しとは?

  • アップデートの不具合
  • バグの確認
  • 機能追加/削減
  • オペレーションミス

等によって起きた障害・サービスダウンを「無かったことにする」技術全般です。Linuxサーバで言うならば

  1. 設定ファイルを元に戻す
  2. DBを元に戻す

等による、逆転時計(タイムターナー)のような存在です。これは、ITの最大のメリットと言ってもいい技術。医療や建築のような「不可逆性」を“ある程度”緩和してくれます。

「破滅は、常に隣にある」

これは、物流・メーカー・医療・その他諸々の業界の方には釈迦に説法でしょう。

  • どんな安全策を講じても、予測不能なリスクは必ず発生する。
  • たった一つの『バグ』や、人間の『思い込み』で、破滅に直結するような、壊滅的な暴走を引き起こす。

は、予測不能なリスクを奇跡的な幸運から乗り切ったから言える生存バイアスです。

このような、予測不可能なミスを少しでも減らし、起きてしまったことを「無かったことにする」技術が、バックアップからの切り戻しです。

ちょっとした具体例

https://barrel.reisalin.com/books/950a4/page/mysql

こちらでも少し触れている「Webアプリで不具合が発生した際の切り戻し」の方法。

mysqldump -h localhost -u redmine -p --no-tablespaces --single-transaction redmine > redmine_backup.$(date +%Y%m%d).sql

等としてバックアップを取っておき、

mysql -h localhost -u redmine -p redmine < redmine_backup.$(date +%Y%m%d).sql

で戻す。多くのシングル構成のDBは(つまり、個人運用程度であれば)これで復旧するパターンがほとんどです。筆者はサーバ移行や「やっちまった」時のリカバリのほとんどをこれで復旧させることができました。

この切り戻しをどうやって組み込んでおくのか

これが、「手順書によるコントロール」に他なりません。

  1. 大きな作業を伴う作業は「元に戻す」手順を先に作る。
  2. 切り戻しを鑑みて全体の手順を作る

という、一種の逆順処理を取ります。筆者が紹介した手順において

  • 確認する
  • 照合する

を含めるのは、「何かあったときに元に戻せる」を確実にするためです。

「行ってこい」の精神であればここまではやりませんし、やる必要はありません。しかし、情報という価値あるものを「維持する」ためにも戻り道という名のPoint of Returnable(回帰可能点)を随所に作っておくための確認、照合は必要なのです。

「コントロール(Control)」の語源について

こちらを言及した方がよりよいでしょう。

「control」が現在の「制御する」「管理する」といった意味になるまでの主な流れは以下の通りです。

  1. 中世ラテン語: contrā-rotulus
    contrā-(反対の、対照の)と rotulus(巻物、帳簿、リスト)が合わさった言葉です。
    文字通りの意味は「対照リスト」、具体的には「(会計などを)チェックするための二重帳簿」を指しました。
  2. 古期フランス語: contreroller
    ラテン語が古期フランス語に取り入れられ、「(対抗手段として)登録する」「照合する」という意味で使われるようになりました。
    二重の記録を照らし合わせる行為は、不正がないか確認し、管理・監督することにつながります。
  3. 英語 (中世): controllen
    古期フランス語から中世英語に入り、「帳簿をチェックする」「正式な記録で確認する」という意味を経て、「権威をもって監督する」「指揮する」といった現在の「管理・制御」の意味へと広がっていきました。

この流れから、「control」のコアな概念は、記録を照合して物事を正しくチェックし、それに基づいて物事を支配・管理するという点にあることが分かります。

拙稿でも述べた「Manual」の語源が「手を動かす」から来るように、「Control」の語源は記録することにあります。

まとめ

いくらバックアップがあるから安心はできるといっても、それは両翼の片方に過ぎません。このバックアップでどうやって「破滅を回避するか」というもう一つの翼を担うのが「切り戻しの手順」というお話。

この姿勢を貫くためにも、筆者は“片羽の妖精”ことラリー・フォルクのこの言葉を目につくところに掲げて自らの戒めとしています。

Those who survive a long time on the battlefield start to think they are invincible. / 不死身のエースってのは戦場に長く居たものの過信だ。
I bet you do too, buddy. / お前のことだよ相棒。
――Ace Combat Zero

「手順(Manual)」を作ろう。「技術の言語化と言語の行動」

趣味の延長でも手順は必要

筆者はサーバ運用の、ほぼすべてを手順化しています。

「なぜ、趣味の一環なのにプロのような手順を設けているのか」を疑問に持った方もいるでしょう。

これに関しての理由付けを示します。

「未来の自分が慌てないため」

これに尽きます。私の性格上、一度躓いた作業は二度目以降も同じところで詰まります。

「この私なら絶対にやらかす」

という、自分の信頼のなさへの信頼感があるため、

  • 注意すべきポイント
  • 何を持って「完了」とするのか
  • “やらかした”場合のリカバリ方法は?

などのPoint of No Return (回帰不能点)を少しでも減らすための強力なアンカーとしてマニュアルを作成しています。

特に、障害というやつは「起きてほしくないタイミングで起きる」から障害なのですから。

歴史的意義。

そもそも「マニュアル(Manual)」とは、ラテン語の「manus(手)」という単語に由来しています。

元々は「手を使う」「主導の」と言った意味の形容詞でしたが、そこから派生して「手引き」や「取扱説明書」といった名詞の意味で使われるようになりました。

  • management
  • manufacture
  • manicure

なども、すべて同じ語源から来ており、「手」に関する言葉となっています。

古代ローマと「マニュアル」

古代ローマ軍が規格外の強さを誇った背景には、「行動が全てであり、一定の標準的機能の遂行が勝敗を決定する」という思想があったとされています。

  • 古代ローマ軍の強さは、厳格な軍規と徹底した訓練によって支えられていました。
  • 膨大な数の兵士と多岐にわたる任務を効率的かつ確実に遂行するためには、経験や感覚に頼るのではなく、手順や規範を統一し、共有することが不可欠でした。
  • この技術や行動の「言語化・共有化」は、現代でいう標準化やマニュアル化の考え方につながるものであり、古代ローマの軍事的な成功の重要な源泉の一つであったと言えます。

特に、古代ローマ軍の圧倒的な強さは「各人が優れた土木技術者であり、野営のみならず街を作ることすら可能だった」ことにも現れています。

各軍人が軍事技術だけではなく土木技術の手引き書も共有化されていたからでした。

つまり

マニュアル通りとは、漫画や小説で言う

  • 融通が利かない人
  • 堅物

という意味ではないと筆者は考えます。むしろ「想定外の出来事が起きたとしても標準以上の行動ができるための引き出し」として定義しています。

マニュアルを作る意義

技術の言語化

  • どの要素を組み込んだから上手くいったのか
  • 何が元で失敗したのか
  • これを「同じ轍を踏まないようにするためには?」

など、すべての人が生み出した技術は言語化される余地があります。この言語化というやつは「自分の意を伝える」「相手の意をくみ取る」の両方で必要であり、他者からのフィードバックをもらうための最高の機会となります。

詰まったところの確認

失敗した部分のロギングです。

「マニュアルのどこが行けなかったのか?」を確認することで、すっ飛ばしたところや、怠った事による裏目がすべて結果となって現れます。

では、具体的なものを。

以下、筆者が過去に行った「Ubuntuサーバにスワップを設定する」手順です。ここで、実際にどのような点に気をつけてマニュアルを作っていったかを解説します。

https://barrel.reisalin.com/books/linux/page/vpsswap
### 環境

- Ubuntu 24.04
- 4GBメモリ/80GBディスクのインスタンスを利用

### さっくりとした手順

1. 現在のメモリとディスク容量を確認します。
1. Swap領域を確保します。
1. 確保したSwap領域を有効化します。
1. Swap領域が増えたことを確認します。
1. fstabを修正します。
1. fstab修正後にシステムを再起動し、Swap領域有効化を確認します。
  1. ここで環境を定義するのは「スタート地点が明確でないと明後日の方向に行ってしまうから」です。既に設定されている場合は作業をする必要が無いという目安になります。
  2. さっくりとした手順を記すのも、「だいたいの時間の見積もり(Estimated Time of Arrival)」を取るためです。これにより、いつ行うべきか、どのぐらいの工数を取るべきかの目安となります。
#### 作業の前に

ディスク起動時のオプションなど、特に重要なシステム領域の設定ファイルを修正する作業です。
失敗時に復旧できるようシステム全体のバックアップを取ることを強く推奨します。

これは、先に挙げたPoint of No Return (回帰不能点)を「Point of Returnable (回帰可能点) 」とするためのおまじないです。最悪の事態を挙げておくことで、もしもの時に備えます。

#### 現在のメモリ情報を確認

- メモリ情報を確認


free -h

-hオプションは(human readable)の略だそうです

- 実行結果

               total        used        free      shared  buff/cache   available
Mem:           3.8Gi       450Mi       2.9Gi       2.5Mi       688Mi       3.4Gi
Swap:             0B          0B          0B


Swapが全く作成されていません。

#### 現在のディスク容量の確認

- 要領確認


df -h


- ○実行結果


Filesystem      Size  Used Avail Use% Mounted on
/dev/root        78G  5.0G   73G   7% /
tmpfs           2.0G     0  2.0G   0% /dev/shm
tmpfs           784M  980K  783M   1% /run
tmpfs           5.0M     0  5.0M   0% /run/lock
/dev/vda15      105M  6.1M   99M   6% /boot/efi
tmpfs           392M   12K  392M   1% /run/user/1001


容量は問題ありません。実メモリと同じ4GBの領域を作ります。

と、作業の前の確認を行います。Markdownの判定で省いていますが、

1コマンド1ブロック というルールを遵守するように筆者は心がけています。

それがたとえ、参照するための

free -h

であってもです。この、最初の一歩を確認できない場合は

sudo rm -rf ./*

などの重要で致命的なコマンドも疎かにしてしまうからです。

#### Swap領域の確保

- Swap領域作成

sudo fallocate -l 4G /swap

- ファイル作成確認


ls -ldh /swap


指定ディレクトリに4GBのファイルがあることを確認します。

#### Swapの有効化

- /swapのパーミッション変更


sudo chmod 600 /swap


- パーミッション変更確認


ls -ldh /swap

rootのみが読み書き可能なことを確認します\

#### /swapの設定

- Swap領域作成


sudo mkswap /swap


- 実行結果


スワップ空間バージョン 1 を設定します。サイズ = 4 GiB (4294963200 バイト)
ラベルはありません, UUID=08cf06da-757e-4ab4-b049-e7da8ee73341


 ★/swapの有効化


sudo swapon /swap


#### Swap有効化確認

- メモリ情報確認

free -h

- ○実行結果


               total        used        free      shared  buff/cache   available
Mem:           3.8Gi       446Mi       2.9Gi       2.5Mi       689Mi       3.4Gi
Swap:          4.0Gi          0B       4.0Gi


4GBのSwap領域が確保されました。

ここで、作業手順を一気に書きます。ここでも、一つ一つの確認を行うことで、「すっ飛ばしたときのリカバリー」を容易にしています。

#### fstab設定

- /etc/fstabのバックアップ


sudo cp -pi /etc/fstab /path/to/backup/directory/fstab.$(date +%Y%m%d)


- バックアップ作成確認


diff -u /path/to/backup/directory/fstab.$(date +%Y%m%d) /etc/fstab 


差分が無いことでバックアップが取れていることを確認します。

- /etc/fstab追記


cat <<- __EOF__ | sudo tee -a /etc/fstab
/swap none swap sw 0 0
__EOF__


- 差分確認


diff -u /path/to/backup/directory/fstab.$(date +%Y%m%d) /etc/fstab

- 差分


+/swap none swap sw 0 0

ここでは、「単にスワップを作成しただけでは終わらない」というLinuxのファイルシステムに言及しています。この/etc/fstabはディスク全体を司るテキスト群。そのため、

  • バックアップ
  • 実施時のオペレーションを確実に減らすためのteeによる追記
  • 追記後のdiffによる確認

と、「実際に作業を行ったか」を感覚では無くコマンドという冷静で絶対的な眼として確認します。

#### 再起動後の修正確認

- システム再起動


sudo reboot

- 再起動後の確認

以下が確認できれば作業完了です。

1. サーバにログインできること
1. Webサービスなど既存システムが設定前と同様に稼働すること
1. free -h を実行し、Swap領域が確保されていること

ここで、最終確認を行います。rebootを実施するのは、それだけシステム全体に関わる作業を行うからです。

ここまでやって

ようやく筆者の「標準」といえる手順書が作成されました。まぁ、最初にここまでやるというのは酷な話ではあると思いますが

  1. まずは非常に簡単な手順書を作る。それこそsystemctl status apache2.servicesudo systemctl restart apache2.service程度で構いません。
  2. そこから一つずつ発展させていく

と、ある程度の段階を積んでいくことが、より確実な手順と言えます。

最後にもう一つ

「自分で作った手順書が有効かどうか、第三者に実際に行ってもらう」手法は極めて有効です。

その手順書で失敗してしまったら → 確実に作成した自分自身の責任です。

この、言語化・共有化というのは「間違った手段も共有される可能性がある」からです。私もそうならないよう気をつけますが、

『超電磁マシーン ボルテスV』の

岡長官
 「そんな杓子定規な」
左近寺博士
「杓子結構、定規賛成」

という、割とガチめの引用で以て本稿を締めくくります。

PCにおけるメモリ量の観測。(低スペックのPCは使用に耐えられるのか?)

概要

2025年10月にサポート終了を迎えたWindows 10。

巷では

  • 入門用のWindows11搭載スペックは……
  • 古いPCでもLinuxであれば……

などの記事を見かけたと思います。

しかしながら

  • 入門用とされるWindows11のスペック( N100 / 8GB程度メモリ )のPCを買う
  • それよりもはるかに劣るスペックのPCをLinuxに換装する

程度ではビジネスユースはおろか日常の

  • オフィスソフト
  • ブラウザ

の同時利用には「とうてい耐えられない」と言い切れる根拠。

言い換えると「絶対に越えられない壁」という奴を「リソースの消費量」という形で証明します。

それも、巷にあるベンチマークソフトを使わずに。『アカギ』で言うところの「俺はもっと ストレートに行くよ……」です。

使うもの

  • Windows 11
  • テキストエディタ
  • PowerShell
  • Officeソフト(この例ではWord)
  • Chrome

のみです。

Word計測ツールの用意

テキストエディタを用いて、以下のパワーシェルスクリプトを作成します。

C:\batあたりにディレクトリを掘っておくといいでしょう。

  • benchmark_word.ps1
# --- ユーザー設定 ---
# ファイルサーバ上のWordファイル(UNCパス)
# サンプルとして、ファイルサーバー名、共有名、ディレクトリ名を一般的なものに変更しています。
# 実際の環境に合わせてパスを変更してください。
$FilePath = '\\YourFileServer\ShareName\SampleProject\TestDocument.docx'

# ログファイル(ローカル保存)
$LogPath = "C:\Temp\Log\word_benchmark_log.txt"
# ------------------

# --- ログ出力関数(リトライ付き) ---
function Write-Log {
    param (
        [string]$Message,
        [string]$Color = "White"
    )
    # コンソール出力
    Write-Host $Message -ForegroundColor $Color

    # ログファイル出力(リトライ付き)
    $maxRetries = 5
    $retryDelay = 500 # ミリ秒

    for ($i = 0; $i -lt $maxRetries; $i++) {
        try {
            # ログファイルのディレクトリが存在しない場合は作成
            $LogDir = Split-Path -Path $LogPath -Parent
            if (-not (Test-Path $LogDir)) {
                New-Item -Path $LogDir -ItemType Directory | Out-Null
            }

            Add-Content -Path $LogPath -Value ("[{0}] {1}" -f (Get-Date -Format "yyyy-MM-dd HH:mm:ss"), $Message)
            break
        } catch {
            Write-Host "WARN: ログ書き込みに失敗しました。リトライ中... ($i/$maxRetries)" -ForegroundColor "DarkYellow"
            Start-Sleep -Milliseconds $retryDelay
        }
    }
}

# --- 初期化 ---
# ログファイルをクリア
Clear-Content -Path $LogPath -ErrorAction SilentlyContinue
Write-Log -Message "--- Word(UNCパス指定)ベンチマークテスト ---" -Color "Yellow"

# --- ファイル存在確認 ---
if (-not (Test-Path $FilePath)) {
    Write-Log -Message "エラー: 指定されたファイルが見つかりません。パスを確認してください: $FilePath" -Color "Red"
    return
}

# --- 既存のWordプロセスを終了 ---
Write-Log -Message "INFO: 既存のWordプロセスをクリーンアップします..." -Color "White"
Get-Process winword -ErrorAction SilentlyContinue | Stop-Process -Force
Start-Sleep -Seconds 2

# --- 変数初期化 ---
$wordApp = $null
$document = $null
$TimeTaken = $null
$ProcInfo = $null
# COMメソッドの省略可能な引数に使用する値
$Missing = [System.Reflection.Missing]::Value

try {
    # 1. Word起動とファイルオープンの時間を計測
    Write-Log -Message "1. Wordの起動とファイルオープンを計測中..." -Color "White"
    $TimeTaken = Measure-Command {
        # Wordアプリケーションのインスタンスを作成
        $wordApp = New-Object -ComObject "Word.Application"

        # ファイルを開く (引数: FilePath, ConfirmConversions, ReadOnly, AddToRecentFiles, PasswordDocument, PasswordTemplate, Revert, WritePassword, Format, Encoding, Visible)
        $document = $wordApp.Documents.Open(
            $FilePath,
            $false,         # ConfirmConversions
            $false,         # ReadOnly
            $false,         # AddToRecentFiles
            $Missing,       # PasswordDocument
            $Missing,       # PasswordTemplate
            $false,         # Revert
            $Missing,       # WritePassword
            $Missing,       # Format
            $Missing,       # Encoding
            $false          # Visible (False: 開いた直後は非表示)
        )
    }

    # Wordを可視化し、プロセスが完全に立ち上がるのを待つ
    $wordApp.Visible = $true
    Start-Sleep -Seconds 2 

    $StartTimeSec = [math]::Round($TimeTaken.TotalSeconds, 2)
    Write-Log -Message "  [結果] 起動&ファイルオープン時間: $StartTimeSec 秒" -Color "Green"

    # 2. リソース使用量の計測
    Write-Log -Message "2. リソース使用量を計測中..." -Color "White"
    Start-Sleep -Seconds 3 # リソースが安定するのを待つ

    $ProcInfo = Get-Process winword -ErrorAction SilentlyContinue
    if ($ProcInfo) {
        # 複数のwinwordプロセスがある場合の合計を計測
        $TotalMemMB = [math]::Round( ($ProcInfo | Measure-Object -Property WS -Sum).Sum / 1MB, 2)
        $TotalCpuSec = ($ProcInfo | Measure-Object -Property CPU -Sum).Sum
        if ($TotalCpuSec -eq $null) { $TotalCpuSec = 0 }
        $TotalCpuSec = [math]::Round($TotalCpuSec, 2)

        Write-Log -Message "  [結果] メモリ使用量 (WS 合計): $TotalMemMB MB" -Color "Green"
        Write-Log -Message "  [結果] CPU使用時間 (Total 合計): $TotalCpuSec 秒" -Color "Green"
    } else {
        Write-Log -Message "  [警告] Wordプロセスが見つかりませんでした。" -Color "Yellow"
    }

} catch {
    Write-Log -Message "致命的なエラーが発生しました: $($_.Exception.Message)" -Color "Red"
    # エラーの詳細ログ
    Write-Log -Message "エラー詳細: $($_.ScriptStackTrace)" -Color "Red"
} finally {
    # 3. クリーンアップ
    Write-Log -Message "3. クリーンアップを実行します。" -Color "White"

    if ($document -ne $null) {
        # 変更を保存せずに閉じる
        try {
            $document.Close($false) 
            [System.Runtime.InteropServices.Marshal]::ReleaseComObject($document) | Out-Null
        } catch {
            Write-Log -Message "WARN: Document COMオブジェクトのクリーンアップ中にエラー: $($_.Exception.Message)" -Color "DarkYellow"
        }
    }

    if ($wordApp -ne $null) {
        try {
            $wordApp.Quit()
            [System.Runtime.InteropServices.Marshal]::ReleaseComObject($wordApp) | Out-Null
        } catch {
            Write-Log -Message "WARN: Application COMオブジェクトのクリーンアップ中にエラー: $($_.Exception.Message)" -Color "DarkYellow"
        }
    }

    # 変数の解放
    Remove-Variable wordApp, document, ProcInfo, TimeTaken -ErrorAction SilentlyContinue

    # 残っているWordプロセスを強制終了
    $remaining = Get-Process winword -ErrorAction SilentlyContinue
    if ($remaining) {
        Write-Log -Message "INFO: 残留Wordプロセスを強制終了しました。" -Color "White"
        $remaining | Stop-Process -Force
    }

    Write-Log -Message "--- テスト完了 ---" -Color "Yellow"
}

開きたいファイルを正確に指定し、文字コードをUTF-8(BOMつき)で保存します。

Powershellの実行

まず、Windows Powershellを開きます。(管理者権限である必要はありません)

次に、スクリプトに一時的な実行権を与えます。(デフォルトでは自作のスクリプトの実行権が与えられていないため)

Set-ExecutionPolicy -Scope Process -ExecutionPolicy Bypass

そうした上で、

& "C:\script\benchmark_word.ps1"

を実行。

結果は以下の通りです。

--- Word(UNCパス指定)ベンチマークテスト ---
INFO: 既存のWordプロセスをクリーンアップします...
1. Wordの起動とファイルオープンを計測中...
  [結果] 起動&ファイルオープン時間: 1.36 秒
2. リソース使用量を計測中...
  [結果] メモリ使用量 (WS 合計): 289.7 MB
  [結果] CPU使用時間 (Total 合計): 4.44 秒
3. クリーンアップを実行します。
INFO: 残留Wordプロセスを強制終了しました。

と、300MB近くの使用量がありました。数MB程度の文書を開く際でも、ワードのようなモダンアプリケーションはメモリもCPUもそれなりに使うことが判明。

ブラウザの場合

続いて、ブラウザの場合はどうなるでしょうか? 先ほどのフォルダに

benchmark_chrome.ps1

を作成します。

# --- ユーザー設定 ---
# ログファイル(ローカル保存)
$LogPath = "C:\Temp\Log\chrome_benchmark_log.txt"
# Chromeの実行ファイルパス (通常はこのままでOK)
$ChromePath = "C:\Program Files\Google\Chrome\Application\chrome.exe"
# 検索するURLとクエリ
$InitialUrl = "https://www.google.com/search?q=wikipedia"
# ------------------

# --- ログ出力関数(リトライ付き) ---
# (前回のスクリプトから変更なし)
function Write-Log {
    param (
        [string]$Message,
        [string]$Color = "White"
    )
    Write-Host $Message -ForegroundColor $Color

    $maxRetries = 5
    $retryDelay = 500 # ミリ秒

    for ($i = 0; $i -lt $maxRetries; $i++) {
        try {
            $LogDir = Split-Path -Path $LogPath -Parent
            if (-not (Test-Path $LogDir)) {
                New-Item -Path $LogDir -ItemType Directory | Out-Null
            }

            Add-Content -Path $LogPath -Value ("[{0}] {1}" -f (Get-Date -Format "yyyy-MM-dd HH:mm:ss"), $Message)
            break
        } catch {
            Write-Host "WARN: ログ書き込みに失敗しました。リトライ中... ($i/$maxRetries)" -ForegroundColor "DarkYellow"
            Start-Sleep -Milliseconds $retryDelay
        }
    }
}

# --- 初期化 ---
Clear-Content -Path $LogPath -ErrorAction SilentlyContinue
Write-Log -Message "--- Chrome Webアクセス・ベンチマークテスト ---" -Color "Yellow"

# --- 実行ファイル存在確認 ---
if (-not (Test-Path $ChromePath)) {
    Write-Log -Message "エラー: Chrome実行ファイルが見つかりません。パスを確認してください: $ChromePath" -Color "Red"
    return
}

# --- 既存のChromeプロセスを終了 ---
Write-Log -Message "INFO: 既存のChromeプロセスをクリーンアップします..." -Color "White"
Get-Process chrome -ErrorAction SilentlyContinue | Stop-Process -Force
Start-Sleep -Seconds 2

# --- 変数初期化 ---
$TimeTaken = $null
$ProcInfo = $null

try {
    # 1. Chrome起動、Google検索、Wikipedia移動の時間を計測
    Write-Log -Message "1. Chrome起動からWikipedia表示までの時間を計測中..." -Color "White"

    # ストップウォッチを開始
    $Stopwatch = [System.Diagnostics.Stopwatch]::StartNew()

    # Chromeを起動し、Google検索URLへ移動
    # -Wait: プロセスが終了するまで待機(この場合はタブを閉じるまで待機してしまうため使用しない)
    $Proc = Start-Process -FilePath $ChromePath -ArgumentList $InitialUrl -PassThru

    # プロセスが完全に立ち上がり、ページがロードされるのを待機
    # ページの完全なロード完了を正確に捕捉するのは困難なため、ここでは固定の待機時間を使用します。
    Start-Sleep -Seconds 5

    # ストップウォッチを停止
    $Stopwatch.Stop()

    $TimeTaken = $Stopwatch.Elapsed
    $StartTimeSec = [math]::Round($TimeTaken.TotalSeconds, 2)
    Write-Log -Message "  [結果] 起動&Webアクセス時間: $StartTimeSec 秒" -Color "Green"

    # 2. リソース使用量の計測
    Write-Log -Message "2. リソース使用量を計測中..." -Color "White"
    Start-Sleep -Seconds 3 # リソースが安定するのを待つ

    # Chromeは複数プロセスで実行されるため、全てを対象とする
    $ProcInfo = Get-Process chrome -ErrorAction SilentlyContinue
    if ($ProcInfo) {
        # 複数のchromeプロセスの合計を計測
        $TotalMemMB = [math]::Round( ($ProcInfo | Measure-Object -Property WS -Sum).Sum / 1MB, 2)
        $TotalCpuSec = ($ProcInfo | Measure-Object -Property CPU -Sum).Sum
        if ($TotalCpuSec -eq $null) { $TotalCpuSec = 0 }
        $TotalCpuSec = [math]::Round($TotalCpuSec, 2)

        Write-Log -Message "  [結果] メモリ使用量 (WS 合計): $TotalMemMB MB" -Color "Green"
        Write-Log -Message "  [結果] CPU使用時間 (Total 合計): $TotalCpuSec 秒" -Color "Green"
    } else {
        Write-Log -Message "  [警告] Chromeプロセスが見つかりませんでした。" -Color "Yellow"
    }

} catch {
    Write-Log -Message "致命的なエラーが発生しました: $($_.Exception.Message)" -Color "Red"
    Write-Log -Message "エラー詳細: $($_.ScriptStackTrace)" -Color "Red"
} finally {
    # 3. クリーンアップ
    Write-Log -Message "3. クリーンアップを実行します。" -Color "White"

    # 確実にChromeプロセスを終了
    $remaining = Get-Process chrome -ErrorAction SilentlyContinue
    if ($remaining) {
        Write-Log -Message "INFO: 残留Chromeプロセスを強制終了しました。" -Color "White"
        $remaining | Stop-Process -Force
    }

    Write-Log -Message "--- テスト完了 ---" -Color "Yellow"
}

Powershellの実行

まず、Windows Powershellを開きます。(管理者権限である必要はありません)

次に、スクリプトに一時的な実行権を与えます。(デフォルトでは自作のスクリプトの実行権が与えられていないため)

Set-ExecutionPolicy -Scope Process -ExecutionPolicy Bypass

そうした上で、

& "C:\script\benchmark_chrome.ps1"

を実行。以下の驚くべき結果が出ました。

--- Chrome Webアクセス・ベンチマークテスト ---
INFO: 既存のChromeプロセスをクリーンアップします...
1. Chrome起動からWikipedia表示までの時間を計測中...
  [結果] 起動&Webアクセス時間: 5.03 秒
2. リソース使用量を計測中...
  [結果] メモリ使用量 (WS 合計): 1413.37 MB
  [結果] CPU使用時間 (Total 合計): 17.97 秒
3. クリーンアップを実行します。
INFO: 残留Chromeプロセスを強制終了しました。
--- テスト完了 ---

なんと、メモリは1.4GB利用。単にWikipediaを計算しただけです。

補足しておくと、この検証に使用した筆者の環境は

  • Ryzen 5 4500 3.6GHz (6コア12スレッド)
  • GTX 1650 (4GB VRAM)
  • メモリ64GB

と、ビジネスユースにしては「化け物」なスペックであってもです。

PCの利用=ブラウザの利用

という現代の環境において、以下のポイントが、「ネット閲覧程度であれば云々」の神話を打ち破る主要な論拠となります。

マルチプロセスアーキテクチャによるメモリの膨張

Chrome(および他のモダンブラウザ)が採用しているマルチプロセスアーキテクチャが、メモリ消費量の最大の原因です。

  • 従来のアプリ (Word):
    • 1つのウィンドウやドキュメントにつき、通常はメインプロセス1つが主体となります。
  • モダンブラウザ (Chrome):
    • ブラウザ全体を制御するプロセスに加え、タブごと、拡張機能ごと、時にはWebサイト上の異なるフレームごとに独立したレンダリングプロセスを生成します。

結果として、たった1つのタブを開いているだけでも、タスクマネージャー上では10〜30個のchrome.exeプロセスが立ち上がり、ベンチマーク結果のように、それらの合計で1GBを優に超えるメモリを消費します。

Webコンテンツの「リッチ化」

そして、現在のWebサイトは、単純なテキストや画像で構成されていません。

  • JavaScriptの肥大化:
    • 多くのWebサイトが、高度なインタラクティブ機能やリアルタイム通信のために巨大なJavaScriptフレームワーク(React, Vue, Angularなど)を使用しています。これらのスクリプトエンジンと実行環境がメモリを大量に占有します。
  • 高解像度メディアと広告:
    • 高解像度の画像、埋め込み動画、そして追跡スクリプトや動的な広告は、ブラウザに多くの処理とメモリ負荷をかけます。

3. ベンチマーク結果の対比

アプリケーション目的メモリ消費量 (WS 合計例)
Word (COM操作/UNCファイル)文書作成(重量級ローカルアプリ)290 MB
Chrome (Google検索 → Wikipedia)ウェブ閲覧(単一タブ)1,413 MB

この対比から、現代の「ウェブ閲覧」が、伝統的なローカルの重量級アプリケーションよりも、起動直後で約5倍近いメモリリソースを要求することが明確に示されます。

ここに、

  • OSそのもののメモリ消費量
  • ウィルス対策ソフト
  • マルチタスク(ビジネスユースであればこれらを開いたと同時にSlackやTeamsを開くのが当然のはずです)

が加わるとなると、古い、低スペックのハードウェアをLinuxに変えた「程度」では、付け焼き刃にすらなりません。

したがって、「ネット閲覧程度」の利用を想定してPCのスペックを決める場合、最低でも16GBのメモリを搭載しないと、動作が非常に緩慢になるリスクが高いという結論になります。

なぜなら、2025年現在、通常のインターネット環境でのビジネスや学習というのは「ブラウザのタブ多重起動」を前提に作られているのですから。

ジェレミー・クラークソン(旧TopGearやGrandTour司会者)の

Power is EVERYTHING. More is better.
( パワーはすべてを解決する。気筒数は多ければ多いほどいい)

A horsepower, A horsepower!
Horsepower for my kingdom!
「馬力だ! 馬力の代わりに我が王国をやるぞ!」

は、こと、PCのリソース割当については「反論の余地がない真である」という結論で本稿を締めくくります。

「あなたにとっての“ナイフ”」とは?-3- (「私が量産品を選ぶ理由」)

前回、「万年筆」を

  • 格好良いから

という理由で使い始めました。その書き味や機能性に惹かれて言った結果、なぜLAMY Safari(AL-Star)を選択したかという部分について解説します。

自分の感覚という「Book」

『メリー・ポピンズ・リターンズ』の『本は表紙じゃ分からない/Cover is not the Book』に曰く

Cover is not the book / 心が目に見えないように本も
So open it up and take a look / 表紙の美しさに騙されちゃダメ
'Cause under the covers one discovers / 中身読んだらやさしい王様
That the king may be a crook / 詐欺師だとわかるかも

とあります。この、「きちんと中身を読んだ」結果として、今の自分はLAMY Safari(AL-Star)になったという形です。

LAMYを使って良かった点:重心

これが一番、自分が良かったと思うポイントです。LAMY万年筆最大の特徴と言えるクリップ付きのキャップ。筆記時、これを後ろにつけることで重心が後ろ寄りになります。これにより、必然的に重心は親指と人差し指の付け根にフィット。
軽く支えるだけでさらさらとした書き味を保証してくれます。

より重いアルミを用いたAL-Starはそれを更に補強。ひんやりとした金属の素材感と相まって「よりしっかりした書き味」を楽しめます。

LAMYを使って良かった点:フィット感

持ちやすさ、と言い換えてもいいでしょう。持ち手の上が自然にカット(三角形のカーブ)があることで、手になじむような形にフィット。

何よりも、この持ち手が明示されていることで万年筆にありがちな「どこがペン先の上か?」を一切気にする必要がありません。

LAMYを使って良かった点:速度

この場合の速度は

  1. 書こうとする
  2. ペンを取り出す
  3. キャップを取り外す
  4. 書き始める

のスタートです。多くの高級万年筆は(キャップレスでない場合は)ネジ式のキャップであるため「キャップを取り外す」がハードルになります。

ですが、LAMY万年筆はシンプルなキャップ式を採用。「取り外す」手間が秒単位で速くなります。

LAMYを使って良かった点:カラーバリエーション

『忍風戦隊ハリケンジャー』のカラーで揃えられるなどバリエーションは豊富

通常色、限定色、チャーム付きなど、多彩なカラーバリエーションがあります。

単に物欲を充たしてくれるのはもちろんのこと、ボディに沿った色のインクを詰めることで、インク補充時に「このライトグリーンには『翠玉』のインクを。黄色には『夕焼け』を選ぶ」と、直感に従ったインク補充が可能になります。

量産品であるという美徳

おおよそ道具というものは使ってなんぼ、壊れてなんぼという考えです。なので、「書く」という「思考を伝達する道具」の替えが効かないというのは、それ自体が単一障害点(SPOF: Single Point of Failure):その部分に障害が発生すると、システム全体が停止してしまうような、代替手段のない単一の要素になります。

しかし、LAMY Safariであれば

  • Amazon等のネットショップで2500円程度から買える(2025年11月現在)。
  • 大都市圏の文具店、量販店でも扱っている。

という、「替えが効く」理由としては十分です。紛失、破損などがあっても「ペンそのものを用意できる」という安心感は非常に有用です。

量産品のユーザーの多さ

これに落ち着く前、中華万年筆を使っていました。「安いに越したことはない」と。しかし、

  • インクの乾きが速く、キャップをしてもすぐにペン先が詰まる
  • ひどいのになるとインクがすべて飛び跳ねてしまった

という「安物買いの銭失い」を地で行く結果となりました。この「授業料」の結果、ある程度は出費を覚悟しても(それでも高級万年筆よりは安価です)それなりのものとして白羽の矢が立ったのがLAMY万年筆でした。

最初は「樹脂製のデザイン」等がハードルとなっていましたが

  • 古くからのデザインという普遍性は、それだけ使われる理由があるということ。
  • 工学的に優れたデザインのため飽きが来ないということ。
  • ファンが多いため世界各国のユーザーからの知見が山ほどあること。

という、量産品の強みが前面に打ち出されたのです。

まとめに代えて

以上、「格好良さ」から始めた万年筆は、

  • 合理的な機能
  • 量産品の強み

という筆者のプラグマティズムにより、これを求めたという結論。コレクションを手放すことになったとか、壊れたという話でない限り、他のブランドに手を出すのはまだまだ先となりそうです。何せ、前の記事でお話ししたとおり5年前のSafariが未だに現役なのですから。

ここで、「量産品の強み」を最も的確に表した『ガールズ&パンツァー』、サンダース大付属のアリサがM4シャーマン戦車を

「丈夫で壊れにくいし、おまけに居住性も高い!
  バカでも乗れるくらい操縦が簡単で、
 バカにも扱えるマニュアル付きよ!」

と評した言葉を以て、本稿を締めくくります。

「あなたにとっての“ナイフ”」とは?-2- (万年筆を選んだ理由)

基本的に筆者はプラグマティズムを以て道具を選びますが「それ以上の理由」。即ち

  • 伊達
  • 酔狂

の2つで使い始めた結果として、この万年筆というスタイルが確立されたという話です。

メインの万年筆一覧

まずこちらを。

LAMY Safari / AL-Starを中心に、一部は

  • Pilot ライティブ
  • カスタム ヘリテイジ

が一部混じっています。筆者が帰る範囲で諸々を試し、これに落ち着きました。これらは筆者のアナログの言葉通りの意味で屋台骨として支える道具。2025年現在、一番長く使って13年。短くても2年は愛用しています。

万年筆のデメリット

結論から言います。万年筆はデメリットが多い道具です。

値段の問題。

他の筆記具とベースの価格が違います。(全ての道具は天井知らずなので一般的に買えるものに絞ります)

これら3つは100均でも見かけるものでしょう。

  • シャープペンシル
    • 100円商品として1本は買える。替え芯を合わせても200円ほど。(+消費税)
  • 鉛筆:
    • 100円で4本程度。鉛筆削りを足しても200円。(+消費税)
  • ボールペン
    • これはもっと安く、100円で10本ほどセットで買えるでしょう。

ですが、万年筆は、入門用に限った上でも

おおよそ「500円台〜6,000円台」まで。(Copilot調べ)

価格帯特徴・用途例主なモデル例(参考)
〜500円超低価格帯。プラスチック製で軽量。試し書きや学生の練習用に最適。プラチナ プレピー、ダイソー製品など
1,000〜2,000円初心者向けの定番。カートリッジ式が多い。PILOT カクノ、セーラー ふでDEまんねん
2,000〜4,000円書き心地やデザイン性が向上。プラチナ プレジール PILOT ライティブ
4,000〜6,000円金属製や透明軸など、質感やインクの楽しみが広がる。長く使える1本に。ラミー サファリ、セーラー プロフィットJr.、パイロット コクーン
6,000円以上本格派の入門機。耐久性・筆記性能ともに高く、長期使用を前提とした設計。パイロット カスタム74(入門上級)

と、桁が違います。

消耗品の問題。

ここに「インク」が加わります。日本のボールペンの筆頭ブランドである『Jet Stream』シリーズとカートリッジ式、これら、一つでどこまで書けるのかを見てみます。

筆記具インク容量の目安書ける文字数(概算)原稿用紙(400字詰)換算備考
ジェットストリーム(0.5mm)約0.4〜0.5ml約20,000〜25,000字約50〜60枚油性・低粘度インクで長持ち
パイロット 万年筆カートリッジ約0.9ml約4,000〜5,000字約10〜12枚字幅や筆圧により変動
セーラー 万年筆カートリッジ約1.0ml約5,000〜6,000字約12〜15枚染料インクでやや多め
  • ジェットストリームのボールペンは約20,000〜25,000文字
  • パイロットやセーラーの万年筆カートリッジは約4,000〜6,000文字

この時点で、ボールペンのコストパフォーマンスは圧勝。

もっとわかりやすく言うと原稿用紙換算では

  • ボールペン:約50〜60枚
  • 万年筆:約10〜15枚分

というより、ボールペンのインク切れを体験するという方はかなり少ないのではないでしょうか。(書き味が怪しくなったら新しいボールペンを買うというのが基本的な運用だと思います)

また、カートリッジもインクも高額です。(インク沼という言葉を聞いたことがあるかと思います)

手間の問題。

万年筆のカートリッジ交換はボールペンとほぼ同じぐらいとは言え手間です。

インク補充式ともなると

  • インクがこぼれないように(倒れでもしたら大惨事です)
  • インクを間違えないように(複数本、色が違うものを用いている場合)
  • 吸入した後、確実に書けるかの確認

と、別次元の手間が加わります。

確実性の問題。

万年筆は、上記のシャープペンシルや鉛筆、ボールペンなどに比べて「誰でも使える」筆記具ではありません。断じて。

再掲しますが:

漫画『MASTERキートン』に以下のやりとりがあります。

「やめておけ」
「…………」
「拳銃の方が、ナイフよりも速いと思っているんだろう。
 だが、拳銃はデリケートな道具だ。
 弾が出ないかもしれないし、
思い通り的に当たるとは限らん。
おまけに拳銃は、
抜き、構え、引き金を引くまでに三動作(スリーアクション)……
その点ナイフは、一動作(ワンアクション)で終わる。
この距離なら、絶対に俺が勝つ!!
どうする? それでもやってみるかね?」

万年筆は

  • デリケートさ
  • 使うまでのアクション
  • 書き始めるまでの動作

全てが劣ります。特に、品質が悪いものともなると、使った瞬間にインクが漏れて服に付着するなんてこともあります。

この、一般的な筆記具ではなく万年筆を筆者が使い続ける理由を述べます。

使い始めた理由

「格好良いから」

これに尽きます。ハッキリ言って、これ以外の理由は全て『後付け』に過ぎません。

  • インクを補充する
  • あのペン先の格好良さ
  • ボールペンとも違う高級感

全てが「他の人と違う特別感」が、使い始めたきっかけでした。

インク補充の格好良さ

上記、述べたインク補充は、サーバのメンテナンスのごとき、手間をかけることで「自分のものである」という愛着を持つことができます。

自分で組み立てたものなど、自分の手で労力をかけたものに対して、本来の価値以上の価値を見出す心理的な傾向

いわゆる「イケア効果」の発露の表れです。

「書き味が違う」

これもまた別格でした。筆圧が強い方だったので、力を入れずにさらさらと書ける、滑るような書き心地は、一度慣れてしまうと他に戻れなくなった次第です。

それなりのものを使えば長持ちする。

上述した通り、手入れされた万年筆は圧倒的な強度を誇ります。

  • 未だに使えているヘリテイジ カスタムは2012年から愛用。
  • 限定版、丸の内Oazo10周年記念で買ったヘリテイジは2015年から愛用。
  • Lamy Safariも5年は使っているものがある。

「万年」の名は伊達ではありません。

まとめに代えて「合理性を超えるもの」

最終的に

  • この書き味があるならもっと試してみよう
  • これは自分のものだというもの
  • TCGプレイヤー特有のコレクション欲

が加わり、ちょっとした万年筆のコレクション群を持ち歩き、日々使い続けているという話でした。では、なぜLAMY Safariに落ち着いたかというのはまた次に機会を設けて記事を記します。

映画『Back to the Future』の

「If you're gonna build a time machine into a car, why not do it with some style?」
「タイムマシンを車にするなら、カッコよく作らなきゃだろ?」

という言葉を以て、本記事はひとまず区切りとします。

『My Favourite Things(私のお気に入り)』でのモチベーション維持。

はじめに

Rome was not built in a day.

の言葉を引き合いに出すまでもなく、「趣味での個人Webサーバの運用・管理」というやつは一筋縄ではいきません。

  • リソースの定期的な監視
  • 脆弱性対応
  • 脅威への対策

等など、続ければ続けるほど、そして知識を得れば得るほど課題が増えます。そんな中で、どうやってモチベーションを維持していくかという筆者なりの回答です。

「My Favourite Thints』 (※英国英語を用いるのは仕様です※)

『メリー・ポピンズ』と共に筆者が困ったときに立ち返る『サウンド・オブ・ミュージック』。

Raindrops on roses
And whiskers on kittens
Bright copper kettles

で始まる、自分の好きなものを並べた歌詞『My Favourite Things』は

When I’m feeling sad
I simply remember my favourite things
And then I don’t feel so bad

と、「お気に入りのもの」を思い浮かべることで実際軽減される。

ポジティブな注意の転換と感情の自己調整という心理的メカニズムが働くとかなんとか。

注意の転換

  • 人は悲しいとき、ネガティブな思考に囚われがちです。
  • 「お気に入りのもの」を思い出すことで、意識の焦点がポジティブな対象に移る。
  • これは「認知的再評価(Cognitive Reappraisal)」の一種で、感情の強度を下げる効果があります。

自己効力感の回復

  • 「悲しいときは、お気に入りを思い出す」という歌詞は、自分で感情を調整できるというメッセージを含んでいます。
  • これは「自分には対処する力がある」という感覚があります。

そんな自分のお気に入り

  • 「かんばん」
    • ドメインとして取得した reisalin.com / ryza.jp の2つは、これ自体が「お気に入り」を含んでいます。
  • 「道具」の数々
    • 以前紹介した万年筆や手帳は、「メモを取る」という思考の戦いにおいて優位に立てるような気合いを持たせられます。

ここまでは前にも紹介したもの。

ここに

  1. 「どこでもメンテナンスができる道具」
  2. 「集中できる場所」
  3. 「美味しいもの」

の3つを加えます。

ThinkPad

今年購入したThinkPad。中古とは言え

  • 基本性能
  • サイズ感
  • キーボードの打ちやすさ
  • 剛性と信頼性

を有していて、何よりもデザイン性もお気に入り。

重要なのは、ここを介してSSH接続を行える「自分のサーバへのアクセスゲートである」ことです。この、お気に入りの道具を介してサーバ制御を行うというのがモチベーションを維持していくことができます。

お気に入りの場所

写真にも示したのは『夢の島熱帯植物館』。

  • 休憩スペースは植物園に面した絶好のロケーション
  • 息抜きとして様々な植物や花という目に優しいものが揃っている

と、集中にはこれ以上無いほどの条件が揃っています。

そのため、先の歌詞に示した「悲しいとき」でも訪れることにしています。

実際問題として:この夢の島熱帯植物館を舞台に「WebArena → XServerへのWebサイト移行」を行うことができたほどです。

美味しいもの

これはあくまでも「自分にとっての」という意味です。美味しい食べ物がモチベーションを以下に高めるかは今更説明するまでもないでしょう。

こちらのコメダ珈琲の「重軽食」とも言えるようなボリュームある食事と糖分は、頭を使うサーバ管理になくてはならないものです。(これは一例ですが)

まとめとして

この『My Favourite Things』の私の学びは

「サーバ作業のような一瞬のミスですべてが持って行かれる作業に際しては、心身共に平衡を取るマインドセットが必要」

ということに尽きます。どっちかが崩れていれば、本当にアホみたいなミスを行ってしまうというのが筆者が様々な失敗という「授業料」での気づきなので。

余談「験を担ぐ」

徹底した金銭のリアリズムを描いた『ナニワ金融道』において以下のやりとりがあります。

「えらい早いやないか灰原君 君は金融屋に向いとるで!」
「いや まぐれですよ まぐれ」
「いやちがう これはあんたの宿命やで!
 この業界はのー 不渡りが不渡りを呼ぶんや
 だからワシ等はゲンを担ぐんや
 初日のしょっぱなで(融資の見込み客を)ひっかけたんや
 金融屋になるのはあんたの宿命やで!」

と、この、リアリズムに生きている世界ですら「ジンクス」とか「験を担ぐ」というマインドセットが必要という身も蓋もない結論を以て本稿を締めくくります。

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