はじめに

筆者ならびに友人も認める才能。それは、美味しい食事を引き当てる嗅覚です。

口コミサイトには頼らず

  • 自分の直感
  • 知り合いの紹介
  • 文字通りの「嗅覚」(美味しそうと思う香り)

など。人一倍食い意地が張っている筆者にとってはありがたい能力。そして、それ以上に助けられているのは

「食べたいと思うものがなければとことん譲歩できる」才能だったりします。

  • 手持ちと合わない
  • 地元でもっと美味しいものがある
  • 下手すればコンビニの方が美味しいまで見える

という取捨選択…… 言い換えると「護身」の才能です。

護身開眼

筆者が心に置いている言葉があります。『バキ』最凶死刑囚編で、渋川剛気の師匠、御輿芝喜平(護身流合気術開祖)がいう

「闘って勝つなどと言うことは
武の段階で言うなら未熟も未熟」

「勝てぬ敵には近寄れぬ」

「行こうにもそ奴の力量が おぬしの上ならば辿り着くことができんのじゃよ」

これに従いました。何というか、食事処すべてにどでかい閂付きの扉がありました。金刀比羅宮の参道にあるパーラーですら、入ろうとした瞬間に「いや…… やめよう」となったほど。

先に述べた「徳川ゆかりの地ほど相性が良い」薩摩ゆかりの自分としてもそこで暴れ回る(?)御先祖様の不興を買うのは得策ではありません。

では、高松に戻りましょう。

Yadon is not an Udon/ヤドンはうどんではない

幸い、時刻はまだランチタイムに十分間に合う頃合いです。琴電琴平駅から高松へ戻るべく、電車に乗り込みます。

そこで待っていたのが、ヤドンラッピング電車でした。

車体にヤドン。車内のシートにもヤドン。広告にもヤドン。どこを見てもヤドンです。

「うどん県ならではのコラボ……!」

香川県とポケモンのコラボレーションとして、これほど分かりやすいものもないでしょう。うどん県にヤドン。語感からして強い。

しかし、ここで筆者の脳内にひとつの天啓が降りてきました。よし、ならばお昼はラーメンにしよう。

うどん県でヤドンを眺めながら、ラーメンを食べる。「Yadon is not an Udon/ヤドンはうどんではない」のタイトル回収です。

徳島ラーメンという選択肢

そもそも、筆者が徳島ラーメンに目をつけたのには理由があります。徳島駅前の「麺王」で食べた一杯が、実に素晴らしかったのは前の記事でも述べたとおり。

その感動たるや、思わず「……拠点をこっちにするべきだった?」と考えてしまったほど。

旅先で食べた一杯のラーメンによって、宿泊拠点の選定にまで疑問が生じる。食事の力とは恐ろしいものです。

今回の旅では、うどんを食べるチャンスも残っていました。最終日の朝です。

一方、チェックアウトの時刻を考えると、徳島ラーメンを食べる機会は、この日のお昼くらいしかありません。

うどんはまだ残っている。徳島ラーメンは、今を逃せば食べられないかもしれない。

そう考えれば、答えはひとつでした。

そもそも、奥宮で入れなかった場所があったことも、こう考えれば納得できます。

これはきっと、「今日はこっちを食べろ」というお導きなのでしょう。

筆者はこういうとき、先の護身に全力で乗っかることにしています。

麺王の海老王

高松築港駅から歩いてすぐのところに、麺王があります。

徳島駅前で感動したあの味を、香川県でもいただく。今回注文したのは、その名も「海老王」です。

名前のとおり、海老の出汁が主役。

ひと口すすれば、海老の旨味が濃厚に広がります。スープの印象は、まるでビスク。ラーメンのスープでありながら、フレンチの海老料理を思わせるほどの濃さがあります。

素晴らしいおいしさでした。

金刀比羅宮の石段を上り、奥宮まで足を運び、そしてまた下りてきた筆者。汗をかき、体力を使い、水分もミネラルも失っています。

そこに、この濃厚な海老スープ。身体に染み渡るとは、まさにこのことです。

さらに替え玉を注文。今度は唐辛子を練り込んだ麺で、味わいを変えながらいただきます。

濃厚な海老の旨味に、唐辛子の刺激。石段の上り下りで消耗した身体が、みるみる回復していくようです。

うどん県で食べる徳島ラーメン。しかも、海老王。

ヤドンを見たからラーメンを食べるという、我ながらどういう連想なのかと思わなくもありませんが、結果は大当たりでした。

さて、この後どうするか

お腹は満たされました。では、この後どうするか?

明日には高松を引き払います。尾道を巡り、金刀比羅宮にも参拝した。旅の目的としては、すでに大満足です。

そして、外は本降りの雨。

ここまで来れば、無理に新しい観光地を探し回る必要もありません。旅としては、もう十分にクリアしているのです。

とはいえ、せっかく高松まで来たのですから、もう少し何かできることはないか。

そこで筆者は、手元にあるガラスと金属の板に尋ねることにしました。

「どっかお勧めのスポットないか?」

現代の旅人が持つ、最も手軽な観光案内所です。返ってきたのは、商店街を勧める強いサジェストでした。

高松商店街。

雨が降っている。明日には帰る。すでに主要な目的は達成した。それならば、屋根のある場所をのんびり歩くのも悪くありません。

このときは、まだ分かっていませんでした。の商店街という選択が、結果的に大正解だったことを。

そして、先に言った「勝てぬ敵は近寄れぬ」の逆が「興味があるところには全力で行かせようとする」ということを。

この記事で述べた

この「想像とは違う」というのを少なくとも筆者はあと2回は体験することになります。

の1回目が

こちらの「都内の名園で鎮座する庭石」が敷石・飛び石になっているという事実。

満を持しての「2つめ」が、次の記事になります。