はじめに
前日の尾道行きから一夜明けた、2026年9月27日。
この日の高松も雨でした。尾道というメインイベントは終わりました。では、残された時間をいかに充実させるか。
前の記事で書いたとおり、脳内ゴリラルームのタイムコントロールによって、日記の遅れを取り戻し、身支度と荷物の確認まで完了。午前6時50分、筆者は朝食へ向かう準備を整えました。
目的は、うどんです。
パックうどんから始まる期待
そもそものきっかけは、旅行初日に食べたパックうどんでした。これが、思いのほか美味しかったのです。

「パックうどんでこれだけ感動するのなら、本場で食べたらどうなるのか?」
そう考えるのは、自然な流れでしょう。もちろん、筆者は高松まで来ています。うどんの都と呼ばれる土地で、うどんを食べずに帰るという選択肢はありません。
しかも、今回の旅行は雨です。
自転車での移動が難しい以上、晴れていれば自転車で訪れる場所を優先する意味は薄くなります。むしろ、雨だからこそ自転車では行きにくい場所を選んだ方が得策です。
そこで、目的地として決めていたのが金刀比羅宮でした。参詣の前に、まずは腹ごしらえ。
朝から営業しているうどん店を目指し、午前7時を目安に動き始めます。
金刀比羅宮へ向かう時間も確保しなければなりません。だからこそ、朝食を早い時間帯に済ませる必要があったのです。午前7時開店。十分間に合うだろう。
……そう考えていました。
えぇい、タイミングが悪いとこうも違うとは!
店に着いてみると、そこには想定外の光景がありました。
混雑です。
朝の7時だというのに、うどんを求める人々が集まっている。
「えぇい、タイミングが悪いとこうも違うとは!」
脳内シャア、早くも実況開始です。朝食を早めに済ませるという計画そのものは間違っていません。むしろ、これから金刀比羅宮へ向かうことを考えれば、合理的な判断です。しかし、時間を読めていることと、店が空いていることは別問題。
こういうところで、旅行というものは予定どおりにいかないものです。
とはいえ、ここで引き返す理由もありません。
せっかく来たのですから、いただきましょう。
スタイルと量を決める……合理的だな
うどん店で注文する。文字にすれば、それだけのことです。
しかし、混雑している店では、注文から会計までの流れが重要になります。
何を、どれだけ食べるのか。
それを決め、店の流れに沿って注文し、会計を済ませる。
「スタイルと量を決める……合理的だな」
脳内シャア、今度は店のオペレーションに注目しています。筆者好みの釜揚げがあるのは素晴らしかったです。
しかし、混雑しているからといって、客が迷い続けていては列が進みません。注文する側も、自分が食べたいものと量を判断し、手際よく進める必要があります。
そして、会計。
「ここでの会計のスマートさが彼らの評価基準という訳か」
もちろん、店の評価基準そのものを断定するつもりはありません。ただ、客が次々と訪れる状況では、料理の美味しさだけでなく、注文から会計までの流れも店の体験を構成する重要な要素です。
うどんを食べに来たはずなのに、脳内シャアはすっかりオペレーションの分析に入っています。
「これは……!」

そして、いよいよ実食です。箸を進めた、その瞬間。
「これは……!」
脳内にフレクサトーンが響き渡ります。ここで鳴るのは、ただの効果音ではありません。筆者にとっては、食べる前の期待と、実際に口にしたときの驚きが一致したことを告げる、例のニュータイプの効果音です。
あのパックうどんで、ここまで違うと思った。本場のうどんを食べることで、その差を実感したのです。
ここで思い出したのが、NXTです。
NXTは、WWEにおける育成ブランドという位置づけを持ちます。そこで提供される試合は、もちろん、それ単体で十分に楽しめるものです。しかし、WWEという興行全体を見渡せば、NXTはあくまでその一部。そこで求められる最低限の水準そのものが、既に高いのです。
これをうどんに置き換えるならば、あのパックうどんが、まさにそれに当たります。
香川県民にとっては、うどんとはこの程度の水準を満たしていて当然、というものなのかもしれません。しかし、他県から来た筆者にとっては、それだけでも十分に感動できるものでした。
ところが、この店の、ゆでたてのうどんは違います。これが、高松のメインイベントを張れるスーパースターの存在。
最低限の保障として提供されるものですら、十分に高い水準にある。それを知ったうえで、さらに上の格を見せつけられる。
パックうどんを入口にして、ここまで印象が変わるとは。そして、恐ろしいことに、香川県民が通う店は、ここだけではないのです。
まだ、これ以上の「推し店」がある。
今回の一杯で、本場のうどんの実力を見せつけられた。それなのに、地元の人々にとっては、これすら数ある選択肢の一つにすぎないわけです。
しかも、カニカマ天の太さにナス天のみずみずしさも加わります。
……いったい、どこまで層が厚いのか。
まだ、食べられる
今回の一杯で満足したか。もちろん、満足しました。
しかし、満足したことと、もう食べなくていいことは別問題です。
- まだ食べたい店がある。
- まだ試したい味がある。
- 高松に滞在している以上、可能ならば、もう少し食べ歩きたい。
問題は、胃袋にも時間にも限りがあることです。うどん店を巡るためだけに旅行しているのなら、話は違ったかもしれません。しかし、今回は金刀比羅宮への参詣も控えています。
そもそも、朝食を早めに済ませるために、この時間に店へ来たのです。
ここで延々とうどんを食べ続けるわけにもいきません。
「まだ選べるというのに……!」
そんな未練を残しながら、筆者は店を後にします。
高松のうどんは、まだ終わっていない。しかし、今は次の目的地へ向かわなければなりません。
こうして、腹ごしらえを終えた筆者の金刀比羅宮参詣が始まったのでした。
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