前回、「万年筆」を
- 格好良いから
という理由で使い始めました。その書き味や機能性に惹かれて言った結果、なぜLAMY Safari(AL-Star)を選択したかという部分について解説します。
自分の感覚という「Book」
『メリー・ポピンズ・リターンズ』の『本は表紙じゃ分からない/Cover is not the Book』に曰く
Cover is not the book / 心が目に見えないように本も
So open it up and take a look / 表紙の美しさに騙されちゃダメ
'Cause under the covers one discovers / 中身読んだらやさしい王様
That the king may be a crook / 詐欺師だとわかるかも
とあります。この、「きちんと中身を読んだ」結果として、今の自分はLAMY Safari(AL-Star)になったという形です。
LAMYを使って良かった点:重心
これが一番、自分が良かったと思うポイントです。LAMY万年筆最大の特徴と言えるクリップ付きのキャップ。筆記時、これを後ろにつけることで重心が後ろ寄りになります。これにより、必然的に重心は親指と人差し指の付け根にフィット。
軽く支えるだけでさらさらとした書き味を保証してくれます。
より重いアルミを用いたAL-Starはそれを更に補強。ひんやりとした金属の素材感と相まって「よりしっかりした書き味」を楽しめます。
LAMYを使って良かった点:フィット感
持ちやすさ、と言い換えてもいいでしょう。持ち手の上が自然にカット(三角形のカーブ)があることで、手になじむような形にフィット。
何よりも、この持ち手が明示されていることで万年筆にありがちな「どこがペン先の上か?」を一切気にする必要がありません。
LAMYを使って良かった点:速度
この場合の速度は
- 書こうとする
- ペンを取り出す
- キャップを取り外す
- 書き始める
のスタートです。多くの高級万年筆は(キャップレスでない場合は)ネジ式のキャップであるため「キャップを取り外す」がハードルになります。
ですが、LAMY万年筆はシンプルなキャップ式を採用。「取り外す」手間が秒単位で速くなります。
LAMYを使って良かった点:カラーバリエーション

通常色、限定色、チャーム付きなど、多彩なカラーバリエーションがあります。
単に物欲を充たしてくれるのはもちろんのこと、ボディに沿った色のインクを詰めることで、インク補充時に「このライトグリーンには『翠玉』のインクを。黄色には『夕焼け』を選ぶ」と、直感に従ったインク補充が可能になります。
量産品であるという美徳
おおよそ道具というものは使ってなんぼ、壊れてなんぼという考えです。なので、「書く」という「思考を伝達する道具」の替えが効かないというのは、それ自体が単一障害点(SPOF: Single Point of Failure):その部分に障害が発生すると、システム全体が停止してしまうような、代替手段のない単一の要素になります。
しかし、LAMY Safariであれば
- Amazon等のネットショップで2500円程度から買える(2025年11月現在)。
- 大都市圏の文具店、量販店でも扱っている。
という、「替えが効く」理由としては十分です。紛失、破損などがあっても「ペンそのものを用意できる」という安心感は非常に有用です。
量産品のユーザーの多さ
これに落ち着く前、中華万年筆を使っていました。「安いに越したことはない」と。しかし、
- インクの乾きが速く、キャップをしてもすぐにペン先が詰まる
- ひどいのになるとインクがすべて飛び跳ねてしまった
という「安物買いの銭失い」を地で行く結果となりました。この「授業料」の結果、ある程度は出費を覚悟しても(それでも高級万年筆よりは安価です)それなりのものとして白羽の矢が立ったのがLAMY万年筆でした。
最初は「樹脂製のデザイン」等がハードルとなっていましたが
- 古くからのデザインという普遍性は、それだけ使われる理由があるということ。
- 工学的に優れたデザインのため飽きが来ないということ。
- ファンが多いため世界各国のユーザーからの知見が山ほどあること。
という、量産品の強みが前面に打ち出されたのです。
まとめに代えて
以上、「格好良さ」から始めた万年筆は、
- 合理的な機能
- 量産品の強み
という筆者のプラグマティズムにより、これを求めたという結論。コレクションを手放すことになったとか、壊れたという話でない限り、他のブランドに手を出すのはまだまだ先となりそうです。何せ、前の記事でお話ししたとおり5年前のSafariが未だに現役なのですから。
ここで、「量産品の強み」を最も的確に表した『ガールズ&パンツァー』、サンダース大付属のアリサがM4シャーマン戦車を
「丈夫で壊れにくいし、おまけに居住性も高い!
バカでも乗れるくらい操縦が簡単で、
バカにも扱えるマニュアル付きよ!」
と評した言葉を以て、本稿を締めくくります。

























