はじめに
先日購入したミニPC、BOSGAME E5。Ubuntu 26.04 LTSをインストールし、ホスト名を「four-mations」として運用を開始していました。
そして今回、最後まで旧PCに残っていたAdGuard Homeの移行が完了しました。これにより、長らく自室内サーバとして稼働していたLet's note CF-XZは、その役目を終えることになります。
今回の記事は、この世代交代についての記録です。そして、移行作業を通じて改めて実感した「過去の自分が残したメモ」のありがたさについても触れていきます。
旧環境と新環境
まず、今回の移行元と移行先について。
旧環境
- 機種:Panasonic Let's note CF-XZ
- CPU:Intel Core i5-7300
- メモリ:8GB
- ストレージ:256GB SSD
- 主な用途:
- Nextcloud
- AdGuard Home
もともとはモバイルノートPCとして使っていた機材です。それを自室内のサーバとして転用し、ファイル共有やDNSフィルタリングといったサービスを担わせていました。
新環境
- 機種:BOSGAME E5
- CPU:AMD Ryzen 3 5300U
- メモリ:16GB
- ストレージ:512GB NVMe SSD
- OS:Ubuntu 26.04 LTS Desktop
- ホスト名:four-mations
性能面はもちろん、メモリやストレージにも余裕ができました。そして何より、専用のミニPCに役割を集約することで、今後の運用を見直す契機にもなりました。
段階的な移行
今回、すべてのサービスを一度に移行したわけではありません。
- Nextcloudを構築・移行し、動作を確認。
- 旧環境に残っていたAdGuard Homeを移行するという順序を取りました。
Nextcloudはファイル共有基盤ですから、移行後の動作確認も比較的わかりやすいものです。一方、AdGuard HomeはDNSという、自室のネットワークにおける重要な役割を担っています。
ここが停止すると、ネットワークそのものは生きているのに、名前解決ができず、普段利用しているサービスにアクセスできなくなるという状況が発生します。いわば、自室のネットワークにおける単一障害点の一つです。
そのため、先にNextcloudを移し、最後にAdGuard Homeを移行するという段階的な手順を取りました。そして、ようやく両サービスの移行が完了。
旧PCに残っていた役割を、すべて新しいミニPCへと引き継ぐことができました。
最大の功労者は、過去の自分
さて、今回の移行作業で特に役立ったものがあります。それは、新しいツールでも、最新のAIでもありません。
過去に自分が書き残した構築・運用メモです。
Nextcloudの構築に際しては、以前の環境で記録していた設定や手順が役立ちました。AdGuard Homeについても同様です。過去の構築記録を参照しながら、必要な設定や作業内容を確認し、移行を進めることができました。
このとき改めて実感したのが、記録というものの価値です。構築した当時は、目の前の問題を解決するために調べ、コマンドを実行し、動作を確認していました。
そして、その結果をメモとして残していたわけです。時間が経ち、環境が変わり、再び同じような作業をすることになったとき、その記録は立派な引き継ぎ資料になっていました。
しかも、引き継ぎ元と引き継ぎ先は同一人物です。
過去の自分から、現在の自分への引き継ぎ。
これほど話が早い引き継ぎも、なかなかありません。何しろ、記録を書いた本人が、記録を読む本人の癖を熟知しているのですから。
なぜメモを残すのか
筆者は日頃から、サーバの構築や障害対応、アップデート作業などを記録しています。その際に意識しているのは、単に実行したコマンドを並べることではありません。
- 何を目的とした作業なのか
- どのような環境で実施したのか
- どの順番で作業したのか
- どのように動作を確認したのか
- どのような問題があり、どう解決したのか
こうした情報を、後から読み返せる形で残しています。理由は単純です。
未来の自分が、今の自分と同じことを覚えている保証はないからです。
人間の記憶は、案外あてになりません。そのときは理解していた設定も、数か月、数年経てば忘れているものです。ましてや、日々さまざまなシステムに触れていれば、個々の設定内容まで記憶し続けることは現実的ではありません。
だからこそ、記録を残す。そして、記録があるからこそ、次の作業では調査や試行錯誤を減らすことができます。今回の移行は、その効果を実感できる機会となりました。
技術的負債ではなく、技術的資産
システム運用では「技術的負債」という言葉をよく耳にします。過去の設計や実装、あるいは先送りした判断が、将来の作業を難しくするというものです。
しかし、今回の経験は、その逆を考える契機になりました。
- 過去に残した記録が、将来の作業を容易にする。
- 当時の調査や検証に費やした時間が、次の作業で再利用できる。
つまり、過去の作業が、未来の自分にとっての資産になっているわけです。
- 一度調べたことを、もう一度最初から調べ直す必要はありません。
- 一度経験した問題を、もう一度同じように試行錯誤する必要もありません。
- 記録を残しておけば、その経験を次の作業の出発点にできます。
もちろん、OSやアプリケーションのバージョンが変われば、手順も変わります。だからこそ、過去の記録を参照し、現在の環境との差分を確認しながら作業することになります。
そして、その差分もまた、新しい記録として蓄積されていきます。こうして経験が積み重なっていくことこそ、筆者が技術メモを残し続ける理由の一つです。
おわりに
Nextcloudに続き、AdGuard Homeの移行も完了。
これで、長らく自室のネットワークを支えてくれたLet's note CF-XZは、その役目を新しいBOSGAME E5へと譲ることになりました。
中古のノートPCをサーバとして転用し、長年運用してきた環境。今回の移行を支えてくれたのは、ほかならぬ過去の自分が残した記録でした。
かつて構築した環境が役目を終えても、そこで得た知識や経験は、記録として残り続けます。
- ハードウェアには寿命があります。
- OSにもサポート期限があります。
- アプリケーションも、いつかは更新や置き換えが必要になります。
しかし、そこで得た経験を記録しておけば、次の環境へと引き継ぐことができます。
機材は世代交代しても、記録は世代を超えて役に立つ。
今回の移行で得た、何よりの実感です。
こんな状況を一番表す言葉がこれです。『ユミアのアトリエ』主人公、ユミア・リースフェルトに曰く
人が記憶を紡ぐのは過去に縋るためじゃない! 未来へ進むためだ!
この記憶を紡ぐため、VPSやWordpressにメモを残しておいてよかったと思うことしきりです。