はじめに

この旅行の0日目、つまりフェリーに乗った日に、トラベラーズノートを購入しました。

そして、「あるのがいけない!」でお茶を買っても、高松商店街の探索は続きます。

ルピシアからそう遠くないところにロフトがある。せっかくだから行ってみよう。そうして立ち寄った店内で、筆者はほぼ日手帳を見つけました。翌年分のアベック版です。

そこで、ふと思ったわけです。

「これ、旅先で買うの?」

いや、旅先だから買うのです。トラベラーズノートに続いて、ほぼ日手帳まで旅先で購入する。今回は、そんなお話です。

未来の自分にマウントを取る

筆者は2021年1月から、ほぼ日手帳の全日付を埋め続けています。

毎日欠かさず書いているわけではありません。ある程度たまったところでまとめて消化する、いわば積み残しの一括処理方式です。それでも、日付に空白を残さず続けていることには変わりありません。

そんな性分ですから、毎年の手帳購入は、いつしか楽しみではなくなっていました。

翌年版の発売に合わせて購入する。毎年決まった時期に発生する、避けては通れない定例作業です。たとえるなら、サブスクリプションの更新でしょうか。必要なのはわかっている。やらなければ困る。しかし、いざその時期が来ると、なんとなく面倒くさい。

筆者にとって、ほぼ日手帳の購入はそんな作業の筆頭になっていました。しかし、高松のロフトで商品を眺めているうちに、考えが変わりました。

これ、未来の自分にどや顔を決められるのでは?毎年、翌年のほぼ日手帳が発売されるたびに、筆者はこう考えることができます。

  • 「2026年の俺は、旅先で新しいものを買ったぞ?」
  • 「お前はどうなんだ?」
  • 「その時の自分に負けていいのか?」

……これは強い。毎年の手帳購入という、どうしても発生するイベント。そのたびに、過去の自分から挑戦状を突きつけられるわけです。

しかも、相手は自分自身。勝ち負けを決める審判も自分自身です。いくらでも言い訳はできますが、いくらでも言い返されます。

これほど面倒で、これほど長続きしそうな仕掛けもありません。

ほぼ日以外の選択肢

とはいえ、今回の買い物は、ほぼ日手帳から別の手帳へ乗り換えようという話ではありません。

筆者が当初考えていたのは、ほぼ日以外にも、ある程度規格化されていて、商品としての姿が明確で、さらに自分好みにカスタマイズできる手帳を持つことでした。

もうひとつ、忘れてはいけない条件があります。母が作ってくれた、特製の手帳ポーチです。これがある以上、手帳だけを別のものに替えれば済むというわけにはいきません。今さら、このポーチを使わない選択肢は端っからありません。

今回は、翌年分のほぼ日手帳アベック版を購入しました。ついでに、カスタマイズ用のパーツも。

いつもの手帳を、いつもとは違う場所で買う。

たったそれだけのことですが、筆者にとっては毎年の定例作業に、新しい意味を与える買い物になりました。

記憶にフックを仕込む

ここで重要なのは、単に翌年分の手帳を早めに手に入れたことではありません。

その手帳を、どこで、どんな経緯で買ったのか。

この記憶こそが、今回の買い物の本体です。心理学には、エピソード記憶という概念があります。自分が経験した出来事を、そのときの状況や場所、感情などと結びつけて覚える記憶です。

今回の手帳には、高松の商店街を歩き、ルピシアの近くにあるロフトへ立ち寄り、そこで「旅先だから買う」という結論に至った一連の出来事が付随しています。

毎年、決まった時期に購入する手帳とは違います。

2026年の手帳には、2026年の旅先で買ったという固有のエピソードがあるのです。そして、この記憶は、手帳を使い続ける限り、何度も思い出す機会があります。

  • 翌年分の手帳を購入するとき。
  • 分冊になっているアベック版を切り替える、半年ごとのタイミング。
  • 何より、文章を書いていて筆が止まってしまったとき。

今回の買い物は、そんな場面で記憶を呼び起こすフックになるはずです。

手帳を開けば、高松で買ったことを思い出す。高松で買ったことを思い出せば、あのときの自分が、未来の自分に向けて仕掛けを施したことも思い出す。そして、あの言葉が蘇ります。

「2026年の俺は、旅先で新しいものを買ったぞ?」

毎年の手帳購入を、単なる義務的な更新作業で終わらせない。過去の自分が、未来の自分を動かすための仕組みを作っておく。手帳という、日常的に使う道具だからこそ、この仕掛けには意味があります。

おわりに

筆者は今回、翌年分のほぼ日手帳を買いました。ただ、それだけではありません。

未来の自分に向けて、挑戦状を残しました。来年、手帳を更新するとき。半年後、新しい冊子を開くとき。あるいは、何も書けずに机の前で固まっているとき。

そこには、高松で手帳を買った自分がいます。

「2026年の俺は、旅先で新しいものを買ったぞ?」

さて、未来の筆者は、この問いにどう答えるのでしょうか。