チップドラフトとセットコレクションが程よくまとまり、プレイ中の会話も盛り上がる中量級の良作です。

【概要】

プレイヤーたちは旅行先(京都/シンガポール)から帰ってきたばかり。

「何をしたっけ」
「この観光名所はどこだったか」
「ホテルはここだったはず」

とおのおのの記憶が微妙に食い違っています。そこで、各人は断片的な記憶を頼りに旅の詳細を思い出そうとしています。

【ゲームシステム】

ぱっと見はタイル配置ですが、その実はチップドラフト。

各手番、規定の枚数のチップのかたまりを個人ボードに条件に従って配置。これを繰り返していき、タイルと同じ形にチップが並んだら得点が発生。

このとき、

  • 共通ボードにタイルが置かれていない場合:個人ボードと同じ箇所にタイルを配置。完成ボーナスと記憶ボーナスを入手
  • 共通ボードに先にタイルが置かれていて完全に一致:完成ボーナスと記憶ボーナスを入手
  • 共通ボードに先にタイルが置かれていて一部が一致:完成ボーナスと記憶ボーナスの一部を入手
  • 共通ボードに先にタイルが置かれていて一致せず:完成ボーナスのみ入手

となっているため

何も置かれていない場合は先行しての配置を目指し、置かれている場合はそれに合わせるという協力と競合が生まれます。

全てのチップが配布されたらゲーム終了。共通目標や個人目標に合わせて最終得点計算となります。

【このゲームの好きなところ】

○ドラフトがもたらすインタラクション

先にお伝えしたように、「チップを配置してからタイルの形が決まる」システム。
そこにランダムに加わる記憶のチップ(名所や公園などの色が書かれています)のドラフトが加わることで

「後一手で完成するけど上家に完成されそう」
「配置したいけどこの指示通りに置けるか?」

といった読み合いが生まれます。

○共通ボードかセットコレクションか

上述した共通ボードを目指す他の得点源として、レストランやショッピングエリアの大量配置ボーナスやゲーム開始時に配られる個人目標があります。
そのため、既にある共通ボードの得点を無視してでも完成を目指す余地は残されています。なので、ゲーム中は

「私の記憶が確かなら京都タワーはここにあった」
「そこにレストランなんてなかった。いいね?」

など、各人の“記憶の捏造”で盛り上がります。

○厚手でしっかりしたコンポーネント

『パッチワーク』と同じぐらいの箱の大きさでありながらぎっしりと詰まったコンポーネントはどれもしっかりとしていて、遊びごたえは充分。

各ランドマークを立てて配置できるスタンドなども心憎い演出です。

【このゲームの難点】

●実質的に4人専用ゲーム

3人では余剰のチップが生まれ、2人ルールは準備がちょっと大変です。個人ボードを東西南北に設置することからも、人数を選ばず遊べるというわけではありません。

●終盤の巻き返しが難しい

この手のゲームの常として、先行して走っている人を差しきるのは大変です。序盤のミスが終盤、致命的に響いてしまうのも難点です。
ライトに見えて一手が重いゲームと言えます。

【まとめ】

インスト合わせて1時間ほどで終わるゲームながらもインタラクションや合間の会話で盛り上がることができる良作。

個人的には、配置ゲームでありながらスペースが固定されているのでテーブルが広がらずに済むというのも好感です。

  • 4人揃っている
  • 変則的なタイル(?)配置を行いたい

という方に手に取っていただきたいゲームです。