文句なしに映える盤面やわかりやすいルール、息詰まる緊張感が楽しめる協力型バランスゲームです。


後述する問題点からおいそれと遊べる作品ではないのですが、ここぞという状況下で盛り上がることができます。

【概要】

プレイヤーはマレーシアの秘境にある遺跡を復元しようと試みます。
しかし、復元のための指示を間違えたり柱を倒してしまうと「呪い」として復元の要求が高くなります。
果たして、プレイヤーは遺跡を崩壊させることなく復元することができるのでしょうか?

【ゲームシステム】

いわゆるバランスゲームです。

各プレイヤーは難易度の数だけ柱を渡されます。そして、手番ごとに復元指示のカードをめくっていき、それに従っていきます。
床板が柱で埋まったら直ちに床板を足していくことになり、階層が増えます。

もしこの時に

  • 従うことができない指示が出た
  • 柱を倒してしまった
  • この指示に従うことは難しいと判断した

場合、クリアへのハードルが一段高くなります。(クリア条件の階層が増えます)

  • 全ての床板/柱を置ききった
  • 全ての指示を実行した
  • 床板が崩落してしまった

がゲーム終了のトリガー。クリア条件を満たしていれば全員の勝利。そうでなければ全員が敗北します。

【やや残念だと思った点】

筆者にしては珍しく、マイナス点から書きます。

○ 外部要因で失敗する要素が大きい。

バランスゲームの宿命と言えます。物理的に(文字通り)積み上げるゲームのため、

  • 誰かがテーブルにぶつかった
  • ドアの開閉や人の出入りなどで振動が発生した
  • 袖やネックストラップ等が触れた

だけでゲームは終わります。その失敗要因をゲームに参加していない人/ものに求めるのは酷です。
(特に家に猫がいる場合は大惨事が発生します)

○ 他責思考の人と奉行問題

協力型ゲーム全般に言える問題点はここでも発生します。
「巻き戻し」が物理的に無理なゲームでは特に顕著です。

上記の明確な欠点がありますが、それらがクリアできれば他のゲームにない素晴らしい特徴があります。

【良かったと思った点】

○ とかく映える盤面

カラフルな柱と床板が幾層にも積み重なる盤面は「これぞアナログゲーム」と呼ぶにふさわしいものです。

○ 明快なルール

カードによっては「床板を柱ごと上位の層に持ち上げる」的なものがありますが、大概は柱を置くものばかり。
そして、床板の柱が埋まったら新たな床板を積み上げるというわかりやすいルールは言語依存に抵抗があるプレイヤーでも楽しめます。

○ 一目瞭然の達成感

(文字通り)目に見えて目標が達成できているか否かが分かります。物理的な障害を乗り越えて目的が達成できたときの喜びはひとしおです。
また、得意な人は高難易度の指示を担当して苦手な人には簡単な指示をやってもらうなどの「協力型ゲームのいい点」が発揮されるケースもあるでしょう。

○ 高いリプレイ性

ゲームの性質上、全く同じ盤面になることがありません。失敗した場合は難易度を下げて再チャレンジ(あるいはその逆)できますし、
「どうすれば良かったか」「次に失敗しないためには?」「記録、更新しよう」といった感想戦も盛り上がります。

【まとめ】

状況/場所/人を選ぶゲームであるものの、

  • 体を使うバランスゲーム
  • とても映える盤面
  • 協力ゲームならではの達成感

は他に得難い体験をもたらしてくれるでしょう。この手のアプリ化がまずできない(できたとしても難しい)ボードゲームは個人的に高評価。
クローズ会や自宅会で遊びたい一本です。

【備考】

本ゲームの勝利条件には抜け道があります。

「床板が崩落してしまった場合にゲームは直ちに終了。終了時に規定の階数に達していれば勝利」

というもの。すなわち、規定階数に達した箇所があったら「それ以外の床板をわざと崩落させて」クリアするプレイングもあり得ます。(冒頭の写真は“うっかり”手が滑って崩落させました)
こういう戦略を見越した上でのプレイもまた、本作の醍醐味でした。