前回の設定で、AdGuard Homeの常時SSL化とリバースプロキシ環境が整いました。今回は、AdGuardを「自分の部屋のネットワーク全体」に適用していく手順をまとめます。

設定時のハマりどころと失敗談も含めています。

宅内環境

前提として:

家族に迷惑をかけずに自宅サーバーとクライアントをいじるため、私の環境では以下のような二重ルーター構成(インナーネットワーク)を取っています。

[ONU] ──> [家族用メインルーター] ──> [スイッチ]
                                          │
    ┌─────────────────────────────────────┘
    ▼(ここからが自分の環境)
[自室内ルーター] ──(DHCPでAdGuardのIPを配布)──> [自室内端末群]
     │
     └─> [Ubuntuサーバー(DNSを兼ねたAdGuard Home稼働)]

この構成であれば、万が一自分の部屋の設定をトチっても、家族のネット環境には1ミリも影響を与えません。

自室内ルーターの設定手順

この、自室環境のスマホやPCが自動的にAdGuard Home(例: 192.168.1.6)を向くように、ルーターの設定を変更します。

1. ルーターの管理画面を開く

ブラウザに自室内ルーターのIPアドレス(192.168.1.1 など)を入力し、ログインします。

2. LAN側(DHCPサーバー)の設定画面を開く

「詳細設定」や「LAN設定」の中にある 「DHCPサーバー設定」 の項目を探します。

【注意】ここで絶対にやってはいけない罠

ルーターの「WAN側(インターネット接続設定)」のDNSを変更してはいけません。ここを変えると、ルーター自体の挙動がおかしくなることがあります。変更するのは必ず 「LAN側」 です。

3. 配布するDNSサーバーのIPアドレスを固定する

通常は「ルーターのIPアドレスを通知する」になっている部分を、手動設定(カスタム)に変更します。

  • プライマリDNS(DNSサーバー1): 192.168.1.6 (UbuntuサーバーのIP)
  • セカンダリDNS(DNSサーバー2): あえて空欄(またはプライマリと同じIP)

セカンダリDNSのジレンマ

「AdGuardが死んだら困るから」とセカンダリDNSに外のDNS(8.8.8.8 など)を入れておきたくなりますが、これにはジレンマがあります。

OSや端末によっては、プライマリが生きているにもかかわらず、気まぐれにセカンダリのDNSばかりを使って通信を行う仕様があります。ここに外のDNSを書くと、広告ブロックをすり抜けてしまう端末が多発します。

AdGuardによって広告を100%仕留めるなら「空欄」か「AdGuardのIP一本足打法」にするのが鉄則です。

4. クライアント(端末)側での設定

ルーターの設定を変更(またはサーバーを物理復旧)した後は、スマホやPCに新しいDNS情報を強制的に覚え込ませる必要があります。

  • マホ(iPhone / Android)の場合
    • 一度Wi-Fiを「オフ」にしてから再度「オン」にするか、機内モードのON/OFFを行ってください。
  • PC(Windows)の場合
    • コマンドプロンプトを開き、いつものおまじないを実行してDNSキャッシュを完全に吹き飛ばします。
ipconfig /flushdns
ipconfig /renew

DNSを兼ねたことによる自爆

設定が完了し、問題なく運用できていたのに、突然「ローカルNWには繋がっているのに、なぜかインターネットに一切繋がらない」という謎の障害が発生しました。

原因を探ったところ、信じられないほど単純で致命的な物理トラップでした。

サーバーにしていたノートPCの電源アダプターが、いつの間にか外れてバッテリー切れで電源断発生。

先述の通り、広告のすり抜けを防ぐためにルーターのセカンダリDNSは空欄(またはAdGuardのIPのみ)にしています。そのため、サーバー(ノートPC)の電源が落ちてAdGuardもろともサービスダウンすると、部屋の中のスマホやPCは「DNS不在」状態になります。

「通信(ローカル回線)はアクティブなのに、Webサイトの名前解決が一切できないため、結果としてインターネットに完全に繋がらなくなる」というワンミス即死を喰らいました。

対策と教訓

  • ノートPCをサーバーにする場合は、ACアダプターが容易に抜けない位置に配置すること。(電源管理は企業では鉄則ですが家庭はそのあたりが甘かったです)
  • また、上述した家族用のNWから切り離していたことが幸いしました。でなければ、突然ネット閲覧ができなくなる、スマートTVでネトフリやYouTubeに繋がらなくなる事態が発生したでしょう。

「間違えても自分だけが泣けばいい」環境を持っておくのは改めて幸いでした。