フレーバーもシステムも満点。コンパクトなコンポーネントに悩みどころ考えどころが詰まった中量級ゲームです。
概要
プレイヤー達は紅茶を扱う実業家です。近代のイギリスを舞台に「紅茶王」の栄誉を勝ち取ろうとしています。
世界を駆け巡り
- 茶箱を入手し
- お茶の価値を上げていき
- 茶園や施設を買い付け
最終的に誰よりも早く紅茶王たる資格(100勝利点)を得るのが目的です。
ゲームシステム
いわゆる「ロンデル」を軸にしたすごろく。自分の駒(2人の場合は共用の駒)を1~3歩進め、
- 止まったカードの処理を実行する
- 必要な茶箱を支払い、止まったカードを購入する(これが勝利点になります)
のどちらかを行います。この、
「カードを買うためには一定数以上の価値がある茶箱が必要」と「一度カードを買った場合はまた茶箱を獲得していく必要がある」メカニズムがシステムの肝となっています。
素晴らしいと思ったところ
不可逆のロンデルがもたらすインタラクション
駒は時計回りに、強制的に1~3歩の任意の数を進みます。そのため、「あと数周すればカードを手に入れられるが、その前に他のプレイヤーに狙われる」の読み合いが激しいものとなります。
2人の場合は駒が共有のため、その駒を通り過ぎるとその周回で止まることは不可能となります。
3~4人では茶箱1つの価値を下げることで他プレイヤーのカードに止まることができますが、これはけっして少なくない代償です。
この、「相手に最適解を取らせないため行動をカットする」読み合いもプレイヤー間の競争を高めていました。
極めて高いリプレイ性
最初のカード配置と次々に入れ替わるカード群により、固定要素はほぼありません。(ゲーム終了時まで取り除かれない基本カード群でさえゲームのたびに順序が変わります)
また、入手したカード効果を再利用できるカードによって、どのカードを優先的に取っていくかの戦略性も見逃せません。
やや残念だと思ったところ
キューブがずれやすい。
『テラフォーミング・マーズ』の資源管理キューブと同じような問題を抱えています。最大6つ、1~6の価値があるキューブはボード上でずれやすいので注意が必要です。
サドンデスを回避する方法が(ほぼ)ない
勝敗の決着は『宝石の煌めき』のように勝敗のトリガーが決まった後、最終プレイヤーまで進める方式ではなく、100点を取得した時点でゲーム終了。そのため、最終盤は駒を実行するまでもなく(その手番のプレイヤーが処理を実行するだけで)勝敗が決まってしまいました。
まとめ
カードとキューブとダイス、それに駒とボードのみで紅茶の世界を再現していくフレーバーが見事でした。
また、紅茶の知識がそれなりにあれば「だからこのカードはこういう効果なのか」とニヤリとくること請け合い。
紅茶の缶を模したパッケージやティーカップ状の資源管理ボードも没入感を高めてくれます。
- ロンデルによる行動管理
- 茶箱の資源管理
- 得点行動や終了トリガーの読み合い
が小さな「缶」に凝縮されているゲームでした。