天候にも恵まれ、穏やかなハイキングを楽しんだ6月25日の朝。更に「他の日本人ツアーが行ったことがなさそうな場所にでも行ってみよう」と調子に乗っていたかのような僕をあざ笑うかのような出来事がこの数時間後に発生するのでした。
ユングフラウ登山列車を尻目に、再びラウターブルンネンに戻ります。
車窓からの壮大なパノラマ。山荘が建ち並ぶ奥には断崖絶壁と滝。これぞスイスという心持ち。
ラウターブルンネンからケーブルカーでグリュッチアルプに行きます。ここは『007』にも縁がある人気の観光地で、結構混雑していました。
ケーブルカーと鉄道は連動していて、難なくミューレン行きの列車に乗ります。この山沿いを走る単線はそれこそ『世界の車窓から』の世界に相応しいものがあります。
ここの登山列車はクリーム色とえんじ色のツートンカラー。一つの地方なのにいろんな電車を見られるためテンションはマックスです。
爽やかな空に映える白い壁。こんな所で泊まるのも素敵、重いながらどんどんと歩いて行きます。
到着したのはミューレン。右の人の列でもお分かりのように、ここから『007』のロケ地に向かうという案配。しかし、僕は「トリュンメルバッハの滝」という氷河をくり抜いてできた滝に向かう事に夢中でした。
先ほどの登山列車は折り返しで進んでいます。このときの僕は「ハイキングを2回も成功に終わったんだし、次の目的地にもそう遠くなくたどり着ける」そう思っていました。
しかし、それはとてつもなく甘い考えだったのです。もくもくとわき起こる積乱雲は、その予兆に過ぎませんでした。
(続きます)