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Backblaze B2をLinuxへ常駐マウントする:/etc/fstabを使わず、systemdサービスで自動起動と自己修復を実現する

前回の記事では、WasabiからBackblaze B2へのデータ移行についてまとめました。これでデータそのものは移動できましたが、それだけではWebアプリケーションから利用することはできません。

Redmineから見れば、これまで通り「files」ディレクトリが存在しているだけであり、その保存先がローカルSSDなのか、Backblaze B2なのかは意識しない構成が理想です。

そのためには、Backblaze B2をLinuxへマウントし、通常のディレクトリとして扱えるようにする必要があります。

今回は、そのための仕組みとしてrclone mountを利用しました。問題は、「どうやって常駐させるか」です。

古くからLinuxでは/etc/fstabへ記述して起動時にマウントする方法が紹介されています。しかし今回は、その方法は採用しませんでした。理由は単純です。クラウドストレージはネットワークの向こう側にあります。

ローカルディスクと同じ感覚でOS起動時にマウントしようとすると、起動順序や通信断など、物理ディスクでは考えなくてよい問題が発生します。

今回はそうしたリスクを避けるため、systemdサービスとしてrclone mountを常駐させる構成にしました。

systemdを選んだ理由

/etc/fstabは非常に便利ですが、クラウドストレージでは少し事情が変わります。

OS起動時、まだネットワークやDNSが利用できないタイミングでマウント処理が実行されると、ホスト名の名前解決に失敗し、そのまま起動処理が止まってしまうことがあります。

設定によってはレスキューモードへ入ってしまうため、「ストレージが利用できない」だけでは済みません。

また、運用中に通信断などでrclone mountが終了してしまった場合も、/etc/fstabには再起動する仕組みがありません。

つまり、一度落ちると手動で復旧するまで、Redmineから添付ファイルへアクセスできない状態が続いてしまいます。systemdであれば、この問題を比較的素直に解決できます。

After=network-online.targetによってネットワークが利用可能になるまで起動を待機でき、さらにRestart=alwaysを指定すれば、万が一プロセスが終了しても自動的に再起動してくれます。

単に「起動時にマウントする」のではなく、「サービスとして運用する」という考え方です。

FUSEの準備を行う

rclone mountはFUSE(Filesystem in Userspace)を利用して動作します。

今回は一般ユーザーでマウントを実行しつつ、Webサーバー(www-data)から読み書きできるようにしたかったため、まずFUSE側の設定を変更しました。

念のためバックアップを取得した上で、/etc/fuse.confのuser_allow_otherを有効にします。

  • バックアップ
sudo cp -p /etc/fuse.conf /etc/fuse.conf.orig

user_allow_other を有効化

sudo sed -i 's/#user_allow_other/user_allow_other/' /etc/fuse.conf

続いてマウントポイントを作成します。

sudo mkdir -p /mnt/app_storage
sudo chown -R $USER:www-data /mnt/app_storage
sudo chmod 775 /mnt/app_storage

今回は実行ユーザーが管理しつつ、Webサーバーからも書き込み可能な権限にしました。

systemdサービスを作成する

続いて、rclone mountをsystemdサービスとして登録します。

sudo tee /etc/systemd/system/rclone-b2-app.service << 'EOF'
[Unit]
Description=Rclone Mount Backblaze B2 for Application Storage
After=network-online.target
Wants=network-online.target

[Service]
Type=notify
User=appuser
Group=appuser
ExecStart=/usr/bin/rclone mount b2-remote:dest-backup/app_data /mnt/app_storage \
  --allow-other \
  --vfs-cache-mode full \
  --vfs-cache-max-size 10G \
  --vfs-cache-max-age 24h \
  --uid 33 --gid 33 \
  --umask 002 \
  --log-level INFO \
  --log-file /var/log/rclone-b2-app.log
ExecStop=/bin/fusermount3 -u -z /mnt/app_storage
Restart=always
RestartSec=10

[Install]
WantedBy=multi-user.target
EOF

今回の設定で特に意識したのは、アプリケーションとの互換性です。

--vfs-cache-mode fullを指定することで、読み書きをローカルキャッシュ経由で処理し、多くのWebアプリケーションが通常のファイルシステムと同じように扱えるようになります。

また、

--uid 33
--gid 33

を指定し、見かけ上の所有者をwww-dataへ変更しています。これにより、Redmineなどから見ても通常の添付ファイルディレクトリとして扱うことができます。

ログについてもsystemd任せにせず、専用ファイルへ出力するよう設定しました。

sudo touch /var/log/rclone-b2-app.log
sudo chown appuser:appuser /var/log/rclone-b2-app.log

問題が起きた際に、原因を追いやすくするためです。

サービスとして起動する

設定が終わったら、systemdへ登録します。

sudo systemctl daemon-reload
sudo systemctl enable --now rclone-b2-app

状態は、

sudo systemctl status rclone-b2-app

で確認できます。Active: active (running)となっていれば正常です。

続いて、

ls -la /mnt/app_storage/files/

などで、Backblaze B2上のデータがマウントされていることを確認します。ここまで来れば、Linuxからは通常のディレクトリとして扱える状態になっています。

Redmineを止めずに切り替える

最後は、Redmineが参照する添付ファイルディレクトリを切り替えます。今回はシンボリックリンクを利用していたため、

cd /var/www/redmine
ln -sfn /mnt/app_storage/files files

だけで切り替えられました。Linuxではシンボリックリンクそのものを置き換える処理は一瞬で完了します。

つまり、Redmineから見ると「files」という入り口が別の場所を指すようになるだけであり、中途半端な状態が発生しません。

このような、一度に切り替える方法は一般にアトミックな切り替えと呼ばれます。アプリケーションを停止することなく保存先だけを差し替えられるため、運用中のシステムでは非常に扱いやすい方法です。

最後は実際に読み書きを確認する

切り替えたら、必ずWebアプリケーションから動作を確認します。

まずは既存チケットを開き、添付ファイルや画像が問題なく表示・ダウンロードできることを確認しました。

続いて、新しいチケットを作成し、テスト用ファイルを添付します。

Redmine上で正常に保存できることに加え、Backblaze B2の管理画面でもファイル数と使用容量が増えていることを確認しました。

読み込みだけでなく、書き込みまで正常に動作することが確認できれば、移行作業は完了です。

おわりに

Backblaze B2への移行は、データをコピーしただけでは終わりではありません。

Webアプリケーションからこれまで通り利用でき、通信断が発生しても自動的に復旧し、運用者が特別なことを意識しなくても済む状態になって初めて、「移行が終わった」と言えるのだと思います。

今回はrclone mountをsystemdサービスとして管理することで、起動順序や通信断といったクラウドストレージ特有の課題にも対応できる構成になりました。

今後は、この構成でRedmineやPiwigoなどを実際に運用しながら、VFSキャッシュのサイズやメモリ消費、レスポンスへの影響なども継続して検証していく予定です。

rcloneを使ったクラウド間データ移行:WasabiからBackblaze B2へ直接ストリーミング同期する

前回の記事では、WasabiからBackblaze B2へ移行する理由と、B2のアカウント作成から接続確認までをまとめました。

今回は実際に、Wasabiへ保存されているデータをBackblaze B2へ移行します。

「クラウドからクラウドへデータを移す」と聞くと、一度ローカルへダウンロードし、それを再びアップロードするイメージを持つ方も多いかもしれません。

筆者も当初はその方法を考えていました。

しかし、この方法ではサーバーのディスク容量を一時的に消費するだけでなく、ダウンロードとアップロードの二重の転送が発生します。データ量が増えるほど、作業時間もストレージ使用量も無視できません。

そこで今回は、rclone が持つリモート間同期機能を利用し、WasabiからBackblaze B2へ直接データを転送しました。

Linuxサーバーはデータを一時的に中継するだけで、ローカルディスクへ保存することはありません。ストレージAPI同士がストリームとしてデータを受け渡すため、容量を気にすることなく移行できます。

本記事では、接続確認からドライラン、本番同期、そして移行後の整合性確認までの流れをまとめます。

今回の移行環境

今回の環境は次の通りです。

  • サーバー:Ubuntu 24.04 LTS
  • ツール:rclone
  • 移行元:Wasabi(S3互換)
  • 移行先:Backblaze B2
  • 移行対象:app_data ディレクトリ

今回はs3fsなどでマウントしたディレクトリは一切利用せず、rclone syncによるクラウド間同期のみで移行を行いました。

まずは接続できることを確認する

同期を始める前に、移行元・移行先の両方へ問題なく接続できることを確認します。今回は、それぞれ次のようなRemoteを登録しました。

Wasabi

[wasabi-remote]
type = s3
provider = Wasabi
access_key_id = <WASABI_ACCESS_KEY>
secret_access_key = <WASABI_SECRET_KEY>
region = ap-northeast-2
endpoint = s3.ap-northeast-2.wasabisys.com

Backblaze B2

[b2-remote]
type = b2
account = <B2_APPLICATION_KEY_ID>
key = <B2_APPLICATION_KEY>
hard_delete = true

設定後は、それぞれのバケット一覧が取得できることを確認します。

# Wasabi
rclone lsd wasabi-remote:

# Backblaze B2
rclone lsd b2-remote:

ここでエラーが出るようであれば、APIキーやアクセス権限を見直しておきます。

最初に移行対象を確認する

同期コマンドを実行する前に、まず対象となるデータ量を確認します。

容量だけではなく、オブジェクト数もこの段階で記録しておくと、移行後の確認が非常に楽になります。

rclone size wasabi-remote:src-storage/app_data

筆者の環境では、

Total objects: 769 (769)
Total size: 454.601 MiB (476683987 Byte)

という結果になりました。

今回は約455MBと比較的小規模ですが、この数字はあとでBackblaze B2側と比較する重要な基準になります。

いきなり同期せず、まずはドライランを行う

rclone syncは非常に便利ですが、その名前の通り「同期」を行うコマンドです。

移行先との差分によっては削除や上書きも実行されるため、筆者はいきなり本番を流すことはほとんどありません。

まずは--dry-runを付け、実際には転送を行わず、どのような処理が実行されるかだけを確認します。

rclone sync \
    wasabi-remote:src-storage/app_data \
    b2-remote:dest-backup/app_data \
    --dry-run \
    -P \
    -v

今回の結果は次の通りでした。

Transferred:      454.601 MiB / 454.601 MiB, 100%, 318.497 MiB/s, ETA 0s
Transferred:          769 / 769, 100%
Elapsed time:          3.0s

全769オブジェクトについて問題なく処理できることを確認できました。

ドライランで異常がなければ、本番へ進みます。

本番同期を実行する

確認が終わったら、--dry-runを外して実際の同期を行います。

rclone sync \
    wasabi-remote:src-storage/app_data \
    b2-remote:dest-backup/app_data \
    -P \
    --transfers 4 \
    --checkers 8

今回は並列転送数を4、差分確認を8として実行しました。この値は回線速度やCPU性能によって最適値が異なりますが、個人サーバー程度であれば十分扱いやすい設定です。

今回のデータ量では、同期自体は数秒程度で完了しました。ローカルディスクを経由していないため、サーバー側の空き容量を気にすることなく作業できたのは大きな利点でした。

移行後は必ず整合性を確認する

同期が終了したら、「終わった」で済ませず、必ず移行先を確認します。まずはBackblaze B2側で同じように容量を集計します。

rclone size b2-remote:dest-backup/app_data

結果は、

Total objects: 769 (769)
Total size: 454.601 MiB (476683987 Byte)

となりました。

移行前に確認した

  • オブジェクト数
  • 総容量

の両方が完全に一致しています。さらにBackblaze B2のWebコンソールでもファイル数と容量を確認し、問題なく反映されていることを確認しました。

ここまで確認できれば、データ移行は完了です。

おわりに

今回の移行作業そのものは数分で終わりました。しかし、本当に時間を掛けたのは「どのストレージへ移るか」を考えることだったように思います。

以前のWasabiでは、Timed Deleted Storageを意識してアプリケーションの設定まで調整する必要がありました。

もちろん、その経験があったからこそ、料金体系だけではなく「普段どのようなファイルが生成・削除されるのか」という視点でストレージを選ぶようになりました。

オブジェクトストレージは、容量や価格だけを比較してしまいがちです。

しかし実際には、アプリケーションの動作と料金体系が噛み合っているかどうかの方が、長く運用していく上では重要なのだと改めて感じています。

次回は、このBackblaze B2をLinuxへマウントし、NextcloudやPiwigoなどのWebアプリケーションからローカルストレージと同じ感覚で利用できるようにする構成をまとめます。

Wasabiの90日削除問題(Timed Deleted Storage)から脱出する。Backblaze B2とrcloneによるオブジェクトストレージ再構築

以前の記事でも触れましたが、筆者はWasabiの「Timed Deleted Storage(90日最低保存期間)」によって、一度約8万円という高額請求を経験しました。

もちろん、Wasabiそのものが悪いサービスというわけではありません。

バックアップ用途のように、一度保存したデータを長期間保持する使い方であれば非常に優秀です。問題だったのは、私が動かしていたアプリケーションとの組み合わせでした。

当時の環境では、MongoDBを利用するサービスが大量の一時ファイルや更新データを短時間で生成・削除しており、その挙動がWasabiの90日最低保存期間と最悪の相性になってしまいました。

さらにNextcloudでも、サムネイル生成やプレビュー画像、一時ファイルなどが絶えず作られては削除されます。

アプリケーションとしてはごく正常な動作です。しかし、Wasabiでは「90日以内に削除されたオブジェクト」であっても、残りの保存期間分がTimed Deleted Storageとして課金対象になります。

結果として、利用容量以上に「削除したデータ」が積み上がり、気付いた頃には非常に大きな請求になっていました。

この経験以降、筆者は運用を大きく見直しました。

NextcloudのデータはローカルSSDへ退避し、一時ファイルの保持期間も短縮。キャッシュやサムネイルの扱いも見直したことで、Timed Deleted Storageは12MB程度まで抑え込めています。

現在では当時のようなペナルティはほぼ発生しておらず、運用自体は十分安定しています。それでも、根本的な問題は残っていました。

実際に保存しているデータは20GB程度しかありません。(というか、Nextcloudを限定的な使い方しかしていないため増やせないという)

さらに、今後導入を考えているPiwigoのようなフォトギャラリーでは、サムネイル生成や画像整理が日常的に行われます。

「この操作をするとTimed Deleted Storageが増えるかもしれない。」

そんなことを気にしながらアプリケーションを導入したり、設定を考えたりするのは、本来あるべき運用ではありません。

サービスに合わせてアプリケーションを制限するのではなく、アプリケーションが本来の動きをしても問題にならないストレージを選びたい。

そう考え、オブジェクトストレージそのものを見直すことにしました。

Backblaze B2を候補に選んだ理由

移行先として最初に候補へ挙がったのは、Cloudflare R2とBackblaze B2でした。

どちらも個人利用では人気の高いサービスですが、筆者が重視したのは「料金」そのものではなく、「運用中に余計なことを考えなくて済むか」という点です。

Wasabiで最も苦労したのは、保存容量ではありません。「削除する」という、ごく普通の操作にコストが発生することでした。Backblaze B2では、料金はByte-Hoursという時間単位で計算されます。

サムネイルや一時ファイルを数分だけ作成して削除した場合、その数分間しか課金されません。アプリケーションが普通に動けば、料金も普通に計算される。

もちろん、小容量利用でのコスト面も魅力です。

最低利用容量はなく、10GBまでは無料。筆者のように20GB程度しか保存していない環境であれば、月額は数十円程度に収まります。

また、以前は「日本から利用するには代理店経由なのでは」と思い込んでいましたが、実際には本家サイトからそのまま個人契約でき、クレジットカードやPayPalにも対応していました。

Backblaze B2のアカウントを作成する

移行先をBackblaze B2に決めたら、まずはアカウントを作成します。

公式サイトから 「B2 Cloud Storage」 を選択し、メールアドレスとパスワードを登録するだけで利用を開始できます。個人利用でも特別な手続きは必要なく、クレジットカードやPayPalでそのまま契約できます。

途中で保存先リージョンを選択しますが、 US West を選択しました。物理的に日本へ比較的近く、レイテンシも十分実用的です。

認証メールで本人確認を済ませると、管理画面へログインできます。

Bucketを作成する

続いて、データを保存するためのBucketを作成します。

左メニューから B2 Cloud Storage → Buckets を開き、「Create a Bucket」を選択します。

設定は次のようにしました。

  • Bucket Name:任意(グローバルで一意)
  • Visibility:Private
  • Default Encryption:今回は無効
  • Object Lock:無効

Object Lockはランサムウェア対策や改ざん防止には非常に有効な機能ですが、通常のファイルサーバー用途では「削除できない」という制約が先に立ってしまいます。

バックアップ専用のバケットであれば検討する価値がありますが、今回は日常的に更新されるストレージなので無効のままとしました。

最初に変更しておきたい設定

Bucketを作成したら、最初に確認しておきたい項目があります。

それが Lifecycle Settings です。

初期設定では Keep all versions となっており、同じファイルを上書きすると以前のバージョンが残り続けます。Backblaze B2はデフォルトでファイルの世代管理を行うため、このままでは古いバージョンも保存容量に含まれます。

筆者の用途では世代管理は不要だったため、

Keep only the last version of the file

へ変更しました。これで最新版のみを保持する運用になります。もちろん、バックアップ用途で利用するのであれば「Keep all versions」の方が適しています。

ここは「どちらが正しい」という話ではなく、用途に合わせて選択する部分です。

アプリケーションキーを発行する

続いて、Linuxから接続するためのAPIキーを作成します。

管理画面の Application Keys から Add a New Application Key を選択します。

今回は次のように設定しました。

  • Key Name:任意
  • Bucket:作成したBucketのみ
  • Access:Read and Write
  • Allow List All Bucket Names:有効

最後の Allow List All Bucket Names は忘れやすい項目です。

rcloneなどがBucket一覧を取得する際に利用するため、有効にしておく方が扱いやすくなります。

キーを作成すると

  • keyID
  • applicationKey

が表示されます。

このうち applicationKeyはこの画面でしか表示されません。 あとから確認できないため、安全な場所へ保管しておきます。

Ubuntu 24.04へrcloneを導入する

Backblaze B2への接続には、今回は rclone を採用しました。

以前はs3fsを利用していましたが、VFSキャッシュや同期機能などを考えると、現在ではrcloneの方が扱いやすい場面が多くなっています。

Ubuntu 24.04であればAPTからそのまま導入できます。筆者は好みでaptitudeを用いています。

sudo aptitude update
sudo aptitude install -y rclone fuse3

導入後以下で確認します。

rclone version

rcloneを設定する

設定は一般ユーザーで行います。

rclone config

を実行し、新しいRemoteを作成します。主な設定は以下の通りです。

  • New remote
  • 名前:任意
  • Storage:Backblaze B2
  • Account:keyID
  • Key:applicationKey

途中で

Permanently delete files on remote removal, otherwise hide files.

という質問が表示されます。筆者はここだけ true を選択しました。Backblaze B2は削除しても「Hidden Version」として残すことができますが、今回の目的は「不要なデータを残さない運用」です。

そのため、削除時は完全削除となるよう hard_delete=true を設定しています。

なお、ファイルを上書きした場合の旧バージョン保持はLifecycle設定の対象になるため、先ほどBucket側で「Keep only the last version」に変更した意味もここで生きてきます。

接続を確認する

設定が終わったら、最後に接続できることを確認します。

rclone lsd 設定した名前:

設定が正しければ、作成したBucket一覧が表示されます。

続いて簡単なファイルをアップロードしてみます。

echo "Hello, Backblaze B2 from Linux!" > test-b2.txt
rclone copyto -P test-b2.txt \
    名前:バケット名/test-b2.txt

アップロード後は、

rclone ls 名前:バケット名

で存在を確認できます。さらに削除も試してみます。

rclone delete \
    名前:バケット名/test-b2.txt

今回は、削除後もTimed Deleted Storageのような最低保存期間を気にする必要はありません。短時間だけ存在したファイルは、その存在していた時間だけが課金対象となります。

これで、ようやく「削除すると料金が増えるかもしれない」という制約から解放されました。

もちろん、料金が安くなったことも嬉しいのですが、それ以上に「アプリケーションが本来の動作をしても気にしなくて良い」という安心感の方が、筆者にとっては大きな収穫だったように思います。

ワイヤレスイヤホン・新調。(Anker Liberty Pro4選定)

2024年以来のワイヤレスイヤホン、導入です。

Bluetoothイヤホンを買い換えました。筆者が最終的に選択したのはAnkerのSoundcore Liberty 4 Proです。

それまで使用していたモデルは、同社のSport X20。イヤーフックがあるため落としにくいという利点がありましたが、アクティブノイズキャンセリングの効き具合に関してはやや物足りなくなっていったというのも事実です。特に移動時や周囲の雑音が気になる環境では、より強力な遮音性能がほしいというのも購入のきっかけである。

選択肢Pro 4 かPro 5か

SportはX20が未だ現役ということから、イヤーフックなしでも使える機種を選定していきます。選択肢として検討したのは、

  • 昨年登場したLiberty Pro 4
  • 今年新たに発表された後継機のLibetty Pro 5です。

最新モデルであるPro 5は性能面を見れば非常に魅力的ではありましたが、ここに一つの問題が立ちはだかります。

落としても授業料で済むか?

筆者は過去に、当時のSONYのハイエンドモデルを側溝に落として紛失してしまった経験があります。いくら2年使っていたとはいえ、高価格なイヤホンを失った際の精神的・金銭的ダメージは小さくなく、だからこそこれまである程度割り切って使える価格帯(そして落ちにくい形状)の製品を選んできました。

なので、Pro 5の約2.5万円強という価格設定は、万が一の紛失を想像した際にやや心理的ハードルが高いというものがあります。

一方でPro 4は、実売1万円台半ばから後半という価格帯でありながら、十分強力なノイズキャンセリング性能を確認。万が一の紛失時のリスクを許容範囲に抑えつつ、日常の静寂を手に入れるという点も協力でした。

確定、Pro 4

また、Pro 4のスマート充電ケースにディスプレイが搭載されている点もポイントでした。ケース側でノイズキャンセリングの切り替えやモード設定を直接行えるため、歩行中などに耳元のイヤホン本体を直接触る機会が減る。これは耳元での操作ミスによるポロリと落とす事故をある程度防げます。

それ以上に、実機を装着して「自分を選んだ」感が強いのものPro 4でした。

使用感、気になったことなどは改めてご報告します。

Apache RewriteRuleを書き直して気付いたこと。「正規表現」は短く書くためではなく、保守しやすくするために使う

先日、Redmine の Googlebot 対策として Apache の mod_rewrite を使った RewriteRule を追加しました。

まずは CPU 使用率を下げることが最優先だったため、とにかく確実に動くことを重視して場当たり的に正規表現を追加しました。

なので、今回は、RewriteRule を書き直しながら改めて感じた、「正規表現は短く書くためではなく、保守しやすくするための道具」という話です。

動けばいい。だが、そんな状態では後でメンテしづらい

最初に書いた設定はこんな感じでした。

RewriteRule ^/projects/.*/knowledgebase - [G,L]
RewriteRule ^.*/knowledgebase - [G,L]

RewriteCond %{HTTP_USER_AGENT} (Googlebot|GoogleOther|bingbot|Baiduspider) [NC]
RewriteRule ^/(projects/[^/]+/)?issues\.pdf$ - [G,L]

RewriteCond %{HTTP_USER_AGENT} (Googlebot|GoogleOther|bingbot|Baiduspider) [NC]
RewriteRule ^/(projects/[^/]+/)?issues\.csv$ - [G,L]

RewriteCond %{HTTP_USER_AGENT} (Googlebot|GoogleOther|bingbot|Baiduspider) [NC]
RewriteRule ^/(projects/[^/]+/)?issues\.atom$ - [G,L]

もちろん、これでも動きます。むしろトラブル対応中であれば、このくらい分かりやすく書いた方が安全です。

ただ、冷静になって眺めてみると、

「同じことを何回も書いている」

ことに気付きました。

正規表現とは何か

そこで、さらに正規表現で直していきます。「正規表現」という言葉を聞くと、難しそうな印象を持たれる方も多いかもしれませんが、思ったよりも単純なルールでできます。

例えば、

issues.pdf
issues.csv
issues.atom

この3つは末尾だけが違います。

これを

issues\.(pdf|csv|atom)

と書けば、

「.pdf でも .csv でも .atom でも一致する」

という意味になります。MtGで言うなれば、

  • 日没を遅らせる者
  • 時を解す者
  • ドミナリアの英雄

につく「テフェリー」は

(日没を遅らせる者|時を解す者|ドミナリアの英雄)、テフェリー

と書けます。このように、共通点があるものを一つのルールで表現する。それが正規表現です。

書き直した結果

最終的には次のような形に整理しました。

RewriteCond %{HTTP_USER_AGENT} (Googlebot|GoogleOther|bingbot|Baiduspider) [NC]
RewriteCond %{REQUEST_URI} ^/(projects/[^/]+/)?issues\.(pdf|csv|atom)$ [NC,OR]
RewriteCond %{QUERY_STRING} (^|&)(sort|set_filter|per_page)= [NC]
RewriteRule ^/(projects/[^/]+/)?issues - [G,L]

PDF、CSV、Atom を一つの正規表現へまとめ、さらに「動的クエリ」と「エクスポート要求」を一つの RewriteRule で処理できるようにしています。

行数だけを見ると少し減った程度です。

ですが、保守性はかなり向上しました。

保守性を求めた正規表現

今回の目的は「短く書くこと」ではありません。

例えば将来、

issues.json

も遮断対象にしたくなったとします。以前の書き方なら RewriteRule を一本追加します。この書き方であれば

(pdf|csv|atom|json)

と一か所を書き換えるだけで済みます。変更箇所が一つだけになる。これは保守する上でかなり大きな違いです。

Knowledgebaseも同じ考え方で整理。

Knowledgebase の RewriteRule も整理しました。

以前は

RewriteRule ^/projects/.*/knowledgebase - [G,L]
RewriteRule ^.*/knowledgebase - [G,L]

のように複数行で書いていました。これを

RewriteRule ^/(home/www-data/|(.*/)?knowledgebase) - [G,L]

という一つのルールへまとめています。さらに、このルールでは以前問題になった

/home/www-data/...

のような物理パスへの誤アクセスも同時に処理しています。

「Knowledgebaseだけ」ではなく、「Rails に渡したくないもの」という視点で整理し直した結果です。

「同じ意味のもの」をまとめる

今回 RewriteRule を整理していて感じたのは、正規表現を書くことが目的ではないということです。目的は、「同じ意味を持つものを一つのルールで表現する」ことでした。

  • Knowledgebase は「存在しない旧機能」です。
  • PDF、CSV、Atom は「重いエクスポート」です。
  • sort や set_filter は「重い動的クエリ」です。

そう考えると、設定ファイルも「何を止めたいのか」が分かる構成になっていきます。

未来の自分が読める設定にする

サーバー設定は、一度書いたら終わりではありません。半年後、一年後あるいは障害対応中の深夜に、また自分が読むことになります。

その時に

「この RewriteRule は何を止めているんだっけ?」

と悩むようでは、あまり良い設定とは言えません。もちろん、正規表現は凝ろうと思えばいくらでも複雑にできます。ですが、複雑さは必ずしも保守性につながりません。

今回の書き直しで目指したのは、「短い設定」ではなく、 「意図がまとまっていて、後から見ても理解しやすい設定」 でした。
正規表現は、そのための道具なのだと改めて感じた次第です。

Redmine 6.x移行記(後編)犯人はGooglebotだった。Apacheの410 GoneでPassengerを守るまで

前回の記事では、Redmine 6.1への移行後に Passenger の CPU 使用率が異常に高止まりし、production.log と netstat を追い始めたところまでを書きました。

調べていく中で、

  • 削除した Knowledgebase へのアクセス
  • sort= や set_filter= を含むチケット一覧
  • PDF や CSV、Atom のエクスポート要求

といった、一見すると関連性のないリクエストが大量に飛んできていることが分かってきます。そして最後に、

「もしかしてクローラーなのでは?」

という疑問が残りました。今回は、その続きを書いていこうと思います。

アクセス元を確認してみる

まずは production.log とアクセスログを突き合わせながら、アクセス元を確認してみました。

すると、見えてきたのは見慣れた IP アドレスです。

66.249.xx.xx

Googlebot でした。しかも一度や二度ではありません。HTTPS のセッションを何十本も張りながら、次々とリクエストを投げています。

しかもアクセスされていたのは、削除した Knowledgebase だけではありません。チケット一覧についても、

sort=
page=
set_filter=

といったパラメータ違いを延々と巡回しています。さらに、

issues.pdf
issues.csv
issues.atom

まで取得しようとしていました。普段ブラウザで Redmine を使っていると、これらは「便利な機能」という認識です。

ですが、サーバー側から見ると話は変わります。例えば PDF の生成であれば、データベースからチケットを取得し、テンプレートを組み立て、PDF をレンダリングし、レスポンスを返す。

HTML を返すだけとは比較にならないくらい重い処理になります。

つまり Googlebot は、リンクがあるから辿っているだけなのですが、Passenger からすると重い仕事ばかり持ち込まれている状態でした。

404でもPassengerは起きてしまう

Knowledgebase のアクセスについても同じです。

「存在しないページなんだから404で終わりでは?」

最初はそう考えていました。しかし実際には、Rails が起動し、ルーティングを行い、存在しないことを確認し、404 を返します。404 を返すこと自体は正しい動作です。ですが、その404を返すためにも Passenger は仕事をしています。

これでは、存在しないページへのアクセスであっても CPU を使い続けることになります。

ならばRailsまで届かせなければいい

ここで考え方を変えました。Rails が重いのではありません。Rails に仕事を渡してしまっていることが問題です。

であれば、Rails が起きる前にApacheで止めればいい。Apache を使っている以上、一番軽いのは Apache の段階で処理してしまうことです。

そこで mod_rewrite を使うことにしました。バーチャルホストの.confを以下のように変えていきます。

RewriteRule ^/projects/.*/knowledgebase - [G,L]
RewriteRule ^.*/knowledgebase - [G,L]

まずは削除済みの Knowledgebase。続いて、

RewriteCond %{HTTP_USER_AGENT} (Googlebot|GoogleOther|bingbot|Baiduspider) [NC]
RewriteRule ^/(projects/[^/]+/)?issues\.(pdf|csv|atom)$ - [G,L]

PDF、CSV、Atom のエクスポート。さらに、

RewriteCond %{QUERY_STRING} (sort=|set_filter=|per_page=) [NC]
RewriteRule ^/(projects/[^/]+/)?issues - [G,L]

検索エンジンが総当たりしている動的クエリも Apache 側で受け止めることにしました。

404ではなく410を選んだ理由

404でも目的は達成できます。ですが、今回は410 Goneを選びました。

404エラーは、「今は見つからない」という意味です。検索エンジンから見ると、

「また後で来れば復活しているかもしれない」

という扱いになります。一方、410 Gone は、

「もう永久にありません。」

という宣言です。今回削除した Knowledgebase は、将来復活させる予定はありません。だったら、その意思を HTTP ステータスとして返した方が正確です。

robots.txtも追加した

もちろん、Apache の設定だけではありません。今後の巡回そのものを減らすため、robots.txt にも、

Disallow: /projects/*/knowledgebase*
Disallow: /*?*sort=
Disallow: /*?*set_filter=

などを追加しました。ただし、ここは誤解しやすいところです。robots.txt は即効性のある仕組みではありません。

既に巡回予定へ入っているリクエストは、そのまま飛んできます。まず Apache で止める。その上で robots.txt により今後の巡回を減らす。この二段構えにしました。

効果はすぐに現れた

設定を反映し、Passenger(mod_passengerなのでapacheそのもの)を再起動します。

その後、再び CPU 使用率を確認すると、先ほどまで70〜90%を推移していた Passenger が数%程度で落ち着いていました。

production.log からも

  • Knowledgebase の404、
  • IssuesController の大量アクセス、
  • 500.html

の RoutingError は姿を消しています。試しに curl から Googlebot の User-Agent を付けてアクセスしてもApache が Rails を起動することなく、即座に

HTTP/1.1 410 Gone

を返しました。狙い通りです。Passengerに到達すること無くは何も仕事をしていません。

今回学んだこと

今回改めて感じたのは、「プラグインを削除すること」と、「削除したことを検索エンジンへ伝えること」は全く別の話だということでした。

Redmine 側では綺麗にプラグインをアンインストールできていても、Google は昔の URL を覚えています。そして真面目に巡回を続けます。そのリクエストを Rails まで届けてしまえば、存在しないページであっても Passenger は起き、CPU を使います。

だからこそ、410エラーにより「もうありません。」という判断を Apache が先に行う。

今回のケースでは、この水際防衛が一番効果的でした。

Redmine に限らず、長く運用してきた Web アプリケーションでは、大きな整理やプラグインの削除を行った後、一度アクセスログを眺めてみることをおすすめします。

自分ではとっくに忘れていた URL を、検索エンジンは驚くほど律儀に覚えているものです。そして、それが思わぬサーバー負荷につながっていることも、決して珍しくありません。

余談「Apacheは実は柔軟」

これは私の持論なのですが、超大手プラットフォームや大手配信サイトではapacheは重い。nginxこそ主流だ的な記事を見かけますが筆者のように

多数のサーバを立てられない
それでもWebアプリを多数動かしたい
セキュリティも譲れない
場合はApacheの方が驚くほど柔軟なパターンがあります。その辺の話はまた改めて。

Redmine 6.x移行後の運用記(前編) Passengerが静かにならない。Redmine 6.1移行後に始まった高負荷の正体を追う

Redmine 6.1への移行は無事に終わりました。

Redmine 5.1からのメジャーアップグレードということもあり、今回は不要になったプラグインをかなり整理しています。長年使い続けてきた環境だっただけに、「使っていないものは思い切って切る」という判断をしました。

しかし、Webで公開していると思わぬトラブルが発生しました。

CPUが一向に下がらない

切り替えた Redmine 6.1 を監視していると、Passenger の CPU 使用率が妙な動きをしています。

%CPU   %MEM   PID      USER     COMMAND
--------------------------------------------------------------------------------------
78.1   4.7    560493   www-data Passenger RubyApp: /home/www-data/redmine_v6 (prod)
38.4   3.8    560422   www-data Passenger AppPreloader: /home/www-data/redmine_v6

何も触っていないのに 70~90% を行ったり来たりしています。移行直後なので、

  • 「まだ何か設定を忘れているのか?」
  • 「プラグインを外した影響が残っているのか?」

と考えながら調査を始めました。

まず Passenger を見ようとした

最初に確認したのは Passenger 自身です。普段であれば passenger-status を実行すれば状況はある程度分かります。

ところが今回は、それすら使えませんでした。UNIX ドメインソケットのパス長制限(108バイト)に引っ掛かり、ArgumentError が発生してしまいます。

管理コマンドが使えない以上、地道にログを追うしかありません。そこで production.log と netstat を確認してみることにしました。

最初に見えたもの

production.log を眺めていると、最初に目に入ったのは見覚えのある URL でした。

Knowledgebase。

v5.1→v6.1へ移行で完全に削除したプラグインです。ところが、その URL へ今でもアクセスが来ています。

「検索エンジンが昔の URL を覚えているのか。」

最初はそう考えました。しかし、ログを読み進めていくと、それだけでは説明が付きません。

他にも出てくる動き

アクセスされているのは Knowledgebase だけではありません。

チケット一覧。

しかも普通に開いているわけではなく、

  • sort=
  • page=
  • set_filter=

こういったパラメータ付きの URL が大量に飛んできます。

さらに、

  • PDF
  • CSV
  • Atom

といったエクスポートまで巡回しています。

ここまで来ると、「404 が増えている」という話ではなくなってきました。クローラーがかなり重い処理を次々と要求しています。その頃、netstat を見ると HTTPS セッションが大量に張り付いたままになっていました。

ここでようやく、一つの可能性が頭に浮かびます。

「もしかして、これ全部クローラーなのでは……?」
「というか、悪質クローラーは止めている(includeでシャットダウンしている)はずでは……?」

そして、もしそうだとしたら、Rails 側で受け止め続けていいのか。

次回はログをさらに追い掛けながら、最終的に Googlebot による旧 URL の巡回と、動的クエリの総当たりが Passenger を疲弊させていた こと、そして Apache の mod_rewrite と 410 Gone を使って水際で止めるまでの経緯を書いていこうと思います。

【WAF検知ログ解析】難読化された JavaScript 偵察ツールを ModSecurity はどう見抜いたのか

はじめに

Redmine 6.1への移行作業がようやく一段落したので、久しぶりにサーバーログを眺めていました。

すると、トップページ (hoge.example.com) に対して、見慣れない長大なペイロードが飛んできていました。

最近の攻撃は「脆弱性を突く」ことだけが目的ではありません。まずは対象がどんな環境なのかを調べ、その結果によって次の手を変えてきます。

今回は、その偵察段階で送られてきたJavaScriptペイロードがなかなか興味深い内容だったので、ModSecurityのログを追いながら見ていきます。

検出された ModSecurity ログ

まずは実際のログです。

例によってIPアドレスはダミーに置き換えています。テロリストに名前を与えていません。

[Wed Sep 02 02:04:07 2026] [security2:error] [client 198.51.100.24:56250] ModSecurity: Warning. Pattern match "(?i)(?:b[\\"'\\\\)\\\\[\\\\x5c]..." at ARGS:0. [file "REQUEST-932-APPLICATION-ATTACK-RCE.conf"] [line "205"] [id "932235"] [msg "Remote Command Execution: Unix Command Injection (command without evasion)"] [data "Matched Data: eval)(global[String['from'+'CharCode'](66,117,102,102,101,114)].from('KGFzeW5jIGZ1bmN0aW9uKCl7Ci8vIGZhc3RfcmVjb25fdjY..."] [hostname "hoge.example.com"] [uri "/"]
[Wed Sep 02 02:04:07 2026] [security2:error] [client 198.51.100.24:56250] ModSecurity: Rule [id "932250"] - Execution error - PCRE limits exceeded (-47): (null). [hostname "hoge.example.com"] [uri "/"]
[Wed Sep 02 02:04:07 2026] [security2:error] [client 198.51.100.24:56250] ModSecurity: Warning. Pattern match "(?i)\\\\b\\\\(?[\\"']*(?:assert|eval|exec|passthru)..." at ARGS:0. [file "REQUEST-933-APPLICATION-ATTACK-PHP.conf"] [line "406"] [id "933160"] [msg "PHP Injection Attack: High-Risk PHP Function Call Found"] [hostname "hoge.example.com"] [uri "/"]

最初に目を引くのは Rule 932235 が反応していることです。

Remote Command Execution:
Unix Command Injection

さらに途中では

PCRE limits exceeded (-47)

というログも出ています。

Base64の中身を見てみる

ログ中に埋め込まれていたBase64文字列をデコードすると、次のようなヘッダーが現れました。

(async function(){
// fast_recon_v6 — signature-rotated recon payload
// Changes from v5:
//   - Randomized top-level JSON keys (no fixed schema to fingerprint)
//   - Variable output structure per invocation
//   - IMDS calls use randomized User-Agent + jittered timeouts
//   - File reads are shuffled order (no deterministic sequence)
...

名前からも分かるように、これは偵察を目的としたJavaScriptです。面白いのは「何を調べるか」よりも、「どうやってWAFの検知を避けようとしているか」の方でした。

難読化の目的はコードを隠すことではない

例えば、

global[String['from'+'CharCode'](...)]

という書き方。普通なら

Buffer

と書けば済むものを、わざわざ文字コードから組み立てています。さらに

(0,eval)(...)

という間接呼び出しも使われています。どちらもJavaScriptとしては動作は同じですが、単純な文字列検索やシグネチャ検知を避けるための定番手法です。

コードを読めなくすることより、「機械に見つかりにくくすること」の方が目的と言った方が近いでしょう。

偵察対象も今どきらしい

コードを見ると、次のような情報収集も行おうとしていました。

  • クラウドメタデータ(IMDS)へのアクセス
  • IAMロールなど認証情報の取得
  • ファイル探索順序のランダム化
  • User-Agentやタイムアウト値のランダム化

固定パターンをできるだけ作らないよう工夫されており、「同じ攻撃を毎回少しずつ変える」という最近の攻撃らしい作りになっています。

PCRE が限界を迎えても、防御は止まらない

途中で

PCRE limits exceeded (-47)

が記録されています。これは巨大な入力に対して、ある正規表現がバックトラック上限へ達したことを示しています。

しかし、OWASP CRSは一つの巨大なルールだけで防御しているわけではありません。このリクエストでは、

  • 932235
  • 932260
  • 933160
  • 933210

と、別方向から検査するルールが続いてヒットしました。

つまり、一つの正規表現が処理を諦めても、他のルールが引き継ぐ設計になっています。

多層防御という言葉はよく聞きますが、今回のログはその動きを非常に分かりやすく見せてくれました。

おわりに

最近は攻撃そのものより、「検知をどう回避するか」の工夫を見る機会が増えてきました。

とはいえ、こうして落ち着いて中身を眺められるのは、防御基盤が先に仕事をしてくれているからです。

「サーバー運用はサファリパークに似ている」ようなものです。猛獣を間近で観察できるのは面白いですが、それは檻や装甲車があるからこそです。

今回も同じでした。難読化されたJavaScriptをじっくり読めたのは、攻撃がアプリケーションまで届かなかったからです。

運用者としては、その「観察できる余裕」こそが、一番ありがたい成果だったのかもしれません。

WasabiをRedmineの添付ファイル保存先にしたら、画像の貼り付けだけ「早期削除」が気になり始めた話

Redmine の添付ファイル保存先として、Wasabi オブジェクトストレージを s3fs でマウントして利用しています。

運用自体は安定していましたが、ある日 Wasabi のダッシュボードを眺めていて違和感を覚えました。

Timed Object Storage(早期削除)の対象が、思ったより増えている。

以前、Nextcloud や Growi とオブジェクトストレージの組み合わせで、Timed Object Storage に長期間悩まされた経験(150日の亡霊)があります。

そのとき学んだのは、「動いている」ことと、「そのストレージに適した運用」であることは別だということでした。

その経験があったからこそ、今回も「また何か起きているのではないか」と考え、一つずつ確認してみることにしました。

添付方法によって違いがあるのでは?

まず比較したのは、画像の添付方法です。

確認した結果、少なくとも現時点では次のような傾向が見えました。

添付方法Timed Object Storage の発生
ファイル選択からアップロード確認できず
Ctrl+Vでクリップボード貼り付け確認
Enhanced UIなどの貼り付け機能確認

もちろん、これだけで原因が断定できるわけではありません。「画像を添付する」という同じ操作でも、添付方法によって内部処理が違う可能性は十分考えられます。

クリップボード貼り付けでは一時ファイルを生成・削除しているのかもしれませんし、Enhanced UI 側の実装が影響しているのかもしれません。

現時点では、そこまで踏み込んだ検証はできていません。

今回試してみる対策

以前の経験から、オブジェクトストレージへ直接細かなアクセスを繰り返す構成は、あまり相性が良くないと感じています。

そこで今回は、s3fs のキャッシュ機能を利用して、ローカル SSD をワンクッション挟む構成へ変更してみることにしました。

追加した主なオプションは次の3つです。

  • use_cache
  • stat_cache_expire=60
  • enable_content_md5

まずキャッシュディレクトリを作成します。

sudo mkdir -p /var/cache/s3fs_bucket_a /var/cache/s3fs_bucket_b
sudo chown -R www-data:www-data /var/cache/s3fs_bucket_a /var/cache/s3fs_bucket_b
sudo chmod 750 /var/cache/s3fs_bucket_a /var/cache/s3fs_bucket_b

続いて /etc/fstab を更新します。

cd /etc
sudo cp -pi fstab /etc/conf_backup/fstab.20260830
sudo nano fstab
--- /etc/conf_backup/fstab.20260830     2025-08-07 11:01:54.000000000 +0900
+++ fstab                               2026-08-30 19:58:37.000000000 +0900
@@ -2,8 +2,9 @@
 LABEL=BOOT      /boot   ext4    defaults        0 2
 LABEL=UEFI      /boot/efi       vfat    umask=0077      0 1
 /swapfile       none    swap    sw      0 0
-# Wasabi Bucket A (storage.example.com)
-s3fs#storage.example.com /mnt/wasabi fuse _netdev,allow_other,passwd_file=/home/sampleuser/.passwd-s3fs,url=https://s3.ap-northeast-1.wasabisys.com,use_path_request_style,uid=33,gid=33 0 0
 
-# Wasabi Bucket B (counter.example.org)
-s3fs#counter.example.org /mnt/wasabi2 fuse _netdev,allow_other,passwd_file=/home/sampleuser/.passwd-s3fs,url=https://s3.ap-northeast-1.wasabisys.com,use_path_request_style,uid=33,gid=33 0 0
+# Wasabi Bucket A (storage.example.com - ap-northeast-1)
+s3fs#storage.example.com /mnt/wasabi fuse _netdev,allow_other,passwd_file=/home/sampleuser/.passwd-s3fs,url=https://s3.ap-northeast-1.wasabisys.com,use_path_request_style,uid=33,gid=33,use_cache=/var/cache/s3fs_bucket_a,stat_cache_expire=60,enable_content_md5 0 0
+
+# Wasabi Bucket B (counter.example.org - ap-northeast-1)
+s3fs#counter.example.org /mnt/wasabi2 fuse _netdev,allow_other,passwd_file=/home/sampleuser/.passwd-s3fs,url=https://s3.ap-northeast-1.wasabisys.com,use_path_request_style,uid=33,gid=33,use_cache=/var/cache/s3fs_bucket_b,stat_cache_expire=60,enable_content_md5 0 0

変更後は再マウントします。(daemon-reloadしないと怒られました)

sudo umount /mnt/wasabi
sudo umount /mnt/wasabi2
sudo systemctl daemon-reload
sudo mount /mnt/wasabi
sudo mount /mnt/wasabi2

これで本当に改善するのか?

正直なところ、この記事を書いている時点ではまだ分かりません。今回の変更は、「クリップボード貼り付け時の一時ファイルが原因ではないか」という仮説に基づく対策です。

実際に Timed Object Storage の発生が止まるのか、それとも別の要因があるのかは、しばらく Wasabi のダッシュボードを見ながら経過観察する必要があります。

もし改善が確認できれば追記しますし、変化がなければ別の原因を探ることになります。

まとめ

今回の目的は、「原因を突き止めた」という報告ではありません。

Wasabi のダッシュボードで小さな違和感を見つけ、その原因として添付方法の違いに着目し、対策を試し始めたという記録です。

以前、オブジェクトストレージとの組み合わせで大きく痛い目を見た経験があるからこそ、「いつもと違う」を見逃さずに済みました。

サーバー運用では、エラーが出てから対応するよりも、違和感の段階で調べ始める方が結果として被害は小さく済みます。

今回の変更が正解かどうかは、これからの経過観察で判断したいと思います。

【Redmine 6.1移行】DBマイグレーションで「Table already exists」連発? 本体統合された機能との競合を解消して移行を完走した記録

Redmine 5.1からRedmine 6.1への移行では、できるだけ本番環境へ影響を出さないよう、検証環境で一つずつ作業を進めてきました。

今回は以前のように「一気にアップグレードして問題を追う」のではなく、

  • 検証環境を作る
  • 問題が起きたら原因を調べる
  • 記録として残す
  • 次の工程へ進む

という流れで進められたため、最終的にはかなり安心して6.1環境を完成させることができました。

その途中で遭遇したのが、データベースマイグレーション時の Table already exists エラーです。

最初は単純なテーブル重複かと思いましたが、原因を追っていくとRedmine 6.0で行われた「プラグイン機能の本体統合」が関係していました。

今回は、このマイグレーションエラーの内容と対処手順を記録しておきます。

実データを流し込んだ直後にマイグレーションが止まる

今回の手順では、Redmine 5.1で整理・純化しておいたデータベースをMySQLダンプから復元し、そのままRedmine 6.1側でマイグレーションを実行しました。

cd /home/www-data/redmine_v6
sudo -u www-data RAILS_ENV=production bundle exec rake db:migrate

ところが途中で処理が停止します。

最初に止まったのは、リアクション機能です。

== 20250423065135 CreateReactions: migrating ==================================
-- create_table(:reactions)

Mysql2::Error:
Table 'reactions' already exists

この時点では、

「どこかでマイグレーションを実行し忘れたかな?」

程度に考えていました。ところが、修正して再実行すると、今度はこちら。

== 20250611092155 CreateDoorkeeperTables: migrating ===========================

Mysql2::Error:
Table 'oauth_applications' already exists

また別のテーブルが既に存在すると言われます。つまり偶然ではなく、何か共通した原因がありそうでした。

原因は「昔はプラグイン、今は標準機能」

調べてみると、どちらもRedmine 6.0で本体へ取り込まれた機能でした。

今回衝突したのは、

  • リアクション機能
  • OAuth認証(Doorkeeper)

の二つです。どちらも以前はプラグインとして利用していましたが、Redmine 6ではコア機能になっています。つまり、

Redmine 5.1時代

プラグイン
    ↓
DBにテーブル作成

だったものが、Redmine 6.1では、

Redmine本体
    ↓
同じ名前のテーブルを作成

という流れに変わっています。そのため、旧環境からDBを持ってくると、

既に存在するテーブルを、Redmine本体がもう一度作ろうとする

という状態になっていました。

なぜDROPしてよいのか

ここで少し悩みました。

「既存テーブルを削除してしまって本当に大丈夫なのか?」

しかし今回は、本体側へ正式に統合された機能です。つまり最終的に利用するのはRedmine本体が管理するスキーマになります。古いプラグイン時代のテーブルを残していても、最終的には使われません。

そこで今回は、競合しているテーブルだけを削除し、本体マイグレーションに改めて生成してもらうことにしました。

競合しているテーブルを削除する

MySQLから競合しているテーブルを削除します。

mysql -u redmine_v6 -p redmine_v6 -e "
DROP TABLE IF EXISTS reactions;
DROP TABLE IF EXISTS oauth_access_tokens;
DROP TABLE IF EXISTS oauth_access_grants;
DROP TABLE IF EXISTS oauth_applications;
"

これで、本体側が新しくテーブルを作れる状態になります。

改めてマイグレーションを実行する

続いて再度マイグレーションを実行します。

cd /home/www-data/redmine_v6
sudo -u www-data RAILS_ENV=production bundle exec rake db:migrate

今度は問題なく進みます。

== CreateReactions: migrated
== EnsureWikiTablesortSettingIsStoredInDb: migrated
== CreateDoorkeeperTables: migrated

最後まで完走し、正常終了しました。

プラグイン側も忘れずに更新

本体が終わったら、続いてプラグイン側のマイグレーションも実行します。

sudo -u www-data RAILS_ENV=production bundle exec rake redmine:plugins:migrate

本体だけ更新して安心しがちですが、ここまで実行して初めてプラグイン側も新しい環境へ追従できます。

configuration.ymlも忘れずに引き継ぐ

今回の環境ではSMTP設定も引き継ぐ必要がありました。

既存環境から configuration.yml をコピーします。

sudo -u www-data cp -p \
/home/www-data/redmine/config/configuration.yml \
/home/www-data/redmine_v6/config/configuration.yml

その後、Passengerを再起動します。

sudo touch /home/www-data/redmine_v6/tmp/restart.txt
sudo systemctl reload apache2

最後に管理画面からテストメールを送信し、Zoho Mail経由で正常に届くことまで確認しました。

移行後の確認

今回の検証では、最終的に以下を確認できました。

  • 過去のチケット・Wiki・添付ファイルを正常に閲覧できる
  • ガントチャートも問題なく表示される
  • kodomo テーマもRedmine 6.1環境で正常動作
  • テストメールを送信し、Zoho Mailで受信できることを確認
  • DMSFを利用しなくても、標準添付機能で画像を配置できることを確認

ここまで確認できれば、検証環境としては十分安心できる状態になりました。

今回の移行を振り返って

今回のRedmine 6.1移行では、「作業そのもの」よりも「途中で何が起きたか」を残しながら進められたことが大きかったように思います。

以前であれば、エラーを解消して先へ進むことを優先していた場面でも、

  • なぜ起きたのか
  • Redmine側の仕様変更なのか
  • プラグイン由来なのか
  • 次に同じ作業をするとき、何を確認すればよいのか

という視点で整理しながら進められました。

結果として、今回遭遇した Table already exists も「たまたま起きたエラー」ではなく、Redmine 6でプラグイン機能が本体へ統合されたことによる仕様変更だと理解できました。

移行作業では、どうしてもエラーそのものへ目が向きがちですが、「なぜそのエラーが起きたのか」まで追っておくと、次回以降の作業はずっと楽になります。

今回の6.1環境は、そうした記録を積み重ねながら構築できたこともあり、これまでで一番安心して仕上げられたバージョンアップだったように感じています。

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