何度か言及しているボードゲーム『アルルの丘』。作品単体でのレビューは実は初めてです。
(ボドゲーマの寄稿を機に、ここでもご紹介です。
https://bodoge.hoobby.net/games/arler-erde/reviews/43630 )
自分が最初に購入したウヴェ・ローゼンベルク作品であり、未だに定期的に遊んでいる「座右のボードゲーム」です。
概要
プレイヤーは東フリジア地方を開拓していきます。湿地だらけの土地を切り開きつつ資源を手に入れ、ドイツ各地へと交易を行い、様々な施設を建築していきます。
ゲームシステム
基本的なワーカープレースメントではありますが、大きな特徴があります。
フルオープンのアクションスペース
まず、作品の共通ボードの大きさ広さに驚くでしょう。タイル置き場以外の全てがアクションスペース。「ラウンドごとに開放」ではなく、全てを使うことができます。
加工・運搬システム
「ワーカー固定」を打ち破る概念です。ゲーム中に手押し車や馬車を手に入れることによって、建築素材アップグレードしたり、素材やタイルを売り払って食料へと変換。リソースのやり取りや勝利点の獲得へと繋がります。
アクションの強化
多彩な選択肢を集中させるシステムです。アクションスペースを改良することで、後のラウンドでより多くの資源を得らることができます。(もちろん、これも得点行動に繋がります)
このゲームで好きなところ
自由な盤面
アクションの選択肢はそのままゲームの自由さに繋がります。
- ストイックに得点を突き詰める
- 農村/酪農などに特化した村を作る
- 商品加工や交易を重ねる
など自由自在。「ボードゲームにおけるオープンワールド」と自分は表現しています。
指標となる建物
本作のリプレイ性を高める要素が、ランダムに割り当てられる建物群です。いずれも地味ですが有用となる効果を備えていて、上位/最上位の建物へとつないだり開拓の指針となっています。
ゆるい食糧事情
『アグリコラ』と異なり、ワーカー維持に必要な食料ががラウンドごとに3で固定。家畜や旅(交易)によって容易に稼げるので、維持はほぼあってないようなもの。
パッケージにも描かれている『アルル教会』のような、食料を15も消費する建物でもゲーム終盤はらくらくと支払えるでしょう。
このゲームが人を選ぶ点
選択肢の多さの弊害
上記の自由な盤面はそのまま欠点となります。基本的に全てのアクションで何らかのアドバンテージは得られるものの、季節ごとに選べる選択肢などが重なって、「何をやっていいかわからない」手詰まり感が発生します。
複雑なルールの弊害
ここに、難解な説明書が加わります。「アクション強化」や「加工/交易」、土地の開拓などなど、なにかアクションをするたびにルールとにらめっこ。
特にフリーアクションの多さもあって、強烈なダウンタイムが発生します。
膨大なコンポーネントと広大なボード
タイル/駒の多さは相当のもの。
当然、セットアップやプレイ時間は長くなるので、かなりの覚悟が必要になります。(ここに拡張が加わるとスペースはさらに増加します)
まとめ
重厚なコンポーネント群に関わらず1〜2人用と規格外。ダウンタイム等を考慮するとむしろソロゲー専用という形です。
- 並べられたタイルを見て開拓の指針を決め
- 資源の調達方法を考え
- 合間合間に計画があっているかを確かめていく
過程がそのままゲームボードに現れていく楽しさは本作ならではです。
- 一つの作品を繰り返し味わいたい
- 一人で没入感あふれるゲームをしたい
と、本当に人を選ぶゲーム。
願わくば、本作のビッグボックス発売を機に、上記のような方々に触れてもらえることを願わんばかりです。
コメントを残す