本記事は、ボードゲーム『ブラッディ・イン』のインストをそのまま読み物にしたものです。

あくまでもフィクションであり実在の事件とは関係ないことをあらかじめ強調して記しておきます。

※長文です※

【概要】
プレイヤーは19世紀フランスの片田舎の村の宿屋の共同経営者です。
幸いなことに巡礼のため、宿泊客はひっきりなしにやってきます。
ある日、経営者は気づきました。「単に宿泊させているだけでは稼げない」
宿泊客から有り金を奪うという邪な考えが浮かびましたが、「絶対に気づかれるし、盗まれたなんてことがバレたら客が入らなくなる」と思いとどまります。
しかし、経営者たちはもっと邪悪な思考を持ったのです。
「宿泊客を殺して、死体から金を調達すればいいのだ」
殺すにも埋めるにも人手が必要なのは自明の理。
そこで、宿泊客を買収して協力してもらうことにしたのです。
経営者がそれらを実行するのは夜のうち。すべてを行うには時間が足りません。
限られた時間、限られた行動。誰が最も「効率的に」お金を得ることができるのでしょうか?

【準備】

  1. 各プレイヤーはヘルプカードを1枚と、小作人カードを2枚、10フラン小切手1枚を受け取ります。
  2. 色を1色選び、鍵トークン8個と資金ディスク1枚を受け取ります。
  3. 鍵トークン1個を好きな部屋番号に置きます。重複はできません。
  4. 中立の部屋を示す白い鍵トークンを2人:2個/3人:3個/4人:4個を空いている部屋に置きます。
  5. 鍵がどこにも置かれなかった部屋はゲーム中では使いません。
  6. 資金ディスクをゲームボードの「5」のところに置きます。
  7. 宿泊客カードを所定の枚数だけ取り除いてシャッフルし、「入り口」スタックに表にして置いておきます。

最も貪欲なプレイヤー(一番硬貨を持っている人)がスタートプレイヤーとなり、ゲーム開始です。

【宿泊客カード】
宿泊客カードは表面と裏面があります。
表面は名前の他に以下の属性を持っています。

[属性アイコン]
宿泊客が得意とする行動を示します。
 赤(スコップ)死体を埋める施設を作ることに長けています。
 青(札束)宿泊客の買収ならお任せ。
 黒(拳銃)お気付きの通り、宿泊客の殺害に威力を発揮します。
 紫(棺桶)あなたの代わりに死体を埋めてくれる頼もしい客です。

[コスト]
買収、建設、殺害、埋葬それぞれにかかる人の数を表します。
コスト0の客(小作人含む)は、買収も建設も殺害も(!)誰の手を必要としません。経営者たるプレイヤー一人だけで事足ります。
しかし、コスト3の客ともなると殺害にも埋葬にもたくさんの人手を必要とします。
また、コストは建てた施設がどれだけの死体を埋められるかを示します。
悲しいことに、コスト0の施設は死体を埋めるにはあまりにも小さいのです。

[施設名]
一部の宿泊客や小作人を除けば「買収後に施設を建ててもらう」ことができます。
施設は死体を隠すにうってつけというばかりではなく、彼ら特有の能力で様々な助けとなってくれるのです。
施設は数々の利点があります。

  • アクションにかかる人数を減らしてくれる
  • ただちにお金をもたらしてくれる
  • 回数制限や手札の制限を無効化してくれる
  • ゲーム終了時にさらなる利益をもたらす

様々な利点をもたらしてくれますが、経営者の至上命題はあくまでも「お金を稼ぐこと」ということをお忘れなく!

[お金]
彼らがポケットの中に持っているお金です。このお金は埋葬しないともらえません。
※経営者たちは荼毘に付されていない人間からお金を奪うほど道徳心に外れた行動はしないのです。

[裏面]
カードの裏面は性別も職業の貴賎も関係なく、平等に「死後の姿」が描かれています。
殺害された客は、裏返すことで死体となります。
死んでしまえばコストにかかわらず、特殊な場合を除いて「1体の死体」として扱います。

【ゲームの手順】

[夕方]
スタートプレイヤーは入り口スタックの宿泊客カードを上から順に公開し、部屋が埋まるまで招き入れます。(鍵のない部屋に招き入れることはできません)
どの部屋にどの客を迎え入れるかはスタートプレイヤーの自由です。しかし、招いたあとで部屋を変えることはできません。
このとき、コンシェルジュによってルームサービストークンが置かれている場合、そのトークンの持ち主は客のコスト分の資金を得ます。

[夜]
いよいよ本領発揮です。あなたの資金の稼ぎ時となります。しかし、全てをなすには時間が足りません。あなたに許されている行動は2つのみなのです。ここで大切なことは「重複したアクションを2つ行っても良い」「順番は問わない」ことです。

宿泊客カードには[0]~[3]のランクが示されています。

宿泊客カードを対象として何かしらのアクションを実施する場合、常に[0]~[3]枚の手札を捨てる必要があります。

例)コスト[0]の《新聞少年》は買収する時も殺害する時も手札を必要としません。しかし、《警部》はコスト[3]のため、それぞれのアクションで手札を3枚ずつ捨てます。
捨てられた宿泊客カードは、《小作人》は酒場にとどまります。それ以外は旅を続けるため、出口スタックに置かれます。
消費した客は、それぞれのアクションに対応したアイコンを持っていれば、旅を続けることなくあなたの手元に留まり続けます。(捨てた瞬間に戻ってくるのです!)

「買収」(コストを支払い宿泊客カード1枚を手札に加える/酒場にいる小作人を最大2枚まで手札に加える)
 → 効率よく仕事を行うための共犯者を募ります。もし、彼らが専門とする仕事に携わっていたら、なんと、いくばくかの宿泊料でずっととどまってくれるのです!
 質は問わない。とにかく人手がほしいという経営者は酒場にたむろっている小作人の力を借りることもできます。彼らはコストを必要とせず、しかも一気に二人も雇うことができます。(その上、旅を続けることなく仕事が終われば酒場へと戻ります)

「建設」(手札にあり、施設機能を持つ宿泊客カードをコストを支払って場に設置する)
 →「買収」で雇った共犯者の中には、コストを支払うことで敷地内に施設を建ててもらうことができます。

施設は例外を除いて死体を埋めることができるだけでなく、あなたが利益を得るため、または資金をもたらしてくれることに役立ってくれるでしょう。

「殺害」(客室にいる宿泊客カードを裏返してあなたの場に置く)
 → 宿泊客の巡礼の旅は、来世に向けての長い旅立ちとなります。
 この段階ではまだお金は得られません。また、手札にいたり施設を建てた共犯者を殺す非人道的行為はできません。

「埋葬」(裏向きの宿泊客カードを施設の下に置き、現金を得る)
 → 死体となった“元”宿泊客を施設の下に埋めることで、はじめてお金を得ることができます。

 他のプレイヤーの施設に埋めることも可能ですが、その場合は資金は山分けとなってしまいます。

  ※プレイヤーエイドカードは〔納屋〕の機能を有しています。つまり、1体分の死体は埋めることができます。

 ランクが高い死体ほど多くのお金が得られます。しかし、どのプレイヤーも40フランを超えて現金をもつことができません。では、どうすればもっと多くのお金を得ることができるのでしょうか? その答えは事項に記します。

「換金」(パス、10フランごとに小切手に変換するまたはその逆を行う)
 → 着々と儲けていくと、贅沢な悩みが出てきます。「40フラン以上のお金を蓄えることができない」のです。

「共同経営者」とはいえ、誰よりも多くのお金を持っている必要があるため、余剰の(または余剰が見込まれる)現金を10フランずつ小切手に変換していきましょう。

また、手持ちの現金が心許ない場合も、小切手を現金へ変換できます。

特に、あなたの共犯者は小切手を信用していません。

プレイヤーが2つのアクションを終えたら、次のプレイヤーは2つのアクションを実施します。全てのプレイヤーがアクションを終えると、朝がやってきます。

[朝]
朝、旅人たちがチェックアウトを行います。このアクションは、全てのプレイヤーが同時に実行していきます。

「旅立ちと支払い」(部屋にいる宿泊客カードを出口スタックに起き、宿泊料を受け取る)
何事もなかった幸運な宿泊客カードを出口スタックに置きます。

この時、プレイヤーの鍵が置かれていた部屋に泊まっていた宿泊客は鍵1つごとに1フランをそのプレイヤーに支払います。(資金トラックを移動させます)

「警察官の捜査」(埋葬されていない死体のチェック)
 宿泊客は自らの旅へと向かうのですが、注意しなければならない宿泊客がいます。……警察官です。警察官が一人でも宿泊していたら、彼らは埋葬していない死体を直ちに見つけ、捜査を開始します。ただ、彼らは無能なので死体を村の埋葬人に埋めさせるよう指示するものの、あなたを逮捕するということはありません!

しかし、埋葬人が死体を埋めると次の困ったことが起きます。

死体はゲームから取り除かれるため、あなたはその死体から得る予定だったお金を得られません。せっかく苦労して殺したのに、です。

 その上、10フランも支払わなければなりません。(資金トラックを10後退させるか、10フラン小切手1枚をストックに戻す)共犯者と違い、小切手払が有効なのですが、大金を失うことに変わりはありません。


 埋葬人は情け容赦なくきっちり取り立てますが、あなたが10フラン未満しか持っていない場合は、そのあり金全てで勘弁してくれます。


 ですから、宿泊客に警官がいる場合は「そのアクションで死体を埋めることができるか」に用心してください。時には涙をのんで殺すことを諦める、それもまたお金を稼ぐ秘訣です。


 注意すべきは、「宿泊客に警官がいて、埋められていない死体がある場合」に警官は捜査するということです。なので、警官が宿泊客になった場合は以下のアクションが有効です!

  • 警官を買収して手札に加える
  • 宿泊している警官を殺害する

「共犯者への支払い」(手札の数だけ資金トラックを減らす)
 協力者へお金を支払います。
 お金は一律に一人(一枚)につき1フランです。
 お金を払えない、払いたくない場合は、それらのカードを出口スタックに起きます。そのカードが小作人の場合は酒場に起きます。
 『金の切れ目が縁の切れ目』とはいえ、離れていった共犯者はあなたに告げ口をすることはありません。

すべての処理が終わったら、スタートプレイヤーカードを左に渡し、新たな夕方を、そして不幸な(あるいは幸運な)宿泊客を迎えます。

【ゲーム終了チェックと終了時の得点計算】
[入り口スタックの枯渇と補充]
入り口スタックに宿泊客が最初に尽きたとき、出口スタックの宿泊客をよく混ぜて2回目の入り口スタックとしてゲームを続行します。

2個目の入り口スタックが尽きたとき、ゲーム終了です。このとき、部屋が満室で無くてもプレイは行います。
 ※ただし、プレイ人数よりも宿泊客が少ない場合は、これらカードを直ちに出口スタックに置き、ゲーム終了になります。

[得点計算]
ゲーム終了時にお金をもたらすランク3の効果が解決され、その分だけの現金を得ます。(40フランの上限があることに注意してください!)

現金トラック上の所有額と小切手1枚につき10フランを所持金に加えます。

このとき、一番所有額が多いプレイヤーが勝者となります。同額の場合は、それぞれの手持ちの埋葬した死体の数が多いプレイヤーが勝者です。

それでも同じの場合は引き分けなので、もう一度、しのぎを削り合いましょう。

皆様の「経営」に繁栄があらんことを!