『リビングフォレスト』は未経験で『リビングフォレスト・デュエル』を遊んだので感想を記します。ルールの理解には少々時間がかかったものの、一度把握してしまえば、短いプレイ時間の中で多彩なアクションと戦略が楽しめる、やりこみがいのある2人用ボードゲームでした。

概要

プレイヤーは森の精霊となり、森を守り育てるため、以下に示す4つの勝利条件のうち、いずれか1つを達成することを目指します。

  1. 3×3になるよう樹木を植林する
  2. 鬼火の火を食い止める(8個の火トークンを集める)
  3. 守護獣ラインを自分の守護獣カードだけにする
  4. 相手に鬼火を送り込む

これらの勝利条件を達成するため、プレイヤーは手番ごとに1つを選んで実行していきます。

このゲームで良かったところ

シンプルなアクションと悩ましい選択

このゲームの基本アクションは、驚くほどシンプル。以下の2つだけです。

  1. 共有デッキからカードを1枚公開する
  2. 公開されているカードのアクションを実行する

各プレイヤーはアクショントークンを2つ持っており、これを消費すると、このラウンドでは行動終了になります。このシンプルなルールが、ゲームにテンポの良さと奥深さをもたらしています。

GoかStayかのディシジョンメイキング

1つめの気に入った点です。カードをめくるアクションをした場合、相手によりよい選択肢を与えることになります。ですが、カードをこれ以上めくらずにアクションを実行すると、弱い行動しか取れないこともあります。

しかも、基本的に2人が同じカードを参照するため、相手の動きを読みつつ、こちらが有利な状況を作るために「先に動くか」「まだ待つか」の選択に常時迫られます。

「バースト」がもたらすチキンレースの興奮

上述の点に「バースト」システムがスリリングな要素を加速させています。公開したカードに描かれている「孤立アイコン」が3つ溜まってしまうと「バースト」となり、ペナルティとしてアクショントークンが1つ消費されます。さらに4つ溜まると、トークンを2つとも消費され、そのラウンドでは何もできなくなってしまいます。

共有デッキの内容を推測しながら、「もう1枚めくるか、ここでアクションを実行するか」という判断を迫られるチキンレースの緊張感が、このゲームの大きな魅力の一つです。

刻一刻と変わる戦況と最適解の探求

これが2つめに気に入ったところです。バーストのリスクだけでなく、相手の状況にも常に気を配る必要があります。

  • バーストを防ぐには?
  • 相手はどの勝利条件に近づいているか?
  • それを阻止するためには、今どの行動を取るべきか?
  • 一つの勝利条件を目指していると見せかけて、別の勝ち筋を狙うことはできないか?
  • 一石二鳥のアクションは?

等、考えるべきことは多岐にわたり、終始頭をフル回転。

さらに、植林による永続的な効果や、守護獣がもたらすラウンド中の一時的な強化、特定条件下での連続行動やバースト阻止といった特殊効果が、戦略にさらなる深みを与えています。これらの要素が複雑に絡み合い、短めのゲームらしからぬ濃密さが楽しめました。

このゲームの注意点

初見では理解が難しいルール

本作の最大のハードルは、ルールの難解さです。ルールブックを読んでも、「このカードはいつ使うのだろう?」「このアイコンは何を意味するのか?」といった疑問が次々と浮かぶと思います。

筆者自身も、実際にプレイしている動画を見て、ようやく全体の流れや細かい処理を把握することができました。そのため、ボードゲーム初心者や未経験者同士でいきなりプレイするのはまず推奨しません。

経験者に教えてもらうか、ある程度ボードゲームに慣れた方が事前にプレイ動画で予習することをおすすめします。

例外処理の多さ

特に難解なのが、ラウンド終了時の処理です。消火できたかどうかの判定、それによる「炎まといカード」の処理やリシャッフルの条件等、ルールブックを見ても脳内に「?」が飛び交っていました。(これもプレイ動画で把握できた次第です)

他に植林や鬼火の移動によって発生するボーナスの処理など、覚えるべき例外処理が多く存在します。

カードにテキストが書かれていない言語依存の少ないデザインは、普段は好ましいと感じることが多いのですが、このゲームに関しては、その言語依存のなさが仇となりアイコンが示す処理の複雑さを増している要因となっています。

まとめ

『リビングフォレスト・デュエル』は、ルールの難しさという点から、誰もが気軽に楽しめる名作、と手放しで賞賛できるタイプのゲームとは言い難いです。

しかし、そのハードルを乗り越えることができれば、

  • 相手の行動を待つ時間が少ない、テンポの良いターン進行
  • シンプルなアクションから生まれる多彩なゲーム展開
  • カードをめくる際の、のるかそるかのスリル
  • 相手の狙いとこちらの狙い、深い読み合いの楽しさ
  • 終着点が都度変わるリプレイ性の高さ

などの数多くの魅力を比較的短時間で味わうことができます。人を選ぶかもしれませんが、戦略的な駆け引きが好きな方には刺さる良作です。

すっきりと整理されたコンポーネントや、ゲームのテーマによく合った美しいアートワークも個人的には非常に好印象でした。