WebArenaからXServerに移行し、メモリを6GBまで増強したものの、スワップの使用量増加が止まらず。

これをチューニングによりなんとか抑えられたというメモ書きです。

経緯

  1. スペックの負荷状況を調べるためにGrowiを導入
  2. 十分な性能が見込めたためにNextcloudやBookStackなどを入れていく
  3. それでも稼働していったのでRedmineの移行を終える。
  4. Redmineを入れた途端、スワップ使用率が高くなった。

環境

  • Ubuntu / Debian系OS
  • Apache 2.4
  • libapache2-mod-passengerがインストール済み
  • Redmineを複数稼働

チューニングの目的

上記環境のmod_passengerは、筆者のように複数のアプリケーションを、リソースが限られたVPSで運用する場合(いわゆる逸般的な使い方)は、メモリを過剰に消費し、サーバー全体のパフォーマンスを低下させる可能性があります。

事実、free -hコマンドで、Swapの使用量が放置しているのに高まってきたという状況でした。

そこで、リクエストがあれば都度、プロセスを増やしてしまうpassengerの機能をチューニングで抑制します。

さっくりとした手順

  1. passengerの設定ファイルのバックアップを行います。
  2. ファイルの修正によるチューニングを行います。
  3. 設定を反映させ、状況を確認します。

Passengerの設定ファイルをのバックアップ

※この設定は、バーチャルサイト個別設定ではなく、一括で設定を行います。

なぜなら、Passenger関連のディレクティブが、<VirtualHost>ブロックの中に書くことができないからです。

  • ファイルのバックアップ
sudo cp -pi /etc/apache2/mods-available/passenger.conf /path/to/backup/direcotry/passenger.conf.$(date +%Y%m%d)

バックアップディレクトリは自分の環境に合わせます。(筆者環境:/etc/conf/backup)

  • ファイルのバックアップ確認
diff -u -pi /path/to/backup/direcotry/passenger.conf.$(date +%Y%m%d) /etc/apache2/mods-available/passenger.conf 

差分がなく、エラーがなければバックアップはできています。

メモリ管理ディレクティブを追記

上記passenger.confファイルを開き、<IfModule mod_passenger.c>...</IfModule>ブロックの中に、以下の設定を追記します。

<IfModule mod_passenger.c>
  PassengerRoot /usr/lib/ruby/vendor_ruby/phusion_passenger/locations.ini
  PassengerDefaultRuby /usr/bin/ruby

  # --- ▼ここから追記▼ ---
  # Passengerが起動するRubyプロセスの最大数を4に制限
  PassengerMaxPoolSize 4
  # 各アプリケーションごとに起動する最大プロセス数を1に制限
  PassengerMaxInstancesPerApp 1
  # プロセスが300秒(5分)アイドルだったら停止させる
  PassengerPoolIdleTime 300
  # --- ▲ここまで追記▲ ---
</IfModule>

各ディレクティブの解説

ディレクティブ説明
PassengerMaxPoolSizePassengerがサーバー全体で起動するRubyプロセスの最大総数です。サーバーのメモリ上限を超えないよう、搭載メモリ量に応じて設定します。
PassengerMaxInstancesPerApp各アプリケーションごとに起動できるプロセスの最大数です。例えば1に設定すると、一つのRedmineサイトは同時に1つのプロセスしか使えなくなります。
PassengerPoolIdleTimeプロセスがここで指定した秒数以上アクセスがない場合、Passengerはそのプロセスを停止させ、メモリを解放します。

設定の反映

ファイルを保存した後、Apacheを再起動して設定を反映させます。

  • 構文確認
sudo apache2ctl configtest

Syntax Okを確認します。エラーが出たらその箇所を確認し、Syntax OKが出るまで修正します。

  • Apache再起動
sudo systemctl restart apache2.service
  • Apache再起動確認
systemctl status apache2.service

Running(Active)を確認します。

動作確認

この状態で一晩ほど様子を見ました。

free -h
               total        used        free      shared  buff/cache   available
Mem:           5.8Gi       3.3Gi       551Mi       141Mi       2.3Gi       2.4Gi
Swap:          2.0Gi       1.5Mi       2.0Gi

のまま。チューニング前はSwapを100~500MBも使用していたことから、動作は安定。設定は有効のようです。