ソロプレイのみでの感想です。
- セットアップ/プレイ時間に比して濃密なプレイ体験
- 適度なインタラクションと心地よい箱庭感
- 異なるパートナーによる見通しのいい戦略
- イラストとゲームシステムの一体感
等々、『ぬくみ温泉繁盛記』と比肩できる傑作だと感じました。
【概要】
プレイヤーは開拓担当者として任命されました。パートナーの助力を仰ぎつつ
- 未開の土地を調査し
- 資源や名声を蓄え
- 観光の目玉となる施設を建設し
最終的に街の繁栄に貢献していきます。
【ゲームシステム】
バッグビルディングと呼ばれるタイプのゲームです。(本作のモデルとなった『オルレアン』は未プレイなので違いはうまく説明できません)
資源チップを袋に入れてラウンドごと/イベントごとに指定の枚数を引き、それらのチップを個人ボードに配置することで様々な効果を発揮していきます。
【素晴らしいと思ったところ】
非対称ボードのリプレイ性
プレイヤーボードを兼ねるパートナーはいずれも資源や行動にボーナスを与えてくれ、ゲーム開始時から最終的な得点行動を示唆してくれます。パートナーは6人&両面仕様となっているので、異なる戦略を毎回試すなどのリプレイ性が非常に高いものとなっています。
共通ボードがもたらす箱庭とインタラクション
開拓者が所狭しと駆け巡る共通ボードは建築予定地となっています。ここに
- プレイヤーが移動するには資源や能力が必要
- 一度施設が建てられると後のプレイヤーは(自分でさえも)上書きできない
- ソロプレイの場合、NPCが通過した場所には建物が配置できない
が加わることによって、町が発展していく様を目の当たりにすることができます。このため、ラウンドが進むごとにより建設予定地の陣取りがヒートアップしていきます。
また、施設を建設することは
- 即時ボーナスを得られる
- 勝利点となる
- 次ラウンドに引けるチップが多くなる
等のメリット満載。なので、資源集めと施設建設を両立させながらのジレンマに常に悩まされることになります。
助っ人カードの汎用性
『繁盛記』でも大いに役立った助っ人カードはここでも健在。資源の供給や追加移動の付与、最終的な得点行動に寄与してくれます。これによって、幅広いプレイ感をプレイヤーにもたらしてくれます。
【やや残念だと思ったところ】
ずれやすいボード
割と薄めのボードは資源/キューブがずれやすいのが難点。
【まとめ】
- システムとフレーバーが一致した没入感
- 複雑なシステムを分かりやすく落とし込んだルールの整備
- ここ数年のトレンドである非対称性&程よいインタラクション
- 雰囲気たっぷりの箱庭感
がキチッとまとまった傑作が、この『ぬくみ温泉開拓記』です。
『ぬくみ温泉繁盛記』に次いで、今後のボードゲームのソロプレイの一つの基準となる作品を生み出していただいたことに驚嘆しました。