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Let’s Encrypt仕様変更によるSSL Staplingの無効化

新たなSSL証明書を導入したサーバにて、以下のエラーを確認。こちらの解決のメモです。

前提

  • Ubuntu 24.04
  • Apache 2.4
  • Let's Encryptによるワイルドカード証明書を発行

エラー内容

サイトのエラーログに以下を発見しました。

[Thu May 22 14:03:51.270340 2025] [ssl:error] [pid 929:tid 929] AH02218: ssl_stapling_init_cert: no OCSP URI in certificate and no SSLStaplingForceURL set [subject: CN=*.ryza.jp / issuer: CN=E6,O=Let's Encrypt,C=US / serial: 058A8F3B6C32F08B41E5E56BEAD92451D34A / notbefore: May 21 12:08:57 2025 GMT / notafter: Aug 19 12:08:56 2025 GMT]
[Thu May 22 14:03:51.270358 2025] [ssl:error] [pid 929:tid 929] AH02604: Unable to configure certificate atelier.ryza.jp:443:0 for stapling 
  • 意味:
  • ApacheがSSL証明書 (CN=*.ryza.jp) のOCSP Staplingを初期化しようとしましたが、証明書内にOCSPレスポンダのURI(OCSP URI)が見つかりませんでした。また、Apacheの設定で SSLStaplingForceURL も指定されていません。
  • OCSP Staplingとは:
  • SSL証明書の失効状態を効率的に確認するための仕組みです。ウェブサーバーが事前にCA(認証局)に問い合わせて証明書の有効性を確認し、その応答(OCSPレスポンス)を証明書と一緒にクライアントに提供することで、クライアント側の確認負荷を軽減し、表示速度を向上させます。

なお、Apacheの.confファイルには以下の項目があります。

SSLUseStapling On
SSLStaplingCache "shmcb:logs/ssl_stapling(32768)"

つまり、ApacheでSSL Stapling設定されているにもかかわらず、OCSPレスポンスが働いていないことを意味します。

状況確認

現行の証明書の状況

openssl x509 -in /path/to/your/certificate.pem -noout -ocsp_uri

結果は何もなし。証明書内にこれがないことで、先のエラーが発生したようです。

過去にLet's Encryptで発行した証明書の状況

2024年9月に発行したLet's Encryptの証明書で

openssl x509 -in /path/to/your/certificate.pem.202409 -noout -ocsp_uri

を実施したところ、http://e6.o.lencr.orgと返ってきました。

導き出される状況

  • 証明書発行時に何らかのエラーが発生して、このURIが欠落した
  • 筆者は他に複数のドメインを利用し、いずれもLet's Encryptで証明書を発行しています。1つだけならいざ知らず、現行全てのドメインでの証明書でこのURLが欠落しているのは一時的なエラーではないと考えました。

そこで、もう一つの可能性として「Let's Encryptの仕様が変わったのでは?」と情報を探していきます。

答えを発見

Removing OCSP URLs from Certificates from Let's Encrypt

Let’s Encrypt will be removing OCSP URLs from certificates on May 7, 2025 as part of our plan to drop OCSP support and instead support certificate revocation information exclusively via CRLs.
Let's Encryptは、2025年5月7日にOCSPのサポートを停止し、代わりにCRLを介してのみ証明書の失効情報をサポートする計画の一環として、証明書からOCSP URLを削除します。

状況そのもののアナウンスを見つけました。この、OCSPのURLが消えた証明書は、いずれも、2025年5月18日以降に発行したものです。完全に時期的に一致。

対処

ここが分かれば、後は設定変更です。Ubuntuサーバで設定を変更します。

  • 設定ファイルバックアップ
sudo cp -pi /etc/apache2/sites-available/virutal.conf /path/to/backup/directory/virutal.conf.$(date +%Y%m%d)

設定ファイルは自分の環境に合わせます。任意のバックアップディレクトリを指定します。

  • ファイルバックアップ確認
diff -u /path/to/backup/directory/virutal.conf.$(date +%Y%m%d) /etc/apache2/sites-available/virutal.conf

差分がなければバックアップ完了です。

  • ファイル編集

任意の方法で(要管理者権限)以下のように編集します。

# 2025年5月のLet's Encryptの方針によりOCSPが廃止されたため
SSLUseStapling Off
#SSLStaplingCache "shmcb:logs/ssl_stapling(32768)"
  • 編集確認
diff -u /path/to/backup/directory/virutal.conf.$(date +%Y%m%d) /etc/apache2/sites-available/virutal.conf
-SSLUseStapling On
-SSLStaplingCache "shmcb:logs/ssl_stapling(32768)"
+# 2025年5月のLet's Encryptの方針によりOCSPが廃止されたため
+SSLUseStapling Off
+#SSLStaplingCache "shmcb:logs/ssl_stapling(32768)"
  • 整合性確認
sudo apache2ctl configtest

Syntax OKを確認します。

  • Apache再起動前確認
systemctl status apache2.service

active(running)を確認します。

  • Apache再起動
sudo systemctl restart apache2.service

※reloadより確実なrestartを採用しています

  • Apache再起動後確認
systemctl status apache2.service

active(running)を確認します。

修正確認

設定を反映させたサイトを適当に閲覧し、エラーログにて、冒頭のエラーがないことを確認しました。

サイトのSSL強化。(HSTSプリロード)

概要

サイトのセキュリティを高めるため、HSTSプリロードを設定したときのメモとなります。

環境

  • OS: Ubuntu 20.04
  • Apache 2.4系
  • Let's Encryptで取得した証明書を利用

前提条件

  1. インターネット上に公開されたサイトであること。(非ローカル環境)
  2. 公開するWebサイトドメイン全てに適切な証明書が設定されていること。
  3. Webサーバの設定で、httpアクセス全てをhttpsに変換する設定になっていること。
  4. 必要なモジュール(header、SSL等)がインストールされていること。

ここでは、hoge.example.com というサイトに対してHSTSプリロードを設定します。

注意点

  • サブドメイン全てに対して適用されます。(hoge.example.comの場合はwww.example.comはもちろん、example.comも対象となることを注意してください)
  • https化されていないサイトに対してもhttps接続を強制します。つまり、他にhttps化されていないシステムに対してもです。
  • プリロードリストに登録された場合、解除はとても難しくなります。相応の運用が試されることに注意してください。

さっくりとした手順

  1. HSTSを有効にします。
  2. httpdサービスを再起動します。
  3. HSTSサイトにドメインを登録します。

実施手順

apacheのバーチャルサイトファイルを修正します。

  • 修正後のファイル

※ドメインやDocumentRoot等は書き換えてください。また、サブドメインごとに複数のサイトがある場合、その全てを修正します。

<VirtualHost _default_:80>
servername hoge.example.com
 RewriteEngine On
        RewriteCond %{HTTPS} off
        RewriteRule ^(.*)$ https://%{HTTP_HOST}%{REQUEST_URI} [R=301,L]
</VirtualHost>
<VirtualHost _default_:443>
    servername hoge.example.com
    ErrorLog /var/log/apache/error.log
    CustomLog /var/log/apache/access.log combined

DocumentRoot /var/www/html/hoge

    <Directory /var/www/html/hoge>
        Options -MultiViews
        AllowOverride All
        Require all granted
    </Directory>

  SSLEngine on
    Protocols h2 http/1.1
    Header set Strict-Transport-Security "max-age=31536000; includeSubDomains; preload"

SSLCertificateFile /etc/certs/hoge.example.com.crt
SSLCertificateKeyFile /etc/private/hoge.example.com.key

</VirtualHost>

SSLProtocol             all -SSLv3 -TLSv1 -TLSv1.1 -TLSv1.2
SSLCipherSuite          ECDHE-ECDSA-AES128-GCM-SHA256:ECDHE-RSA-AES128-GCM-SHA256:ECDHE-ECDSA-AES256-GCM-SHA384:ECDHE-RSA-AES256-GCM-SHA384:ECDHE-ECDSA-CHACHA20-POLY1305:ECDHE-RSA-CHACHA20-POLY1305:DHE-RSA-AES128-GCM-SHA256:DHE-RSA-AES256-GCM-SHA384
SSLHonorCipherOrder     off
SSLSessionTickets       off
  • 主な差分
-    Header always set Strict-Transport-Security "max-age=63072000"
+    Header set Strict-Transport-Security "max-age=31536000; includeSubDomains; preload"

-SSLProtocol             all -SSLv3 -TLSv1 -TLSv1.1
+SSLProtocol             all -SSLv3 -TLSv1 -TLSv1.1 -TLSv1.2
  • HSTSのプリロードを有効化しています。
  • ついでに弱いSSL(TLSv1.2)を無効化します。

apacheサービスを再起動します。

sudo apache2ctl configtest
# Syntax OKを確認します
sudo systemctl restart apache2.service

systemctl satus apache2.service
# active(running)を確認します。

HSTSプリロードサイトへの登録

  1. https://hstspreload.org/ にアクセスします。
  2. 上記で設定したドメイン名を入力して登録を進めていきます。(サブドメインは含みません)
  3. エラーがなければStatus: laplacemine.com is pending submission to the preload list.と表示されます。
  4. 2~3週間ほど待って正式に登録されるのを待ちます。

設定確認

  1. https://www.ssllabs.com/ssltest にアクセスします。
  2. HSTSを設定したサイトのドメイン名を入力して診断します。
  3. Strict Transport Security (HSTS) が「YEえs」となっていれば成功です。

Let’s Encryptの証明書整合でハマったこと。(ECDSA方式での整合性確認)

概要

更新サイクルが3ヶ月と短いものの、無料で利用できるということで愛用しているLet's Encrypt。
デフォルトの暗号化形式がRSAからECDSA方式に変わったようで確認方法でハマりました。

なんとか解決したのでメモを残します。

従来の確認方法

RSA方式での証明書は、以下の

openssl x509 -in /etc/certs/hoge.example.com.crt -noout -modulus | md5sum
# SSL証明書ファイル

openssl rsa -in /etc/private/hoge.example.com.key -noout -modulus | md5sum
# 秘密鍵ファイル

を実行し、それぞれのハッシュ値が合致していることで証明書と秘密鍵の整合性の確認を取ることができています。

ECDSA方式に変わったことでの問題

2023年4月時点で、Let's Encryptのデフォルト暗号化形式がRSA→ECDSA方式に変わっていました。

openssl rsa -in /etc/private/hoge.example.com.key -noout -modulus | md5sum
# 秘密鍵ファイル

を実行すると

139945929635648:error:0607907F:digital envelope routines:EVP_PKEY_get0_RSA:expecting an rsa key:crypto/evp/p_lib.c:469:

といったエラーが出ます。

これでは証明書と秘密鍵の整合性が確認できません。

しばらくGoogleと格闘し、なんとか解決策を見つけました。

https://security.stackexchange.com/questions/73127/how-can-you-check-if-a-private-key-and-certificate-match-in-openssl-with-ecdsa

ECDSA方式でも証明書と秘密鍵の整合性が確認できるコマンド

まず、鍵がECDSA方式であることを確認。

  • 確認コマンド
openssl ec -in /etc/private/hoge.example.com.key -text -noout
# 秘密鍵のパスを指定します
  • 確認結果
(略)
ASN1 OID: prime256v1
NIST CURVE: P-256
# 上記が表示されればECDSA方式であると確認できます。

次に、以下のようにして公開鍵を抽出してハッシュ値を割り出します。

openssl x509 -pubkey -in /etc/certs/hoge.example.com.crt -noout | openssl md5
(stdin)= ハッシュ値
# SSL証明書ファイル

openssl pkey -pubout -in /etc/private/hoge.example.com.key | openssl md5
(stdin)= ハッシュ値
# 秘密鍵ファイル

### 2つのハッシュ値が合っていれば証明書と秘密鍵の整合性は取れています

以上、ECDSA方式でも整合性を確認することができました。

余談

この、「鍵を用いて鍵を取り出す」って、『ライザのアトリエ3』で無垢の鍵から秘密の鍵を抽出しているようだなと益体もないことが脳裏をよぎりました。

homebrewを用いないUbuntuへのmkcertのインストール。

前回、homebrewによるローカル証明書(mkcert)を見つけましたが、それよりも楽な方法がありましたので、メモとして残します。

actix-webでSSL/TLS通信をしてみたよ

https://qiita.com/yoshiyasu1111/items/f22a5fb640651fd22b6c

環境はUbuntu20.04です。

必要パッケージをインストール

apt install libnss3-tools

インストール

curl -s https://api.github.com/repos/FiloSottile/mkcert/releases/latest | grep browser_download_url | grep linux-amd64 | cut -d '"' -f 4 | wget -qi - \
    && mv mkcert-v*-linux-amd64 mkcert \
    && chmod a+x mkcert \
    && mv mkcert /usr/local/bin/

ローカル認証局作成

 mkcert -install

これにより、管理者ユーザでもmkcertコマンドを使えるようになったのが大きいです。

ローカルredmineのSSL化。-ローカル証明書のインストールと常時SSL化-

この記事の続きです。

ここでは、mkcertで作成したローカル証明書をredmineサーバに入れておきます。

また、

  • httpを強制的にhttpsにリダイレクト
  • http://ip or DNS名 のアクセスをhttps://ip or DNS名/redmineへとリダイレクトする

設定も同時に入れ込みます。

redmineサーバ上での設定

必要なモジュールの有効化

a2enmod ssl
a2enmod rewrite
systemctl restart apache2
ss -lntp
# 443ポートがLISTENされていることを確認します

証明書ペアの格納

mkdir /etc/certs/
mkdir /etc/private/

その後、

/etc/certs → SSL証明書

  • corn.wall.crt.202204

/etc/private/ → 秘密鍵

  • corn.wall.key.202204

をそれぞれ格納します。

証明書ペアのシンボリックリンク化

後々のメンテナンスを考えて、証明書をシンボリックリンク化します。

cd /etc/certs/
ln -s corn.wall.crt.202204  corn.wall.crt
cd /etc/private/
ln -s corn.wall.key.202204 corn.wall.key

Virtualファイル記載

cd /etc/apahce2/site-available/
cp -pi redmine.conf /path/to/backup/redmine.conf.org
vi redmine.conf
redmine.confの内容
<VirtualHost _default_:80>
 RewriteEngine On
        RewriteCond %{HTTPS} off
        RewriteRule ^(.*)$ https://%{HTTP_HOST}%{REQUEST_URI} [R=301,L]
        #http通信を強制的にhttpsにリダイレクト
</VirtualHost>

<VirtualHost _default_:443>
  SSLEngine on
    SSLProtocol All -SSLv2 -SSLv3  -TLSv1
    SSLCertificateFile /etc/certs/corn.wall.crt
    # 証明書
    SSLCertificateKeyFile /etc/private/corn.wall.key
    # 秘密鍵

        RewriteEngine On
        RewriteCond %{HTTP_HOST} ^penzance\.corn\.wall
        RewriteRule ^/$ https://penzance.corn.wall/redmine/ [R]
        # https://penzance.corn.wallへのアクセスをhttps://penzance.corn.wall/redmine/にリダイレクト

Alias /redmine /var/lib/redmine/public
CustomLog /var/log/redmine/access.log combined
ErrorLog /var/log/redmine/error.log
<Location /redmine>
PassengerBaseURI /redmine
PassengerAppRoot /var/lib/redmine
Require all granted
</Location>

</VirtualHost>

設定反映

apache2ctl configtest
# SyntaxOKを確認
systemctl restart apache2

再起動後、

  • redmineの通信がhttpsで行えること
  • ホスト名でアクセスしても/redmine/に移動すること

を確認しました。

補足とまとめ

  • セキュリティソフトによっては、このローカル認証局を「信頼できない」としてブロックする場合があります。その時はその設定を解除します。
  • また、mkcertsは開発用途なので外に出ていけないローカル環境での運用が前提です。
  • そのためか証明書の有効期限は3ヶ月。この運用をもっと楽にするのが今後の目標です

ローカルredmineのSSL化。-mkcertのインストール-

また、やりたいことに一歩近づきました。

  • 外に出ていけないローカルドメインでもSSL通信はしたい
  • 自己証明書と違った形でSSLを発行したい

という希望を求めていたら、「mkcert」なるものを発見したので、導入してみました。

redmineのSSL化

homebrewのインストール(検証機で実施する)

参考:
https://tdomy.com/2021/12/how-to-install-homebrew-on-ubuntu/

必要パッケージ取得

rootでは実行しないこと

sudo aptitude install libnss3-tools git curl

homebrewインストール

/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
test -d ~/.linuxbrew && eval "$(~/.linuxbrew/bin/brew shellenv)"
test -d /home/linuxbrew/.linuxbrew && eval "$(/home/linuxbrew/.linuxbrew/bin/brew shellenv)"
test -r ~/.bash_profile && echo "eval \"\$($(brew --prefix)/bin/brew shellenv)\"" >>~/.bash_profile
echo "eval \"\$($(brew --prefix)/bin/brew shellenv)\"" >>~/.profile
brew --version
brew install hello
hello
brew uninstall hello

mkcertインストール

https://www.hivelocity.co.jp/blog/46149/

brew install mkcert
mkcert -install
mkcert -CAROOT
# ~/.local/share/mkcert配下にルート証明書とルート秘密鍵を確認
cd ~/.local/share/mkcert

mkcertで証明書発行

ここでは、自宅redmineに用いている

penzance.corn.wall

の証明書を発行します。

mkcert -key-file corn.wall.key.202204 -cert-file corn.wall.crt.202204 corn.wall penzance.corn.wall "*.corn.wall" 
openssl x509 -text -noout -in ./corn.wall.crt.202204 |grep DNS
# DNS:corn.wall, DNS:penzance.corn.wall, DNS:*.corn.wall と、入力したDNS名があることを確認します

次のエントリーでは、redmineにSSLを入れ込んでいきます。

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