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ボードゲーム『アイドルアライブ』「かのんワンショット」デッキ解説&対戦レポート

はじめに

ボードゲーム『アイドルアライブ』の第一弾拡張『Stellar Beats』環境において、最速・最強との呼び声が高い「かのんワンショット」デッキを試す機会がありましたので、ご紹介します。

今回は、オンラインで見かけたデッキレシピを元に構築しました。(というよりも完コピです)

デッキ構成

アイドル

  • センター: 天羽 かのん (橙)
    • 初期Vol: 20%
    • 初期手札: 4枚
    • スキル: あなたのメインフェーズ開始時、あなたは声援チップを1つ得る。
  • 小鳥遊 司 (ライム)
  • 愛澤 日和 (赤)

楽曲デッキ

■1人曲

  • 3『\カワイイ💗/の対価を要求しますっ!』 (かのん)
  • 3『Magic Time!』 (日和)
  • 3『僕は僕を誤解している』 (司)

■2人曲

  • 1『Travel Music ..zzZ』 (かのん)
  • 2『Goストレート!!』 (日和)
  • 3『Break Your Wolrd』 (司)

■3人曲

  • 3『QUEST DIVER』 (司)

■イベント

  • 『機転』(ノーコスト)
  • 『ココロ高鳴るステージ』(3かのん: 3任意)
  • 『テッペン目指して』(2司: 3任意)

デッキのコンセプトと強み

このデッキは、イベントカード 『ココロ高鳴るステージ』 と声援チップ6枚消費の 「アンコール」 を組み合わせることで、1ターンに20点以上のファンを一気に獲得し勝利することを目指す、いわゆる「ワンショットキル」デッキです。

最大の特徴は 「コンボ完成の速さと再現性の高さ」 で、理想的な状況では5ターン目にも決着がついてしまいます。

コンボの核となるのが、司の楽曲で得られるサポートカード 『エナドリ』 です。

『エナドリ』の効果:
次にあなたが使用するイベントカードのメモリー使用枚数は“あなたが選んだ任意の種類のメモリー”1枚分だけ少なくなる。

この「“あなたが選んだ任意の種類のメモリー”1枚分だけ少なくなる」というテキストがコンボの肝です。これは、コストとして指定されている 特定の色(今回の場合は橙)のメモリーを対象に選んで軽減できる ことを意味します。

『ココロ高鳴るステージ』の本来のコストは「 橙のメモリー3枚 」と「 任意のメモリー3枚 」の合計6枚です。しかし、『エナドリ』を3枚使い、軽減対象として3回とも「橙」を指定することで、 「橙のメモリー3枚」のコスト支払いが免除 されます。

結果として、コンボの要求値が劇的に下がっています。

基本的なデッキの動かし方

序盤〜中盤

コンボ始動に向けて、以下の準備を進めます。

  • 司の楽曲をプレイ : ボルテージを上げつつ、コンボのキーパーツである『エナドリ』を3枚集めます。
  • 声援チップ獲得を優先 : かのんのセンタースキルとファンサで声援チップを6枚(アンコール用)集めることを目標にします。
  • 観客の獲得 : 観客デッキの前列に『応援隊長』が見えたら優先的に獲得しましょう。
  • 手札の管理 : 声援チップの上限が近づいてきたら、効果でカードを引き、手札を充実させます。

コンボ始動

以下の条件が整ったら、コンボをスタートします。

  • ボルテージ: 80%~90%程度
  • リソース: 声援チップ6~7枚、『エナドリ』3枚以上
  • 手札: 1人曲が各色1枚以上(2色が2枚あると理想的)を含む、5~6枚程度の楽曲カード

【コンボ手順】

  1. 『エナドリ』を3枚消費。コスト軽減の対象をすべて「橙」に指定します。
  2. 好きな色のメモリー3枚を支払い、イベント 『ココロ高鳴るステージ』 を発動。
  3. 効果に従い、各アイドルの楽曲を合計3回プレイし、観客を6枚獲得します。
  4. 声援チップを6枚支払い 「アンコール」 を宣言。アイドル全員がバックステージに戻り、再度楽曲カードが使用可能になります。
  5. ここで獲得したファンを配置しつつ、日和の「FAN効果」(ボルテージ10%消費で獲得数+1)などを使い、点数を伸ばします。かのんのFAN効果は、やっかいなファンを同時に獲得した場合のデメリットを打ち消すために有効です。
  6. コアファンが十分に獲得できていれば、この時点で20点に到達します。もし届かなくても、司のイベント 『テッペン目指して』 でさらにファンチップ(勝利点)を増やして20点を目指せます。

対戦レポートと考察

対戦の様子

対戦相手は、四宮樹理をセンターに据えたビートダウン系のコントロールデッキ。イベントで捨て札の楽曲を再利用しつつ、『メタルファン』による妨害でこちらのペースを乱す戦略でした。

こちらは理想的な動きとはいきませんでしたが、6ターン目にコンボを始動。相手の『メタルファン』による妨害を受けながらも、1ターンで合計18点のファンを獲得しました。

相手もコアファンのまとめ取りや『ライブビューイング』による継続得点などで猛追し、最終得点は18点。しかし、こちらの点数には一歩及ばず、次のターンで残りの点数を獲得し、勝利を収めました。

このデッキの強みと弱点

実際に使用して感じたのは、以下の点です。

  • ■ 強み1:コンボに必要なボルテージの低さ
    • 3人曲はボルテージ上昇と『エナドリ』獲得を兼ねる3枚のみ。そのため、コンボ始動時の要求ボルテージが80%~90%程度で済み、準備期間が非常に短いのが強力です。
  • ■ 強み2:妨害をものともしない一撃の重さ
    • 瑛里のスナイプや涼子のファン送り、イベント『会場トラブル』といった一般的な妨害をある程度無視できます。一撃で勝負を決めるため、相手にターンを渡したとしても、逆転が非常に難しい状況を作り出せます。(ただし、ミラーマッチは別です)
  • ■ 見える弱点
    • もちろん、これだけ強力なデッキにも弱点はあります。再現性が高いとはいえ、手札事故などで必要なカードが揃わない「下振れ」は起こり得ます。今回の対戦でも、理想ムーブではなかったために相手に猛追される展開となりました。

まとめ

「かのんワンショット」は、

  • 「速さ」
  • 「妨害耐性」
  • 「再現性」

を兼ね備え、文字通り「無から20点を生み出す」ような、圧倒的な爆発力を持つコンボデッキでした。

その強さから、今後は何らかのルール調整が入る可能性も否定できません。(例えば、『エナドリ』の効果が「イベント1枚につき1回まで」と裁定されるだけでも、大きく環境は変わるでしょう)

現状の『Stellar Beats』環境を定義する、非常に強力なデッキタイプであることは間違いないでしょう。

ボードゲーム『アイドルアライブ』独立拡張『Vsinger』感想。

2025年上半期で遊んだボードゲームでも特に面白かった『アイドルアライブ』が、中国ボーカロイドVsingerとコラボレーション。

基本的なルールやゲームの流れはそのままに、単体でも本家との対決でも楽しめる作品として登場しました。

本レビューは、独立拡張のため、基本セットをある程度知っている方向けの記事になること、最初にお詫び申し上げます。

ゲームの概要

基本セット『アイドルアライブ』が持つ

  • プレイヤーはプロデューサーとなり
  • 3人組のアイドルユニットを編成し
  • 楽曲で場のボルテージを高め
  • ファンを獲得し
  • イベントなどを活用してライブを成功に導く

特徴はそのまま、「独立拡張」としてリリースされました。

後述する“ある一点”を除いては、入門者にも経験者にも楽しめる作品となっています。

基本セットとの共通点

以下の特徴はそのままです。(詳しくは拙稿をご確認ください)

  • TCGに慣れていない人でも直感的に理解しやすい楽曲カードの視認性
  • アイドル達による多様な戦略
  • 分かりやすい位相管理とターン進行
  • ファンを中心としたインタラクション(とデメリット持ちファンを巡る駆け引き)

これらの基本セットのルールや楽しさはそのままとなっています。

本作ならではの素晴らしい点

男性歌手によるキャラクターの幅の広さ

これが大きな特徴と言えるでしょう。戦略面のみならず、世界観の広がりという大きな魅力を与えてくれました。

「女性アイドル達のステージ」という基本セットのイメージに対し、『アイドルアライブ Vsinger』は「男女混合ユニットも可能な、より多様なパフォーマンス」を描いています。

女性アイドルも、より大人びたキャラクターという明確な差別化がある印象です。

各種カードの調整による収束性の向上

  • センタースキルによる妨害要素
  • 取り回しやすく、得点効率も高めやすいイベント

の2つが特に印象的であり、複数取るとデメリットとなってしまう「やっかいなファン」のやっかいさを抑えることと、終盤の緊張感に貢献しています。

カジュアル構築でも楽しめるカード群

基本セットのカジュアル構築(1つのセットを2人でシェア)で時折見られた、特定の組み合わせによる一方的なゲーム展開が起こりにくく、どのアイドルを選んでも接戦を楽しめるようになっている点も好感が持てます。

これもまた、本作のとっかかりを楽しみたい初心者向けの内容として機能していました。

拡張でありがら基本セットと混ぜられない制約

公式で

『アイドルアライブ』と混ぜてデッキを構築することは非推奨です。『アイドルアライブVsinger』の収録カードのみでデッキを構築してください。

と言われる理由が、本作を開封して納得。

「同一効果を持つカード」が非常に多いのです。(MtGプレイヤー向けの説明をすると《ラノワールのエルフ》と《エルフの神秘家》のような関係です)

そのため、混ぜてデッキを構築すると

  • カードドローに長けたデッキ
  • 妨害一筋のデッキ

を特化させてしまう事態が発生。とはいえ、基本セットとVsingerの対戦は、「特徴が似通っていながら軸をずらす」という対戦を楽しむことできます。

本作の問題点

アイドルたちの後ろ姿

個人的に残念と思う点がこちらです。「アイドル駒の後ろ姿が描かれていない」です。

プレイヤーはプロデューサーとして、ゲーム中、常にアイドルの「背中」を見つめながら采配を振るうことになります。その肝心の背中がただのイメージカラーのシルエットのみとなっています。

これは没入感という点で致命的といってよく、基本セット並びに拡張『Stellar Beats』で積み上げてきたゲーム体験の全てが「九仞の功を一簣に虧く」かのごとく、この一点によって色あせて感じられてしまいます

ライブの臨場感・ゲームの没入感という確かな手応えが、この、「アイドル達の背中を見つめる」ことだという点だと気づかされた皮肉な状況です。

まとめ

『アイドルアライブ Vsinger』は、基本セットを下敷きにした分かりやすいルールとファンを軸にしたインタラクションを基礎に置きながらも

  • Vsingerの特徴に合わせたスキルやイベント
  • カジュアルでもエキスパートでも楽しめる

作品です。それだけに、「ただ空白を見るかのごとし後ろ姿」が気になる作品でした。

これを気にしないという方は

  • コラボ先に興味がある
  • 基本セットとは違ったゲーム体験をしたい
  • 1セットでも本シリーズを楽しみたい
  • 2~30分で楽しめ、感想戦も盛り上がる2人用のボードゲーム

という点でオススメできる作品です。

ボードゲーム『アイドルアライブ拡張 Stellar Beats』センター能力・楽曲カード一覧(小鳥遊司)

ボードゲーム『アイドルアライブ』拡張『Stellar Beats』のキャラクター/楽曲/寸評などを紹介していきます。

センター能力データ

  • 名前
    • 小鳥遊司(たかなし つかさ)
  • イメージカラー:
    • ライム
  • センタースキル
    • リチャージ
      • あなたがイベントカードを使用したとき、あなたのアイドル1人をバックステージに戻してもよい(この効果はイベントカードより先に処理する)。この効果はターン中に1回まで使用できる
  • 初期Vol
    • 30%
  • 初期手札
    • 4枚

楽曲データ

1人曲『僕は僕を誤解している』

  • Vol+
    • 10%
    • Vol効果
      • 「エナドリ」を1つ得る。
  • FAN
    • 必要Vol: 60%以上
    • 獲得: 1人
    • FAN効果
      • なし

アイテム「エナドリ」について

  • 次にあなたが使用するイベントカードのメモリー使用枚数は“あなたが選んだ任意の種類のメモリー”1枚分だけ少なくなる。
    • 声援効果のコール&レスポンスと異なり、誰のメモリーでも軽減できるのが特徴です。

2人曲『Break Your Wolrd』

  • Vol+
    • 20%
    • Vol効果
      • 「エナドリ」を1つ得る。
  • FAN
    • 必要Vol: 80%以上
    • 獲得: 2人
    • FAN効果
      • なし

3人曲『QUEST DIVER』

  • Vol+
    • 30%
    • Vol効果
      • 「エナドリ」を1つ得る。
  • FAN
    • 必要Vol: 100%以上
    • 獲得: 3人
    • FAN効果
      • 「エナドリ」を1つ得る。

寸評

イベント特化型のアイドル。「私のシンデレラストーリー」がイベント使用時についてくるという大盤振る舞いです。『紫音~SHION~』で引いたカードをそのまま使うことすら可能。
また、エナドリによってイベントの高速回転も使えます。

ボードゲーム『アイドルアライブ拡張 Stellar Beats』センター能力・楽曲カード一覧(四宮樹理)

ボードゲーム『アイドルアライブ』拡張『Stellar Beats』のキャラクター/楽曲/寸評などを紹介していきます。

センター能力データ

  • 名前
    • 四宮樹理(しのみや じゅり)
  • イメージカラー:
  • センタースキル
    • リフレイン
      • あなたのメインフェーズ開始時、あなたの捨て札を1枚選んで手札に加えてもよい。
  • 初期Vol
    • 30%
  • 初期手札
    • 5枚

楽曲データ

1人曲『描きかけの夢』

  • Vol+
    • 10%
    • Vol効果
      • なし
  • FAN
    • 必要Vol: 60%以上
    • 獲得: 1人
    • FAN効果
      • 「メタルファン」1枚を観客デッキの一番上に置いてもよい。

【メタルファンについて】

  • 基本は0点のファンカード。
  • アイドルユニットに「四宮樹理」を含むプレイヤーのファンエリアにあるなら、このカードの得点は「1」になる。
  • 観客デッキには置かれない。(インフルエンサーと同じ扱い)
  • 相手にも樹理がいた場合でも、メタルファンの枚数は6枚固定。

2人曲『禁断クエイズム』

  • Vol+
    • 20%
    • Vol効果
      • なし
  • FAN
    • 必要Vol: 80%以上
    • 獲得: 2人
    • FAN効果
      • 「メタルファン」1枚を観客デッキの一番上に置いてもよい。

3人曲『Re:RAISE IN FLAMES』

  • Vol+
    • 30%
    • Vol効果
      • 「メタルファン」1枚を観客デッキの一番上に置いてもよい。
  • FAN
    • 必要Vol: 100%以上
    • 獲得: 3人
    • FAN効果
      • あなたのファンエリアに「メタルファン」が2枚以上あるなら、このカードのファン獲得枚数を+1する。

寸評

攻防一体となる「メタルファン」により、攻防一体のライブをパフォーマンスできます。やっかいファンと同時にとっても邪魔されないというのも大きな特徴です。

また、センター能力は有り体に言えば「イベントで捨て札にしたカードの再利用」。ボルテージ上げに利用した3人曲や涼子の“バウンス”効果を持つ曲の再利用など使い勝手は高いです。

ボードゲーム『アイドルアライブ拡張 Stellar Beats』センター能力・楽曲カード一覧(天羽かのん)

ボードゲーム『アイドルアライブ』拡張『Stellar Beats』のキャラクター/楽曲/寸評などを紹介していきます。

センター能力データ

  • 名前
    • 天羽かのん(あまう かのん)
  • イメージカラー:
  • センタースキル
    • かのんビーム!
      • あなたのメインフェーズ開始時、あなたは声援チップを1つ得る。
  • 初期Vol
    • 20%
  • 初期手札
    • 4枚

楽曲データ

1人曲『\カワイイ💗/の対価を要求しますっ!』

  • Vol+
    • 10%
    • Vol効果
      • なし
  • FAN
    • 必要Vol: 60%以上
    • 獲得: 1人
    • FAN効果
      • あなたのファンエリアにファンカードが3枚以上あるなら、観客席のカードを最大1枚まで選ぶ。そのカードは、ターン終了時まで効果を失う。

2人曲『Travel Music ..zzZ』

  • Vol+
    • 20%
    • Vol効果
      • なし
  • FAN
    • 必要Vol: 80%以上
    • 獲得: 2人
    • FAN効果
      • あなたのファンエリアにファンカードが3枚以上あるなら、観客席のカードを最大1枚まで選ぶ。そのカードは、ターン終了時まで効果を失う。

3人曲『かのん☆しょーたいむ!』

  • Vol+
    • 30%
    • Vol効果
      • なし
  • FAN
    • 必要Vol: 100%以上
    • 獲得: 3人
    • FAN効果
      • 観客席のカードを最大3枚まで選ぶ。それらのカードは、ターン終了時まで効果を失う。
        • 日和のセンター効果などで更に追加でめくる場合、楽曲デッキにいるファン効果は通常通り適用されることに注意してください。

寸評

初期手札もVolも最低クラス。ですが、「やっかいファンを気にせず取りに行ける」最大のストロングポイントがあります。また、ファンサをせずとも声援チップを1つ獲得できるのも有用。
日和/紗季と組み合わせてもよし。初期ボルテージを他のセンターに任せて「センタースイッチ」で変わるのもありです。

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