2026年3月31日に発覚したaxiosのサプライチェーン攻撃。
内容を聞くだけでゾッとする話だったので、調べつつ筆者がインターネット上に設置しているgrowiサーバでの影響を調べました。
筆者環境
- Growi v7.4.7
- npm 11.4.0
- Apache 2.4によるリバースプロキシー
- Ubuntu 24.04
自環境の白黒確認
まずは、動いている環境のaxiosバージョンを特定することが最優先。筆者はこのライブラリを恥ずかしながら聞くまで知らなかったのですが 、JavaScriptのデファクトスタンダード的なHTTPクライアントライブラリ と聞いたので「絶対に入っているだろう」の断定で動きました。
調査コマンド
cd /path/to/growi
自分の環境に合わせます(筆者環境/home/www-data/growi)
npm ls axios
または
cat pnpm-lock.yaml |grep axios
axios@1.11.0
axios@0.26.1
axios@0.21.4
判定:安全
影響を受けるバージョンは
- axios@1.14.1
- axios@0.30.4
そのため、攻撃対象となったaxiosを利用していない(つまり、攻撃コードは混入していない)ものとなっています。
念のための確認
ほぼないとは思いますが「npm updateを実行してしまったかも」の場合は、今回のケースで攻撃者が埋め込んだマルウェアが生成するディレクトリの有無を調べます。
find node_modules -name "plain-crypto-js"
結果、何もなければ物理的にもクリーンです。
また、筆者は該当vpsでBookStackやsnipe-itなどのLaravelライブラリを動かしていますが
cd /path/to/BookStack && pwd
npm ls axios
BookStack@ /home/www-data/BookStack
└── (empty)
と、いずれも(PHPメインであるためか)動いていない状態が分かりました。
サプライチェーン攻撃の危険さ
開発者が信頼している公式ツールをそのまま使っただけで感染する状態であった点にあります。供給者のツールに攻撃ツールを仕込んでいたということで「サプライチェーン攻撃」だそうで。(発覚後、npm が悪性 axios バージョンを削除)
シーケンス
これをmermaid.jsにまとめたのがこちら。
sequenceDiagram
participant Dev as 開発者 / サーバー
participant NPM as npm レジストリ
participant Mal as 悪意のあるパッケージ<br/>(plain-crypto-js)
participant C2 as 攻撃者サーバー<br/>(C2サーバー)
Note over Dev, NPM: 1. 汚染された axios@1.14.1 を要求
Dev->>NPM: npm install (axios要求)
NPM-->>Dev: axios と依存の plain-crypto-js を配信
Note over Dev: 2. インストール直後にフックが発動
Dev->>Dev: postinstall: node setup.js を自動実行
Note over Dev, C2: 3. OSを判別し、マルウェアを落とし込む
Dev->>C2: 難読化解除 + OS情報送信 + 通信開始
C2-->>Dev: 各OS用ペイロード (Mac/Win/Linux) を送信
rect rgb(240, 240, 240)
Note right of Dev: Linuxの場合: /tmp/ld.py を実行<br/>Windowsの場合: 隠しPowerShellを実行
end
Note over Dev: 4. 証拠隠滅 (セルフデストラクト)
Dev->>Dev: setup.js を削除
Dev->>Dev: package.json をクリーンな状態に書き換え
Note over Dev: node_modules 内は<br/>一見シロに見える
恐ろしさのポイント
- 自動実行: npm install した瞬間に、何も操作せずともウイルス(RAT)が仕込まれます。
- OS別の狙撃: Linux、Windows、macOSそれぞれに最適な攻撃コードが送り込まれます。
- 証拠隠滅: 実行後に自分自身の痕跡(setup.js)を消去し、package.json を書き換えて「何事もなかったかのように」振る舞います。
今後の対策と教訓
たまたまGrowiのアップデートタイミングとずれていた、そして、 pnpm-lock.yamlがあるおかげで、意図しない汚染版の混入を防ぐことができました。
なお、今回のケースで「黒」だった場合は、該当axiosの除去に留まりません。
VPS乗の全ての認証情報
などが漏洩されたものとして作り直す必要があります。
以上、4月1日に公開すべき内容ではないものでした。