事象の内容

  • Growiのバージョンをv6.3.5→v7.0.11にアップグレード後、既存のページを編集しようとすると編集エリアが空白になってしまう。
  • 新規ページを作成する際に、テンプレートが適用されない。

先のエントリーで述べたようにWikiとしては致命的な弱点だったため、やむなくv6.3.5に戻したという経緯があります。

ですが、回避策が見つかりましたのでメモとして残します。

事象が発生した環境

  • Ubuntu 22.04
  • Apache 2.4
  • Growi v7.0.11をDockerではなくオンプレ環境で利用。
  • Apacheによるリバースプロキシを設定

同一事象をネットで確認。

How to reproduce? (再現手順)

2台のHostPCでそれぞれGrowiを立ち上げています。A環境・B環境と呼称します。

「データ移行」機能を用いて、A環境からB環境にデータをインポートする
B環境のGrowiに他のPCからアクセスする
記事の編集画面を表示する

What happens? (症状)

記事の編集画面が白紙になっており、そのまま保存しても記事の内容が失われる(添付画面参照)

と、事象が一致。

事象の原因

上記issueのツリーに

私の環境でも編集画面が空白になる現象が観測されました。

私は https-portal を使ってデプロイしているのですが、 growi-docker-compose/examples/https-portal にある WEBSOCKET: 'true' の環境変数を設定し損ねていたのが原因でした。
私の環境では、これを設定すると通常通り編集を行えることを確認しております。逆に、コメントアウトすると空白に戻ります。

とあります。

これを原因と断定し、対処に臨みます。

対応方法のさっくりとした手順

  1. 現状のgrowiのリバースプロキシの設定を確認。
  2. 設定ファイルのバックアップ。
  3. 設定ファイルを修正。
  4. 修正を反映。
  5. 事象の解決確認。

参考にしたURL

How to Reverse Proxy Websockets with Apache 2.4

現段階でのリバースプロキシの設定を確認します。

  • Apacheのバーチャルファイルを確認
cat /etc/apache2/sites-available/growi.conf

自分の環境に合わせます。

  • 内容の一部抜粋
    # socket.io の path を rewrite する
    RewriteEngine On
    RewriteCond %{REQUEST_URI}  ^/socket.io            [NC]
    RewriteCond %{QUERY_STRING} transport=websocket    [NC]
    RewriteRule /(.*) ws://localhost:3000/ [P,L]

    ProxyPass / http://localhost:3000/
    ProxyPassReverse / http://localhost:3000/

設定そのものはgithubのgrowi公式ドキュメントに沿ったものでしたが、これが引っかかっていたようです。

設定ファイルのバックアップを取ります。

  • バックアップ
sudo cp -pi /etc/apache2/sites-available/growi.conf /path/to/backup/directory/growi.conf.$(date +%Y%m%d)

ファイル名は自分の環境に合わせます。適宜、任意のバックアップディレクトリを指定します。

  • バックアップ確認
diff -u /path/to/backup/directory/growi.conf.$(date +%Y%m%d) /etc/apache2/sites-available/growi.conf

差分が無いこと(エラーがないこと)でバックアップを確認します。

ファイルを修正します。

上記、バックアップを取ったファイルを教義・信仰に沿ったエディタで編集します。(要管理者権限)

  • 削除する内容
    # socket.io の path を rewrite する
    RewriteEngine On
    RewriteCond %{REQUEST_URI}  ^/socket.io            [NC]
    RewriteCond %{QUERY_STRING} transport=websocket    [NC]
    RewriteRule /(.*) ws://localhost:3000/ [P,L]
  • 削除した箇所に追記する内容
     # WebSocketのための設定
     RewriteEngine On
     RewriteCond %{HTTP:Upgrade} =websocket [NC]
     RewriteCond %{HTTP:Connection} upgrade [NC]
     RewriteRule /(.*) ws://localhost:3000/$1 [P,L]

編集後、差分を取ります。

  • 差分確認
diff -u /path/to/backup/directory/growi.conf.$(date +%Y%m%d) /etc/apache2/sites-available/growi.conf
  • 差分結果
-    # socket.io の path を rewrite する
-    RewriteEngine On
-    RewriteCond %{REQUEST_URI}  ^/socket.io            [NC]
-    RewriteCond %{QUERY_STRING} transport=websocket    [NC]
-    RewriteRule /(.*) ws://localhost:3000/ [P,L]
+     # WebSocketのための設定
+     RewriteEngine On
+     RewriteCond %{HTTP:Upgrade} =websocket [NC]
+     RewriteCond %{HTTP:Connection} upgrade [NC]
+     RewriteRule /(.*) ws://localhost:3000/$1 [P,L]

設定を反映します。

  • 構文確認
sudo apache2ctl configtest

Syntax OKを確認します。

  • Apache再起動前確認
systemctl status apache2.service

active (running)を確認します。

  • Apache再起動
sudo systemctl restart apache2.service
  • Apache再起動後確認
systemctl status apache2.service

active (running)を確認します。

事象の解決を確認します。

上記、設定を行ったGrowiサイトにアクセスします。

編集後、左ペイン(エディタ部分)がそのまま残っていれば対処完了です。